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【屈強インタビュー】#9 ジャスティス岩倉 "筋肉をつくり、平和をつくる"

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掲載日:2021.02.24
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フライパン曲げ元世界記録保持者、元陸上自衛隊狙撃手の経歴を持ち各メディアで活躍する“力業師”ジャスティス岩倉氏に日頃のトレーニングに対する取り組みや考え方を伺った。

普段の生活や仕事に関して

自分はフライパン曲げ元世界記録を持っていまして、これまでは主に結婚式の余興のようなイベントでオファーを頂いてハワイ、モンゴル、中国など、世界各国を周ってフライパン曲げをしていました。

しかし昨今、コロナで現地に行けなくなってしまっているのでzoom等を使ってオンラインでフライパン曲げをしていく形態に変わりました。

フライパン曲げをやり始めたきっかけは10年以上前、24~25歳くらいのときに出演したバラエティー番組でアームレスリングの選手といろいろな荒業で強さを競うという企画があって、その番組内の企画で初めてフライパン曲げをやりました。やってみたら意外と曲がるじゃん!と。

その後色々な種類のフライパンを買って試したところ、ギネスの公式記録にも使われている「アルミニウム合金製厚さ2㎜26㎝」のフライパンが一番曲げやすいことがわかりました。

フライパン曲げはお客さんに見やすいように行うパフォーマンス向けのフォームと、記録をつくるフォームで使う筋肉が大きく違ってきます。

色々試した結果、フライパンを膝の上に縦に置いて上からプレスダウンの要領で押して丸め込んでいく方法が一番曲がりやすく効率的なやり方だと気付きました。この場合ですと三頭筋と肩、背中や腕橈骨筋と前腕などが主に使われます。
しかしこのやり方はしゃがむような姿勢で行うためフライパンが見えにくくなってしまうので、お客さんの前でパフォーマンスとして行う場合には非効率的な形になりますが頑張って曲げます。

近況として先日、郊外の高台のあるところに引っ越しました。元々は品川に住んでいたのですが人混みに疲れてしまって。新居の近くに小高い丘があり、下から上までかけ上がることで有酸素に当てることもあります。ジブリの舞台になったような良い環境で、ジムが家から徒歩圏内にあることを条件にして物件を探しました。
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日頃のトレーニングメニュー

普段はゴールドジムで朝にトレーニングをやっています。集中して1時間くらいで、インターバルは少ない方だと思います。メニューは以下です。

・プレス系の日:胸、肩、三頭  
・引く系の日 :ラットプル、ローイング、デッド
・下半身の日 :スクワット、レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカール、カーフレイズ

これに有酸素と腹筋だけの日があります。有酸素はトレッドミルをゆっくり30分くらいで、腹筋はクランチやレッグレイズ、マシンでの腹筋、アブローラーなどです。

基本的には上記のメニューをやりきるようにしていますが、今日は背中の日だけど疲れてるから腕にしようとか、気分や体調によってメニューを変えることもあります。
以前は高重量低レップでしたが、最近はスピードやリズム、呼吸を意識して中重量で高回数で行っています。

自分にとって特に発達すると感じる種目、そうでない種目

自分にとってやはりビッグ3は効くと思います。
ビッグ3をベースとして、重い重量に限らずとも正しいフォームできちんとやった上で他の細かい部分をマシンやダンベルで埋めていくイメージです。

自分は三頭が発達しやすいと思います。プレスダウンは効きやすいのですが、ベンチプレスで三頭に入ってしまいやすいです。胸で押そうとしても、つらくなってくると三頭が働いてくる感じがあるので重量を軽くして行うときもあります。

一方で、最近はライイングトライセプスエクステンションをメニューから外しています。昔は100㎏ほどでやっていましたが、解剖学的にあの動きは肘にかかるストレスが多いという話があって、確かに種目を終えた後に肘周りが熱を持つ感じがあるので自分にとってあまり合わないかもしれないと考えています。
あくまで高重量を扱うことを控えただけで、軽い重量でライイングトライセプスエクステンション自体は行っています。
ライイングトライセプスエクステンションを軽い重量でやってもプレスダウン、ディップス、ナローベンチなどの他の三頭の種目で発達させられているので良いかなと。

もともと目指していた道と紆余曲折

小中高とサッカーをやっていて、サッカー選手を目指していました。イタリアやブラジルへ行ったりと本気でやっていました。
サッカーの強豪、前橋育英高校在学時に外部のフィジカルコーチがトレーニングを教えに来てくれていて、そこで初めてビッグ3をやったことがトレーニングを開始したきっかけになりました。瞬発系の動きが得意という事もあって、筋肉がどんどん発達して重量もどんどん伸びていくことがすごく楽しかったです。
当時のサッカーのプロリーグはJ1、J2、JFLに分かれていて、自分はJ2やJFLからオファーを頂いていました。しかし同級生がJ1に呼ばれていく中で自分だけJ2やJFLに行くというのがどうしても振り切れずにサッカーの道は断念しました。

その後は一転して、競輪選手を目指しました。
前橋育英高校は自転車競技部があって競輪選手も何人か輩出していたので競輪選手へのルートは開けていたのですが、結局は競輪学校に入れず、練習中の事故で自転車も壊れてしまい断念して、その後自衛隊に入隊しました。

過酷な訓練を積んだ自衛隊時代

自衛隊ではまず最初に新隊員教育隊というところに入ります。
三ヶ月を二回に分けて合計半年、みっちりと諸々を叩き込まれる時期はすごく厳しかったです。皆で団体行動を余儀なくされますし、一日の行動を決められて自分の時間は10分くらい。筋トレもできないくらい厳しかったです。

特に行軍は心身ともに辛かったです。 
一番最初は10㎞くらいの距離です。10㎞くらい大したことないと思っていましたが、銃や大砲など重い荷物を担いだ上で山岳地帯を10㎞歩くのは想像以上にハードでした。

隊員それぞれの荷物に加えて旗を持って40㎞から50㎞、100㎞までやります。
昼夜を問わず歩き続けて敵のアジトや野営場所まで行くことを想定しているので、眠いし寒いし辛いです。食事も十分に食えないし、行軍が終わるといつも5㎏くらい減っていました。それでも皆当たり前のようにやっている訓練なのであまりグチグチ言ってもいられません。
東京消防庁の危険物安全週間のポスターにてモデルを務める。心のゆだんが事故につながるのはトレーニングも同様である

東京消防庁の危険物安全週間のポスターにてモデルを務める。心のゆだんが事故につながるのはトレーニングも同様である

トレーニング中や普段の生活における工夫

トレーニングを8割くらいに抑えているところでしょうか。
オールアウトまで行わないで、あえて余裕を持たせてもう少しやりたいくらいに抑えています。10RMを8レップまで行うような意味合いです。その上で十分に食事と休養を取る。

これらは怪我の予防も目的としていますが、トレーニングをやりたいという気持ちを起こさせる狙いが大きいです。オールアウトまで追い込んでしまうと「もういいや」となりますし、明日も同じようにやらなければいけない感じになってしまうので、明日も楽しくトレーニングがやれるぞと思えるようにしたいです。

あとはリラックスして笑顔でトレーニングするようにしています。面白いから笑うのではなくいて、辛い時こそ笑う。
歯を食いしばって力んでトレーニングをするのはよく見かけますが、笑顔だと適度に無駄な力が抜けて、メインで狙う筋肉に力が入りやすい感じがあります。

怖い顔でいるとそういう波動が出るというか、怖い雰囲気が周りにも影響してしまいます。周りをいい雰囲気にして自分自身もいい環境でトレーニングをしたいと思うので、トレーニング中に限らず日頃から笑顔を心がけるようにしています。

日頃の食事で意識していること

栄養が偏らないように、バランスよく5大栄養素を摂ることを意識しています。朝と夜は自炊して、昼に仕事で外出する場合は外で食べることが多いです。
朝のルーティーンとしてタンパク質が多めのヨーグルトとおかゆ、お湯とBCAA。トレーニングが終わった後に20~30gプロテインを摂る感じです。

あとは食物繊維も多めに摂るようにしています。
おすすめはアカモクという海藻。他にはめかぶ、もずくなどのねばねば系もおすすめです。こういったねばねば系のものにはフコイダンという成分が入っていて、これらを五穀米に混ぜて食べるようにしてからおなかの調子が良いです。

以前は隙あらば食事を摂っていて、何でもいいから栄養を入れて常に満腹感を得るようにしていました。最近もこまめに食事を摂ってはいますが、年齢と共に胃もたれをするようになってきたので野菜や食物繊維やタンパク質を増やして脂質を減らしました。

摂っているサプリ

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サプリメントメーカーと契約してまして、アミノ酸系は私がイメージキャラクターをやらせて頂いています、メダリストジャパンのシトリックアミノ「ゴリラ」を摂っています。


それからゴールドジムのプロテイン。


そしてグリコパワープロダクションのホエイプロテイン。
甘いのが苦手でプレーン味を飲んでいます。

最近の気づきや発見

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人は人がいるからこそ争いがあって、他の誰かがいない状況、完全に一人の場合には争いは起きない。これは「無為自然」という生き方の一つです。

人間、本来自然と共に生きていくべきではないかと思います。元々あった自然の中に人間が後から入ってきて、自然を破壊してビルや何やらを作り始めて今の状況になった。
自然の中で自然の気持ちになって、自然と共存共栄していくという人間本来の生き方があることに気が付きました。自然に学ぶことができる環境に身を置くことが大事だと思います。

めまぐるしい世の中に流されて自分自身を見失いがちですが、自然の流れを知ることで新たな発見があって、それらの中には筋トレに応用できる考え方や発見も多くあると思いますので、ぜひ自然に立ち返る時間を持って頂ければと思います。
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今後の方向性や目標

フライパン曲げのような余興もやっていますが、他にもトレーニング業界で様々なことに携わっていまして、オンラインでサプリや機材の代理店のようなことをやったり、ジャスティスプロジェクトといって筋肉関係の人をテレビやイベントなどに派遣することもしています。筋肉総合派遣事務所です。もちろん自分自身も出演します。

こういった活動により多くの人に笑顔を届けて「筋肉世界平和」にしたいと思っています。運動を通じて健康寿命を延ばすことも課題です。そのためにトレーニング、フィットネスを推進して広めて身近なものにしていきたいです。
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SNSのファンに伝えたいこと、ひとこと

皆様、筋肉コミュニケーション研究家のジャスティス岩倉です。ぜひ筋肉コミュニケーションをして、共に世界平和を実現していきましょう!


取材・文 せきぐち