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【屈強インタビュー】#19 井上典大 "スポーツモデルの戦い方"

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掲載日:2021.10.22
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2020年NABBA WFF JAPANスポーツモデルPRO部門優勝、2021年同部門準優勝等の実績を持ち、自身の研鑽に加えてスポーツモデルの普及と発展のための発信を続ける井上典大氏に、日頃のトレーニングに対する取り組みや考え方を伺った。

普段の生活や仕事に関して

パーソナルトレーナーをしながら、親が経営する会社の仕事を手伝っています。NABBAプロになってからはポージング指導など講師の仕事を多く頂けるようになりました。

トレーニングは時間が取れたら朝に行い、できなければ夜中近くに行う事もあります。僕は特に背中と脚にこだわっていて、背中は三時間、脚も日によって前後に分けているのですが前面でも後面でもそれぞれ二時間近くはやっています。
スポーツモデルに向いた体を作るためにはボディビルやフィジークとは少し異なるアプローチが必要で、単にデカくするのではなく一つ一つのパーツを隆起させつつバリバリの質感を作るという事が重要になります。
例えば大腿部に関しても縫工筋だけを狙って鍛えたり、四頭筋をそれぞれ内側広筋、外側広筋、中間広筋、大腿直筋に分けて鍛えたりします。
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トレーニングを始めたきっかけ

元々野球やっていて、グラウンドで行えるような基本的なトレーニングははやっていました。かなりの熱を持って社会人チームでもプレーをしていたのですが、それを辞めた途端に目標を失って燃え尽き症候群みたいになってしまいました。何かそれに代わるものを見つけなければと思いながらも遊び惚けていました。

そんな中で副業としてバーで仕事をしていた時期があって、フラフラしていたことやお酒で激太りをしたことなどで当時の彼女に振られてしまい、どうにかしようと思ってとりあえずジムに通うようになりました。
しかしモチベーションや目標がないと続けにくいなと思っていたところ、インスタグラムで韓国のNABBAのスポーツモデル選手を見つけてすごくカッコいいと思いました。これだけカッコよかったら誰にも文句を言われないだろうと。そこから本気でトレーニングに取り組むようになりました。
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日頃のトレーニングメニュー

基本的には週6でトレーニングを行っています。NABBAプロの松原光太郎さんに教わったことをベースにして自分でアレンジを加えています。

①肩
②胸
③背
④脚(前面)
⑤腕
⑥脚(後面)

上半身のバルクが去年からの課題で、特に肩のリアミドルを重要視しました。リアミドルは三角筋の後部と中部の間に位置する部位です。
三角筋を前部、中部、後部とその合間のフロントミドルとリアミドルの5方向に分けて、それを均等に隆起させていくことで三角筋全体の丸みを出すことを狙っています。それらのフォームを口頭で説明するのは難しいのですが、ケーブルやダンベルを使って目標部位に引っ掛けながら収縮をかける感じです。

肩幅を広く、腰を細く、脚を長く見せるということがスポーツモデルの基本です。
特徴的なやり方かと思いますが、腰が太くなるのを防ぐためにスクワットとデッドなどの強い腹圧がかかる重量や種目は極力避けて、部位ごとに効かせるという点を意識しています。

去年は積極的に挑戦できたのですが、今年はディフェンディングチャンピオンとして臨んだので勝たなければというプレッシャーが心身ともに良くない方へと働いてしまい、自分で自分を不必要に追い込みすぎてしまったことを反省しています。
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自分にとって特に発達すると感じる種目

ハムストリングスと尻は特にスティフドデッドリフトで発達したと思います。十分にストレッチをかけて行うことでストリエーションを出せるようになりました。最初はバーだけでしたが今は80~100㎏でやっています。

野球のおかげで大腿四頭筋はあった方だと思います。四頭筋は特に意識せずとも発達しやすかったのですが、レッグエクステンションで一つ一つ狙って行うことでよりはっきりとセパレーションが出せるようになりました。
刺激を強めるためには重量を扱うことはもちろん大事ですが、闇雲に重量だけを上げていっても非効率で、高重量を扱いつつも効かせることが重要だと思います。
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増量や減量に関して ~減量は戦時中~

今までは低脂質で高タンパクなものを選べば良いと思って外食が多かったのですが、添加物等で肌の質感に影響が出てくると知ってからは自炊がメインで外食は全くなくなりました。

増量中は白米を毎日3㎏、鶏むね肉を2㎏食べていました。卵をかけたり、焼き肉のタレをかけたり。それを続けて25㎏太って90㎏まで増えたのですが、今年は増やし過ぎたことで絞るフェーズで皮が残ったりなどの失敗がありました。増量も重要なのですが今後はあくまで管理できる範囲内に収めて、極端なことをせず徐々に調整していこうと思います。

減量中は冷やしたジャガイモと鶏むね肉を主に食べていました。
ジャガイモは冷やすことでGI値が下がり、レジスタントスターチ(小腸で消化されずに大腸まで届く難消化性でんぷん)の作用もあります。
減量初期は一日の摂取エネルギー量を2500Kcalほどに抑える事から始めて、大会の一ヶ月前は1200~1300Kcalほどにしていました。

大会の16日前からは二週間ほどのディプリート(枯渇)期間を設けています。かぼちゃ80gを一日4回食べたりして、一日800kcalほどに抑えます。
糖質は完全にゼロではありませんが、そのわずかな糖質をディプリートで使い切るイメージです。減量期で一番つらいフェーズです。

大会へのモチベーションというのもありますが、減量中よりもさらに食べることができなかった戦時中よりはマシだと思うと何とかしのげます。減量は戦時中。このメンタリティは個人的にかなり使えます。
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サプリメントに関して

摂取しているサプリメントは基本的にはマルチビタミンとEAAとクレアチンとグルタミンくらいです。基本的には栄養は食事から摂りたくて、人工甘味料も摂りたくない派で無添加、ナチュラル重視です。
プロテインも基本的には飲んでいなくて、どうしても食事から摂るタンパク質が不足したときにだけ飲む感じです。




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今後の方向性や目標

NABBAコリアプロでの優勝を目指しています。
NABBAジャパンで優勝するとNABBAコリアプロの出場権が得られるので、日本人初の優勝者となりたいです。

あとはスポーツモデルの普及です。フィジークやボディビルに比べるとスポーツモデルはまだまだ非常にマイナーなカテゴリーなので、どんどん認知を広げていきたいです。そのためにはSNSに力を入れて多く発信して、競技者にも一般の人にも見て興味を持ってもらって、浸透させていく必要があると思っています。

僕は夢や目標があることで人生が大きく変わりました。どんな分野でどんなことでもいいので、自身の夢や目標を見つけると良い方向へ事が運べると思います。まずは自身の夢や目標を達成できるように僕も頑張ります。