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【屈強インタビュー】#11 黒川宏太 "褒めないでくれ、伸びなくなる"

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掲載日:2021.03.25
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全日本ジュニアボディビル2位等の実績を持ち、日本選手権優勝を狙い進化を続ける黒川宏太氏に日頃のトレーニングに対する取り組みや考え方を伺った。

普段の生活や仕事に関して

現在は在学中ですが、今年度に卒業予定で大学の授業はもうないので実家の電気工事関係の仕事を手伝っています。8~17時頃まで仕事をして17~19時までトレーニングをする感じです。
 
今まではトレーニングは岡山大学か近隣の24時間ジムでトレーニングをしていましたが、最近はホームジムで行っています。
ホームジムは三年前からあって、駐車場の一角を簡単に囲ったような感じで兄が使っていました。兄もトレーニングをしていて一緒にやる時もあります。

今までいたジムに比べると設備は劣りますしマシンも少ないです。ダンベルもネジ式でプレートを付け外しする調節型のものなので時間がかかるなどの面がありますが、移動時間がかからないですし、マスクをしなくても良い点では大きなメリットです。しばらくは工夫してやっていこうかと思っています。
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日頃のトレーニングメニュー

大まかな構成ですと以下になります。

・脚の前   
・胸と肩の前と横
・背中と肩の後ろ
・脚の後ろ、カーフ、腹筋
・腕

一年くらい前からこのメニューで、オフは仕事の都合と合わせて不定期に取っています。

メニューの細かい構成に関しては自分でも複雑に思っているのですが、10種目ほどの中から毎回違う種目を選んでやる感じです。

例えば脚の日ならばスクワット、ナロースタンスのレッグプレス、大腿直筋に効かせるレッグエクステンション。
次に脚のトレーニングをするときはワイドスタンススクワット、フロントランジ、大腿四頭筋を狙うレッグエクステンション。

同じ種目を連続してやっていないことが特徴で、二周か三周ですべての種目をやり終えて戻ってきます。

一部位はだいたい3~5種目を3~5セットくらいで、総量は15~20セットほど。脚に限らず他の部位も同じようにやっています。以前木澤大祐選手のパーソナルを受けたことがあって、そこで教わったテクニックやフォームを再現するようにしています。
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今までのメニューとの変化

導入していた期間が最も長かったメニューは上記とは別で、以下のように組んでいました。

・脚の前
・背中
・胸
・脚の後面とカーフ
・肩
・腕

これを5~6年続けていました。全日本ジュニアボディビルで二位の時のメニューです。
現在のメニューに変えたのは、肩だけの日をなくすことで肩の優先度を下げて他の部位の頻度を上げるためです。
クラス別の大会で並んだとき、肩の発達は背中や胸に比べて良かったと思いました。なのでその分アウトラインや広がりを出したり、弱点の胸を強化することを狙っています。

肩だけの日を作らない現在のメニューに変えてからサイクルの周回が早く感じるようになりました。
以前だと筋肉痛が終わってから3~4日してもまだその部位のトレーニングの日が来なかったのですが、肩の日がなくなっただけで筋肉痛から回復してすぐにできるので、精神的にも体力的にも丁度いいサイクルだと思います。

しかし肩のトレーニングを胸と背中の後にしてしまうことで今までのように肩を満足いくまでできなくなってしまう懸念もあるので、うまく様子を見ていこうと思います。
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僧帽筋の発達に関して

3~4年前に雑誌で"僧帽筋の上部はデッドリフトをしていれば発達するからわざわざ鍛えない"という話を読んで、発達させやすい部位であるのならばそこをあえて積極的に発達させてしまおうという意識で僧帽筋をやりこんだ時期がありました。
周りの選手と比べても僧帽筋の発達は追いついているように思い、最近は僧帽筋のみのトレーニングは控えて他の部位の強化を優先しています。

特に大きな課題として腕に注力しているところです。理想は横川選手のような腕が主張してくるようなモストマスキュラ―。憧れます。

種目の役割を明確にすること

自分は種目の役割を大きく以下の三つに分けています。

①全身の筋力や土台のトレーニング
②特定の部位の筋量を増やすトレーニング
③筋肉の形を変えることを意識するトレーニング

①全身の筋力や土台のトレーニング
ワイドスタンスのデッドリフトやベンチプレスなどです。
デッドはどこかに効かせるという感覚はなく、ベンチプレスでも大胸筋を狙う感覚はありません。とりあえず重量を扱うことが目的です。

②特定の部位の筋量を増やすトレーニング
スクワットやダンベルプレス、ディップスなど。ほとんどの種目がこれに入るかなと思います。

③筋肉の形を変えることを意識するトレーニング
ペックフライで胸の下部や内側を、ダンベルプリ―チャーカールで二頭筋のピークを狙います。レッグレイズやハンギングレッグレイズなど腹筋種目もこの要素が強いかと思います。

これらに合わせて種目を選んで持って来ています。
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できるだけ補助者についてもらいたい

環境的に自分一人でできるところまで追い込んで終わるしかない場合もありますが、理想としては補助者がいた方が良いと思います。

自分一人でやりきる、出し切ることももちろん重要だと思いますが、スティッキングポイントさえクリアすればもう少し回数がこなせます。

大学では補助をしたりされたりというのが当たり前でした。
補助者にスティッキングポイントを通過させてもらうほうが筋肉に与える刺激は大きいので、普段から補助をしてもらって限界から数レップをやることが多いです。

学校だったら部員だったりコーチだったり、家なら家族だったり。
「こんな感じでやってほしい」とリクエストをして補助してもらいます。特にホームジムではフリーウェイトがメインになるのでやはり補助者についてもらいたいです。

日頃の食事で意識していること

まずは一日の摂取量として3000~3500kcalくらいの目安を立てて、それに対してPFCを比率で
タンパク質3、炭水化物5、脂質2に振り分けていきます。

一日で3000kcalの摂取を目安にすると、炭水化物が1500kcalになるので370gくらい摂れる計算になります。白米が1キロくらい食べられる。

タンパク質は900kcalになるので225g摂取できます。そのうち白米と全卵のタンパク質を引いて120gを鶏むね肉400gとプロテイン1杯で摂る。

脂質は600kcalくらいなので60~70gくらい摂れる計算です。全卵が10個くらい食べられる。

大体一日でどれくらい摂れるかを計算して4食に振り分けたりサプリを摂ったりします。減量中は少なくともこれくらいは摂っているという考え方で最低ラインを計算しています。
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摂っているサプリ

毎食後にマルチビタミン&ミネラル。
夕食後にはZMA。亜鉛とマグネシウムです。


朝とトレーニング後はアルファリポ酸。
朝食後にプロバイオティクス。カプセルで摂っています。


トレーニング前にはBCAAとマルトデキストリン。
今飲んでいるBCAAはマッスルファームの「コンバット」フルーツパンチですが、セールで安くなっているものを買っているのでメーカーや味に特にこだわりはありません。


トレーニング後はプロテインとマルトデキストリンとクレアチン。今はエクスプロージョンの杏仁豆腐とブラッドオレンジを飲んでいます。今まで飲んだ中ではメロンが一番おいしかったです。




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トレーニング前にシトルリンを摂っていた時期もあります。体感もよかったのですが、別になくても良いかという感じで摂らなくなりました。

最近の気づきや発見

自分の体のゆがみや左右差は昔からある程度気付いていました。
右手に対して左が1㎝細い程度で、それくらいならば順位に関係ないだろうと感覚的に思っていましたが、左右差や歪んでいることによってトレーニングの効きが悪くなっているのが段々と気持ち悪くなってきました。
きっかけは鈴木雅選手のセミナーで左の肋骨が開いているという指摘を受けたことです。それを発端にして自分の体の歪みを改善するアプローチをしていくようになりました。

アプローチはいくつか取り入れていますが例えば体幹部。
腹斜筋や広背筋などの左右差で体が右に倒れていて、右の広背筋には力が入りやすいのですが左は入りにくい状態です。
それに対してトレーニングをしない日でも体を左に倒してストレッチしたり。これにより胸の種目等で左肩が上がるのを抑えられるようになりました。
一番よく使うツールはコンプレフロス。胴体に巻いた状態で体を倒して腹斜筋を伸ばします。個人的に体感があります。

褒められると伸びなくなる

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自分は褒められて伸びるタイプではありません。
横川選手に負けて二位の時もあるし、相澤選手に負けて二位の時もありました。こうして取材を受けているように自分を高く評価してくれる人もいるのですが、褒められるといまいちトレーニングに気合が入らなくなってしまいます。
反骨精神があって、悔しくないと伸びない感じです。それで勝てるのが気持ちいい。

良く評価されると努力がもう十分だと、黒川の可能性はこれが限界だと思われているようでイヤなんです。お前は全然まだまだだと言ってもらった方が、もっと伸びると言われているようで嬉しいです。

今後の目標はJBBF日本選手権で優勝することです。それにあたり自分を良く評価するより、できるだけもっと厳しく見ていてほしいです。


取材・文 せきぐち