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【屈強インタビュー】#21 卯月大登 "トレーニングの質を高め続ける"

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掲載日:2021.11.21
撮影:りゅう@fightersmuscle

撮影:りゅう@fightersmuscle

2014年度ミスター早稲田、ゴールドジムジャパンカップ クラシックフィジーク175cm超級優勝、JBBF2021 JAPAN OPEN クラシックフィジーク175cm超級3位などの実績を持ち、圧倒的な成長と躍進を続ける卯月大登(うづきやまと)氏に日頃のトレーニングに対する取り組みや考え方を伺った。

普段の生活や仕事に関して

移動通信技術を扱うIT系企業で勤務しています。全国に拠点があるため3年スパンで転勤をしていて、茨城や金沢を経て現在は都内に配属されています。
茨城は社宅の近くに良いジムがあって、金沢も近くにエニタイムがあって特に困ることはなかったのですが、今住んでいる場所だと最寄りのジムまでは自転車で15分くらいです。都内の端の方という事もあって意外と今までで一番時間がかかっています。トレーニングは基本的に勤務後にやっていて、たまに朝6時くらいから行うときもあります。
撮影:MAXMEN TOKYO

撮影:MAXMEN TOKYO

日頃のトレーニングメニュー

基本的に6分割でまわしています。

①脚(前)
②胸
③背
④脚(後)
⑤肩
⑥腕

曜日は気にせずトレーニングできる日にやっておいて、ジムに行けない日を必然的にオフにしている感じです。トレーニングを始めて10年ほど経ちますが、やり始めた頃から分割はほとんど変わっていない気がします。

細かい変更点で言えば、背中に関してデッドリフトよりはベントオーバーローイングをメインにした点と、弱点の脚を改善するために去年から脚を前後(腿前とハム、尻)に分けたくらいです。

早稲田のバーベルクラブにいた頃からBIG3を基本にして、第一種目は重量を伸ばしたい種目をもってくることも変わらず一貫しています。
特に一種目目にはこだわりがあって、重量の伸びや成長が楽しみです。
ジムに行くときも今日は何キロを上げてやるぞという気持ちで行きます。感覚的にしっくりきたものを優先的に取り入れているため一部位当たりの種目数は少なめですが、他の種目も第一種目の重量に続いて伸びると考えています。
一種目目の例外として、膝が弱いので膝周りのアップを兼ねてレッグエクステンションをやってからスクワットに移行しています。
記事画像3

大学時代に養われた基礎が今につながっている

高校卒業間際に受験太りしてしまって、大学に入るまでに少し体型を戻そうと市営ジムに通うようになったことでトレーニングに没頭していきました。
大学一年の時からバーベルクラブの存在は知っていたのですが自分は場違いな感じがして怖くて入りませんでした。

しかし大学内のバーベルクラブの活動拠点でもある施設でトレーニングをしていたためバーベルクラブの面々と毎日顔を合わせ続け、ほぼ入部している状態と変わらなくなったのでその後二年の時に正式に入部しました。今はもっと早く入部しておけばよかったと思います。

ビッグ3や分割の考え方も入部後に教わりました。コンテスト時の体重に関して二年で初めて出場した関東学生ボディビル選手権は69㎏くらいで、ミスター早稲田の時は73㎏くらいです。四年の頃はかなり絞り込んだとはいえ、結局大学四年間で仕上がり体重が4㎏ほどしか変わっていませんでした。しかしながら、在学期間中に叩き込んだこれらの基礎が今のトレーニングにも非常に活きています。

自分にとって特に発達すると感じる種目、そうでない種目

胸の種目は何をやっても刺激が入りやすい感覚があって、その中でも特にベンチプレスは今後も捨てない種目だと思います。重量も伸ばしやすく、なにより楽しいです。

一方スクワットで脚が太くなる感覚が得にくく、重量は伸びてもそれに見合った脚になっていないように思います。スクワットが効かないからといって捨てる選択肢はなく、脚を前後面に分けるなどアプローチに変化をつけてみてどうなるか、これから研究していこうと思います。
今まであまり積極的にケアをしてこなかったのですが、年齢的にも今後はケアにも気を配って試行錯誤していきます。相澤隼人選手もデカい人はみんなスクワットをやっていると言っていたのでなおさら外せません。
撮影:MAXMEN TOKYO

撮影:MAXMEN TOKYO

トレーニング中に意識している事

重複しますが、まずは一種目目をいかに伸ばすかです。またそれと同じくらい、無茶をしたり見栄で重くせず怪我をしないように心がけています。
ボディビルはいかに続けられるかが勝敗を握る側面もあると思います。怪我をしてもマッスルメモリーがあるのである程度の期間があれば戻せるとは思いますが、基本的にはずっと走り続けていたいです。

また、しっかりと力を出して毎回のトレーニングの質を上げられるようにトレーニングの90分前に必ずエネルギーを補充してからいきます。仕事帰りにジムに行くことが多いので、仕事の終わる60分前を目安にしておにぎりと卵を食べています。

あとは脚でも胸でもどの部位の日であっても、アップとしてチンニングを限界回数までやっています。パーシャルですが30回前後です。ぶら下がることで肩甲骨まわりがほぐれて温まる感じがあります。
元々はアップとしてではなく背中を発達させるために行っていました。昔、月刊ボディビルディングに載っていた選手が懸垂を毎日やっているという記事を読みそれを真似したのが始まりで、当初の目的からは外れていますが感覚的に良いので続けています。
撮影:MAXMEN TOKYO

撮影:MAXMEN TOKYO

日頃の食事で意識している事

オフでも年間を通して食べるものは変わらず、リーン(脂肪などのないこと)を意識しています。
学生時代はとにかく食べて体重が増えれば良しとしていたのですが、毎回のトレーニングの質を最大化させるために年間を通してリーンになりました。
トレーニングや刺激を入れることが上手い人であればまた別とも思いますが、体重が増えると使用重量も増えるのですが刺激への感覚が鈍くなり、あまり体が変わっていく感じがなくトレーニングの質も上がりにくいように思います。脂肪に頼って上げてしまうことでトレーニングの質が下がる感覚です。
減量期のほうが脂肪に頼らず筋肉そのもので上げることで収縮感が得やすく刺激も入り、集中力も高くなります。

タンパク質は卵、サーモン、鳥の胸肉を中心に摂っていますが最近は胸肉を受け付けなくなってきたので、木綿豆腐と玉ねぎと合わせてフードプロセッサで混ぜたものを焼いてハンバーグにしています。すごくふわふわになりますし、カロリーハーフのケチャップをかければ減量期にも使えます。玉ねぎは重要です。玉ねぎがあることでハンバーグ感が際立つので絶対に入れてほしいです。

摂っているサプリ

マルチビタミンや関節系のサプリなどの基本的なものだけで、トレーニング中にはBCAAとEAAを混ぜたものを飲んでいます。
プロテインはオフシーズンだけ摂っています。まったり系よりはさっぱり系が好きで、特にビーレジェンドのベリベリベリー味味はぶどうみたいな味で衝撃が走りました。あれだけ突き抜けたさっぱり系はなかなかないです。

今後の方向性や目標

大会でもようやくそこそこの評価を頂けるようになってきたのですが、まだ持っているフレームだけで戦っていて細かい部分が甘いように思います。
上の選手と比べるとストリエーションや大筋群のボリュームだけでなく、こんなところにも盛り上がりがあるのかと思うほどの細かい部位も発達させていく必要があるので、もっと引き出しを増やしていこうと思います。

また、せっかく今東京にいるので来年はミスター東京と社会人選手権に出てみようと思っています。
今はボディビルかクラシックフィジークか、両方やるのか決めかねています。当面は両方やると思いますが、ゆくゆくはどちらか一本に絞って専門化していきたいと思います。それぞれ少しポージングも異なりますし、クラシックフィジークだと自分としては得意なポーズであるラットスプレッドが取れないのが心残りです。

今後、引き続き今よりも上を目指して頑張っていければと思いますので見守っていただければと思います。


取材・文 せきぐち