2013 世界ジュニア&マスターズボディビル・フィットネス選手権大会 日本チーム大健闘!! 銀3・銅2 10 月26、27 日/ウランバートル・モンゴル
頑張るモンゴル
ホテルは一昔前まで、ウランバートルで一番いいホテルだといわれたジンギスカン・ホテル。建物は古いがサービスはモダン。モンゴルではかなり有名なホテルだとか。
ホテルから会場への送迎は、4台の大型バスを用意して満足のいくもの。ホテルの食事は、基本的にボディビルダー食。私は1回で、「もういい、普通の食事を!」となってしまうが、朝食は普通のお客さんと同じレストランなので、普通食も食べることが出来た。
会場は古い大型のホール。かなり大きい。満員になれば3000人は入る。ただし寒かった。暖房は入っているが、ポージングをする選手の中には足が冷え切ってつらいとこぼしている選手もいた。
完璧ではないものの、以前に比べると進歩している。オチール・ガンバッタ―会長がリーダーシップを発揮し、政府の援助金は少なかったようだが何とか世界大会を開催するレベルまで来たという感じだった。
IFBBのドーピングテスト
理由は、ヨーロッパからは結構遠い国だったということが一つ。たとえばモスクワ経由で直行できる国もあるが、一度韓国に行ってから来なければならない国もあったとか。確かにそれは大変だ。
もう一つの理由は、中東の参加が少なかったこと。同じAFBFのメンバーなんだから、もっとたくさん来ていてもいいのに、UAEやカタール、バーレーンなどの多数選手を送り込んでくる常連が欠席だった。ひょっとすると12月にバーレーンで企画されているアマチュア・オリンピアにかけているのか?
私のもう一つの参加理由はIFBBが世界選手権ではドーピングテストをしているのか、していないのか、今一よくわからない現実を目で見て確認することだった。AFBFではドーピングテスト担当なのだが、今のところどの国で大会をやっても、言葉だけは「ドーピングテストOK」と言いながら、当日になったら何も準備をしていなくて、出来なかったということが続いている。一体これは何なんだ? という疑問を晴らすにはいいチャンスだと思った。
今回は9月のアジアベンチでオチール会長に会い、この大会のドーピングテストは絶対に必要だからと念を押しておいた。来てみるとモンゴルオリンピック委員会の肝いりで2名のドーピングテスト担当者(DCO)がテストキットを持って来ていた。話をするとサンプル採取は任せとけと。選手の選考はIFBBに任すからとも。ちなみにサンプルは近い韓国のIOC公認ラボに送って分析をやってもらうということだった。とりあえず一安心。
しかし、いまひとつ物足りなかったのは、IFBBの選手選考基準。そういう明快な基準はなく、サントンハ会長の指示で、カンポス理事が各クラスからランダムで選考するという方法。若い選手を徹底的に調べるという今回の方針は理解できる。しかしマスターズはあまりやらないと言うが、それでいいのか? 確かに60歳代以上の選手に目の色を変えてテストする必要は少ないとは思う。薬を使いすぎれば寿命を縮めるだけ。しかし40歳代は一般の世界でも活躍できるレベル。このクラスも徹底的にドーピングテストしてほしかった。
IFBBも人手不足?
主催国のモンゴルからはボランティアを含めて多く見ても10名。ほとんどの人が大型の大会を経験していない。どう見ても人手不足。
大会は2日間に分かれている。普通なら初日にプレジャッジ。2日目に決勝。だがジュニア&マスターズはカテゴリーが多いのでこの大会は伝統的に1日目に約半分のカテゴリーの予選と決勝、2日目は残りのカテゴリーの予選と決勝ということになっているらしい。2日間にわたって予選、決勝、表彰をやるというのは相当段取りが良くなければ進まない。大丈夫なんだろうか?
と、思っていると1日目の朝、サントンハ会長から「進、今日は暇かね?」と。
「ドーピングテストの進捗を確認するだけです」
「じゃあ、大会の進行の手伝いをしてくれ」
うううん、困ったことになった。大会進行は普段やったことが無い! ということで結局は審査委員長の補佐として、ジャッジに紙を配り、紙を集める集計の手伝いとなった。簡単そうだが、タイミングを見測るのがちょっと難しかった。モンゴルの遅れ気味の進行を素早く進めたい審査委員長。彼のペースを理解するまでが。
ということで、普通のステージ写真が全く撮れない大会となってしまった。横からの写真ばかりなのはご理解を。
大会オフィシャルホテルはウランバートルで一番良いと言われるジンギスカンホテル
写真下は大会会場。古いが、かなり大きい
これがジュニアか?
男子ジュニアボディビルの優勝者。すでに一般の世界大会で優勝できそうな素質を持っている
その中で一番驚いたのは男子ジュニアボディビル。この体だったら男子の一般でも通用すると思った。今ではジュニアは23歳以下。この年齢になると、そのうちジュニアのチャンピオンがそのまま世界を制するのではないだろうか? すでにパワーリフティングはそういうことが起こり始めている。
これがマスターズか?
同じく40歳代の70㎏以下級ではかつての世界チャンピオンであるブラジルのサントス。まだまだ世界で通用しそうだった。
50歳代でもブラジルは強く、80㎏以上級のノートン・ムラヤマはプロポーションとカットが素晴らしく美しい選手だった。この体で50歳代? という驚き!
日系人にできることが日本人にできないはずはないと、逆に勇気をもらった。
女子マスターズボディビル
男並のバルクを誇るヨーロッパ選手を相手に5位に入った清水は立派だ
清水は健闘むなしく5位だった。しかし、よく戦ったと思う。今回女子のフィギュアというカテゴリーはなかったが、バルクがものを言わないフィギュアであればもっと上を狙えるだろう。ただしまだ見たことのないカテゴリーだけに、よくわからないというのが正直なところ。
女子マスターズボディフィットネス
マスターズボディフィットネスに出場した山下由美(中央)。激戦を制して2位に入る大健闘!
山下は健闘している。カットの具合もちょうどいい。プロポーションもいい。筋肉のバルクではなく鍛えられた女性美。山下はこの激戦区で堂々2位。立派!
男子ボディビル65歳
65歳以上に出場した井原茂。カットの鋭さでは抜きん出ており、準優勝を収める
成績発表ではどんどん残って、最後の二人に入った。残念ながら優勝は逃したが大健闘のベテランだった。
男子ボディビル60歳
菊池正幸は60歳以上の部で堂々の3位
菊池のクラスからはバルク豊かな選手も増えてくる。しかし「いぶし銀」みたいに年季の入った菊池の体は評価されて3位。銅メダルおめでとう!
男子ボディビル50歳
50代の部軽量級に出場した奥村(中央)
ブラジル日系人のムラヤマは50代80㎏以上で優勝
日本選手団監督の藤原さん(左)と筆者
男子ボディビル40歳
世界大会優勝経験を持つサントス
仲泊(左)とサントスの比較。臀部、ハムのバリバリ度では仲泊が上だ
40代の部総合優勝のアヤリ(写真左)
40代の部70㎏級に出場した仲泊
車いすの部
車イスの部の優勝者。凄いバルクだ
アイスクリーム
長い一日が終わると食事。モンゴル連盟は選手役員にお昼のお弁当を用意してくれていた。しかし舞台に張り付く審査員を含む役員は、お昼を食べる暇のない人も出てくる。そこで、モンゴル連盟は試合後の食事会を急きょ開いてくれて、役員を慰労した。
日本人の感覚ではこういう時は乾杯から始まるものだが、静かに始まった。藤原副会長と私は示し合わせてビールを頼んでいた。遅れてビールが到着すると、それまで皆さん我慢していたのか、急にビールやワインを注文し始めた。サントンハ会長に遠慮していたのか?
食事が終わっても誰もデザートを注文しない。わたしはちょっとアイスクリームでも食べたくなったのでひとり注文。出てきた巨大アイスクリームを見て、みんな急にアイスクリームを注文。
次の日も展開は同じ。ついでに私の顔を見ると「アイスクリーム」と声をかけてくる。私のあだ名はアイスクリームか?
弾丸遠征は夢のよう
日本選手団はモンゴルの女性元フィットネス選手が申し出てくれた観光ツアー。ただしそれが楽しかったのかどうかはまだ聞いていない。みんな楽しんでくれていればうれしいが。
文と写真/吉田進
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