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【研究論文超訳】#10 クレアチンは下半身よりも上半身の筋肥大を誘発する

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掲載日:2021.10.30
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みんな大好きクレアチン。効果が実感しやすく、特に短時間の瞬発的な筋力を向上させることから多くのボディビルダーやトレーニング愛好家達から重宝されている。
クレアチンは瞬発的な筋出力だけでなく疲労の軽減や筋肉痛の抑制作用なども知られているが、一方で体質によっては体に水を溜め込みむくみやすくなる場合もあるため注意が必要となる。
さて、もはやトレーニング界では特に珍しくもないクレアチンだが、筋の発達においては特徴を持つという報告がある。

クレアチンは下半身よりも上半身の筋肥大を誘発する

トレーニングを行い、クレアチンを摂取したグループは摂取していないグループに比べて全体的に筋肥大率が高くなったが、その中でも脚や体幹に比べて特に上半身が特に筋肥大する傾向にあることが分かった。※1

このことから、脚を肥大させる目的でクレアチンを摂るよりは、上半身を肥大させる目的でクレアチンを摂ったほうが目的に合致しそうである。もちろん、スクワットの重量や回数など脚のトレーニングにも貢献するであろうが、その貢献度の問題である。

なお、年齢や性別には影響を受けず、例えば高齢者においても長期的(12週間)にクレアチンを補給することにより最大筋力や筋肉量などの増加を促進することが示されている。※2

今回はクレアチンを用いた場合に発達の差異が見られたという結果であるが、もしかすると他のサプリメントにも特定の傾向があるかもしれない。それが自身の体質やトレーニングとどう嚙み合ってどう取捨選択していくか、未だ知られていない部分も多い。誰もが探究者なのだ。途方もない筋肉の旅は続く。




※1 Creatine supplementation elicits greater muscle hypertrophy in upper than lower limbs and trunk in resistance-trained men

※2 Long-term creatine supplementation improves muscular performance during resistance training in older women