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【屈強インタビュー】#2 "こんがり" 東将治 まずはベーシックを貫くこと

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掲載日:2020.12.01
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ボディビル、フィジーク、パワーリフティングの各競技において優勝経験があり東京で警察庁の事務官を務めた後、2020年3月に広島のレモンジムに転職した"こんがり"こと東将治(ひがしまさはる)氏。日々記録を伸ばしていく同氏に、日頃のトレーニング界隈の事情や価値観を伺った。

「こんがり」の由来

中学の頃モンスターハンターにはまっていて、ネットで知り合った人とやりとりするためLineを始めました。アカウント名を決める際、モンスターハンターに「こんがり肉」というアイテムがあったのでそれにちなんで「こんがり」にしたのが最初です。

高校に入って、相沢隼人選手がSNSをやっているのをみて自分もTwitterを始めて、そのままLine同様に「こんがり」にしました。
コンテスト時に肌を焼く事から由来しているとも思われがちですが、そんな深い意味はありません。これは聞かれることが結構多いです。

日頃のトレーニングメニュー

記録を伸ばしていた頃のメニューは4分割にしていました。

①胸と肩

ベンチプレス:3セット
インクラインダンベルフライ:2セット 
ケーブルクロスオーバー:2セット


ショルダープレス(マシン):3セット
インクラインダンベルサイドレイズ:3セット
シーテッドダンベルサイドレイズ:3セット
ケーブルリアレイズ:5セット

②背中と腕

ラットプルダウン:3セット 
チンニング:3セット 
ケーブルプルオーバー:3セット

※それとは別にローイングの日がある
ベントオーバーロー:3セット 
ワンハンドロウ:3セット 
ロープーリーロー:3セット

腕 
バーベルもしくはEZバーでのカール:2セット
インクラインダンベルカール:2セット 
ケーブルカール:2セット

三頭筋
ケーブルロープエクステンション:2セット
ライングトライセプスエクステンション:2セット
両手のフレンチプレス:2セット

③足
バーベルスクワット:2セット 
ハックスクワット:2セット 
レッグエクステンション:3セット 
ライイングレッグカール:3セット
ルーマニアンデッドリフト(ダンベルかバーベルで):3セット 
カーフレイズ:3セット 


足の次はオフ日。

そこからは①~④を繰り返す感じです。
今までほとんどありませんが、あまりにも疲労が溜まった時には迷わずオフを入れて休みます。あくまでもメニューは目安です。

メニューに関しては全てをそのまま取り入れるわけではありませんが、凄そうな人がどんなサイクルでやっているのかは参考にしています。最近だと、RPE(主観の強度。後述)を用いたトレーニングで特にベンチプレスが伸びました。

最近はあまりこだわらずにトレーニングをしているのでトレーニング時にノートはとっていませんが、上記のメニューでやっていた時はデータ収集の目的も兼ねてアップからメモをとっていました。
お客様のパーソナルトレーニングをするときに種目や回数やセット数等をメモして、それを参考にしてメニューのおよその目安を立てていくのですが、それを自分にあてはめるように応用した感じです。

"メインセットとメモリセット"で記録を伸ばした

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上記のメニューにおいてバーベルスクワットが2セットだけだとボリュームが少ないと思われるかもしれませんが、自分がバーベルスクワットの重量を伸ばしていたときには2セットだけで伸ばす方法をやっていました。

雑誌に載っていた加藤直之選手の記事で「メインセットとメモリセット」というやり方があって、それをやってみたら体感が良くて2年くらい取り入れていました。

1セット目は8レップ、2セット目はそれに+5㎏をした重量で5レップ。それが達成できたら次の週には両方とも+2.5㎏ずつ足していく。それもできたらさらに両方とも+2.5㎏ずつ足していくことを繰り返していく。これがメインセットとメモリセット法です。色々試した結果メインセットとメモリセット法の体感と相性が良かった。

逆に、ベンチプレスもスクワットも毎回同じ重量でのトレーニングは個人的にあまり合わないようで伸びなかったです。

ベンチプレスもスクワットも、ダンベルショルダープレスにも同じことが言えました。毎回の重量を下げるなり上げるなり、重量に変化をつけてトレーニングをしていった方が伸びていく感覚がありました。

こういった変化を見る時にもメモがあると役立ちます。
メモがないと「ベンチプレスはだいたいいつも100㎏でやっているから今回も100㎏でやろう」というように、重量設定が大雑把になってしまいやすくなります。
大雑把に重量設定をしていた結果、かなり長い期間停滞してしまっていたこともありました。毎回メモをとることでみえてくるものがあると思います。

1RM以外の記録、パーソナルレコード(PR)を知ること

例えば自分自身のMAX、1RMが何キロかという最大重量はよく覚えていても、10回や9回、8回などの重量での記録を覚えていない人が多いように思います。1RMの最大重量が伸び悩んでいたとしても10RMや8RMでの記録が伸びていることもあるので、メモを取っておくとそういった点に気付くこともできます。

1RM以外の重量での記録となる「パーソナルレコード(PR)」を把握しておいて、調子の善し悪しにあわせて小刻みに変えて調整していく。

170㎏を1レップが最高重量で、150㎏を4レップ挙げられる人であれば172.5㎏を狙うのも良いし、150㎏を5レップ挙げることを狙うのも良い。それぞれの重量や回数を記録しておいて、各重量や各回数を向上させていく。そういった方法が自分には合っていました。


このパーソナルレコードの考え方はSNSで知りました。
パワーリフティング界隈の投稿で「8回のPR」というように、パーソナルレコードという言葉を見かけたので調べていきました。
その結果、1回の最高重量だけを参考にするのでなくそれぞれの重量で何回を挙げられるかを高めていくことも有効なのではないかと考えました。似て非なる競技ですが、ボディビルにパワーリフティングの考え方が生きる部分も多くあると思います。
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勉強や知識の仕入れに関して

自分は特別なことはしていなくて、市販の解剖学や生理学などの書籍を読んで、基礎的な部分を固めていくだけです。寺田 新氏著「スポーツ栄養学」、 石井 直方氏ら著「筋力強化の教科書」などおススメです。




込み入った応用的な話というよりは基礎や基本についてしっかりと書かれているので誰が読んでも参考になる書籍だと思います。

SNSでの情報は発信者の主観によるものが目立つように思います。科学的根拠に基づくというよりは自分の経験則が前面に来るような感じです。どうしても情報が浅く表面的になってきてしまうので、やはり本を読むのが一番良いかと思います。

日頃の食事

オフ期に関しては何も気にせず好きなものを食べています。最近は例年に比べてマシを食事はしている方です。

タンパク質を摂取する意識はしていますが他の方に比べて少ない方です。
大体一日でタンパク質を150~200gくらい確保が出来れば良いかと思っているので、サプリからの摂取を入れてトータルで除脂肪体重1㎏あたり1.5~2.5gくらいです。
仕事中の昼は茶わん蒸しなどである程度セーブしていますが夜はよく外食へ行きますし、アイス3個や6個、多い時には10個くらい食べる時もあります。
クッキーサンド系は特に好きです。ビスケットサンドやチョコモナカジャンボなども。そういう"スプーンつかわなくていい系"を常に手に持ってます。筋トレしていなかったらいろいろ危なかったと思います。

オーバーカロリーにするために

昔から食べる事が好きで、体型を指摘されることも多くてコンプレックスでした。それを改善するため中学2年くらいから筋トレを開始して今に至ります。

ジムのお客様の中でも食事量が増やせなかったり元々の食が細かったりする方もいらっしゃいますが、頑なにまともな食事にこだわりすぎずに油で摂ってしまうのも方法の一つです。

パサパサの鶏むね肉や米だけで毎日5000~6000Kcalを確保するのはさすがに厳しいと思うので、サプリも活用した上で菓子パンやジャンクなど食べやすく自分の好きなものでオーバーカロリーを意識して量を摂る方法もありです。体重が増やしにくい場合には極端にクリーンにこだわりすぎなくても良いのではと思います。

サプリメントの選定

まずはサポートして頂いているビーレジェンドのプロテインを気分に合わせた味で飲んでいます。


BCAAとグルタミンは海外製、CGN(カリフォルニアゴールドニュートリション)のノンフレーバーのものを使っています。グルタミンはプロテインに入れて飲んでいて、BCAAは以前はトレーニング中の飲み物に混ぜていたのですが最近はビルダー飲み(粉だけで飲む方法)です。




アミノ酸の質とかに関して、消費者側からだとどこが良いというのがわからない部分が多いです。
CGN(カリフォルニアゴールドニュートリション)は味の素が作っているアミノ酸を使っていることを明記しているので恐らく良いのかなと。値段も特別高いというわけでもありませんし。あとは粉に粒感があってビルダー飲みしやすいという点もあります。
逆にすごく粉が細かく、溶けにくくて水の上に浮いてしまうようなBCAAはビルダー飲みには向かない感じがあります。すごく飲みにくい。
そういった事情もありますが、サプリを選ぶ上では信頼できそうかという点を重視しています。

過去と今でトレーニングや食事における変化

中学や高校時代は一回8~10種目、一部位40セットというようにトレーニングのボリュームが多かったです。高校でボディビルの大会に出るまではそんな感じでした。
その後就職が決まり社会人になり、今後もこのボリュームを維持していくのは難しいと思って、そこからだいたい1時間前後で終えることができるトレーニングにしていったものが今のベースになりました。

一番ひどい時は上腕二頭筋だけで40セットやっていました。
参考にするものがなくて、それが良かったのか悪かったのかすら分からずにそれが当たり前になっていました。その後ボディビル雑誌を読むようになってから自分のメニューの異変に気付きました。

トレーニングの種目に関してはだいたいどれもしっかりと狙ったところに効くのですが、強いて挙げるのであれば大胸筋狙いのプルオーバーの感覚がわからないです。
背中のトレーニングとしてのプルオーバーであればマシンやケーブルでも行っていて感覚も掴めるのですが、胸を狙ったプルオーバーの感覚が掴めません。それ以外は特別に何か意識しなくてもしっかりと刺激が入る感覚があります。

自分独自の工夫

今やっている事は誰かがやってきた根拠をもとにして自分流にアレンジしたものです。メニューの組み方も元は鈴木雅さんのを参考にして、最近では泉風雅さんの考え方も参考にしています。すべてが自己流というわけではないので、自分だけが特別に行っていることはあまりないかと思っています。

筋力を伸ばす事、筋肉を壊す事、筋肉をパンプアップさせる事を重視して、減量に関してもベーシックを貫いています。基本を極めてこそ応用に繋がるので、まだ基本をしっかりとやり込む時期なのかなと思います。

新しい種目を取り入れるのも良いと思いますが、その中で自分で取捨選択していくことが大事だと思います。インクラインダンベルサイドレイズにしても昔一度流行って、一旦廃れてまた流行っているようですので。アーノルド・シュワルツェネッガーもラリー・スコットもやっている画像があるくらいです。
これはこれで新しいというよりは昔からある種目の流行り廃りだと思います。ジムで多く見かける時期もありましたが最近はあまり見なくなりました。自分は好きなので今でもやります。

基本的な種目だとほとんどがコントラクト種目になってしまうので筋肉に与える刺激が似通ってしまう。個人的にはPOF(※)を意識していることもあるので、かなり有効な種目だと思います。
※POF:position of flexion。筋肉の伸展時・動作の中盤・筋肉の収縮時において筋への負荷や刺激を変える方法。

インクラインダンベルサイドレイズは伸展位、ミドルレンジで負荷が強くかかる種目です。
やり始めた頃は6㎏で12回くらいでしたが、最近だと10~12㎏でメインのセットを組んで、最後のセットだけ6~8㎏と軽めにしてパンプを意識するような感じです。少しづつやっていった結果、段々伸びてきました。

最近の発見、実験

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今年は特にベンチプレスが伸びて、体感も良くなりました。泉風雅さんのnoteを読んでRPE法を取り入れた事が大きかったです。

RPE法においてベンチプレスは3セットを週2回やるのですが、6RMの重量をRPE8、余力を二発残して終わらせる感じです。つまり6RMの重量で4レップやる。
それを3セット繰り返して、次週はそれに2.5㎏をプラスして同じように行う。

4~5回のサイクルなので二週間半ほど。その後1週間休んでまた二週間半のサイクルを繰り返していくというような組み方です。

それを試していったところ、ずっと停滞していた足上げでのベンチプレスの重量が一ヶ月半で170キロから180キロに伸びました。このやり方は自分にとって相当合っていたんだろうなと思っています。

今後の方向性や目標

自分はまだ一般の県大会に出たことがないので、県のチャンピオンになってみたいというのと、JBBFの日本クラシックボディビル選手権で優勝を目指したいです。

今年も出たかったのですがコロナで大会がなくなってしまいました。そのかわりにベンチプレスの大会に挑戦することができました。今年はむしろストレスもなく休みも取れて、パワーを伸ばす方法も見つけられたのでそれはそれで良かったかなと思います。

ファンにひとこと

流行を知ることも良いですが、それよりも基礎基本を学ぶことが一番成長に良いかと思いますSNSやYouTubeで発信されている情報の中には有益なものも多くありますが、それらを取捨選択するための知識をつけるという意味でもやはり書籍を読んで深く知識を入れていくことが大事だと思います。
トレーニングジムレモンでお待ちしています!

取材・文 せきぐち
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