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【研究論文超訳】#9トレーニングができない時、ストレッチすることで筋肉量の減少を抑制できる

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掲載日:2021.09.10
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今まで英語の論文を対象として紹介してきたが、偶然見つけたこの国内研究も非常に有益であると考えたためここに紹介する。筋肉を求める読者の皆々様の筋肉育成に貢献するならばあまり海外研究だけに絞ってこだわる必要もなく、たまにはいいかと思う次第である。記事の連載シリーズにおける考え方と身体、どちらも柔軟性が大事だと思うのだ。

効果の消失「ディトレーニング」

ディトレーニングとは、今まで継続してきたトレーニングを中止もしくは一時中断することで、そのトレーニング効果が部分的あるいは完全に消失することを指す。

これまで、ストレッチが筋委縮を予防することはいくつかの研究で報告されていたが、いずれも動物実験や限られた特殊な研究的な環境に限ったものであり実用性には乏しかった。しかし本研究(※1)は極めて現場レベルでの実用性が高く、取り組みやすい内容となっている。

トレーニングとストレッチの内容

・週2~3回の両足の大腿部前面のトレーニングを16週間実施した後に中断。

・大腿部の前面を左右でストレッチする足と何もしない足に分けた。ストレッチする側の足は10分を2セットに分けて、合計20分を12週間にわたって毎日実施。

その結果、ディトレーニング中にストレッチを続けた脚はしていない側に比べて明らかに筋サイズの減少を抑制した。

この結果は筋の伸長による成長/増殖因子の分泌が促されたことが関係していると考えられる。静的ストレッチの効果として以前から認識されている柔軟性の改善、疲労回復,傷害予防などに加えて、筋萎縮の抑制にも有効である可能性が高い。
意図的なディトレーニング時期はもちろん、怪我等でやむを得ず強い負荷がかけられない場合の筋萎縮の抑制へのアプローチなど幅広い活用ができるだろう。

誰にでも、どうしてもトレーニングをすることに気が向かない時がある。あって然りなのだ。そんな時、座ってスマホをみながらストレッチをするだけでもだいぶ違うということだ。

なお、座ってストレッチをする気にもならない時にはかなり心身ともに追い込まれていて危険サインが出ているということもある。トレーニングは長期戦である。長い目線で考えて、鍛える時と休む時のバランスをうまくとっていこう。




※1:ディトレーニング中のストレッチングが筋量に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/59/5/59_5_541/_pdf