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【屈強インタビュー】#22 奥志哉 "ノーリスク&ハイリターンにしたい"

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掲載日:2021.11.28
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2019年関東クラス別男子75kg級8位等の実績と圧倒的な大腿部を持ち、独自のトレーニング方法で確実な成長を続ける奥志哉(オク モトヤ)氏に日頃のトレーニングに対する取り組みや考え方を伺った。

普段の生活や仕事に関して

柔道整復師として週6日、朝8~22時頃まで接骨院に勤めていて、2時間ある昼休みに一旦家に戻りホームジムでトレーニングをやっています。家は職場から5分ほどの距離です。

筋トレにまつわる今までの経緯としては小学校の頃野球をやっていて、パワーをつけるためにチームで腕立て伏せをやっていたのですが他の人の2倍3倍やればもっと強くなるかと思って、そこから腹筋や懸垂と増えていきました。

本格的なラックやマシンは高校三年で野球を引退してから入会した地元のスポーツクラブで初めて使いました。
高校卒業後は自衛隊に入隊して6年ほど勤務しました。その頃からボディビルに取り組んでいて、勤務後に近くの柔道整復師の学校に通っていました。
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日頃のトレーニングメニュー

基本的には5分割でまわしていてオフはありません。

①脚
②胸
③背
④腕
⑤肩

あとは時間が取れたら背中と腕、胸と肩を一緒にやったりします。昼休みの間に家のことをやりながらだとあまり時間が取れず、一回のトレーニング時間は30分くらいで一区切りです。
休みの日に長くやっていた時もありますが、今は極力短い時間で集中して追い込んで他の時間も大切にするようにしています。

重量を追わずに1セットで追い込む

基本的には重量を求めるのはやめました。
種目自体は変わらず、極力効かせることを追及してどの種目も100㎏以上はほぼ使いません。

1種目につき1セットのみ、大体5分ほどで終えるようにしています。アップを入れてからメインセットに入って追い込んで1セットで終わる感じです。

例えばレストポーズで追い込むとか、ベンチプレスであれば6レップやってから10秒おいてまた6レップを5回くらい繰り返して最後に腕立てで絞りきるとか。脚もスクワットからジャンプスクワットやシッシースクワットを続けて動かなくなるまで追い込みます。

3~4年前からこのやり方です。当時自衛隊の部署が変わり、学校にも行き始めてボディビルも始めたことで時間が取れずにどうしようか調べて色々試していたところ、機会があってJBBF審査員の千束正彦氏から教わりました。

今のやり方にしてから体はだいぶ変わりましたが重量は下がりました。以前はスクワット200~210㎏、ベンチプレス160㎏、デッドリフト180㎏、バーベルカール70~80㎏ほどでやっていたのが、現在はスクワット80~90㎏、ベンチプレス50㎏、バーベルカールはバー(20㎏)のみです。

スミスマシンでのスクワットだと40~50㎏で十分で、デッドリフトを外した代わりに斜め懸垂や10~12㎏でのダンベルローイングを取り入れています。

意外に思われるかもしれませんが自分も最初は驚きましたし、こんな重量で効くわけがないと思いましたが実際にやってみると着実に成長しているし怪我も少なくなりました。

自衛隊では格闘訓練隊にいて怪我が当たり前の感覚で、怪我をしにくい体を作りたいのに結局怪我をしてしまっていました。
経験上も理論上も重量を求めたほうが発達するとは思うのですが、重量を求めると怪我のリスクも高くなります。できるだけノーリスクでハイリターンにしたかったので今はこのやり方を続けています。
できるだけずっとトレーニングはやっていたいですし、50年先にスクワットできなくなったらイヤですし。怪我せずボディビルで勝てるようにしていきたいです。
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特に発達すると感じる種目、そうでない種目

スクワットは特に効きやすく、かなりやり込んでいます。四頭筋はスクワットだけで作った感覚があります。
野球をやっていた頃からタイヤを引いて走ったり、日によってタイヤの個数を変えてみたりなど脚のトレーニングをやり込む傾向があって、当時は意識なくやってましたが今思えばそういうことも影響しているかもしれません。

スクワットは基本的に両足がくっつくくらいの幅のナローで行って、内転筋や尻に効かせたいときにはワイドも入れます。ナローで1セット、ワイドで1セットやって終える感じです。
個人的にデッドリフトは効果が出にくく、デッドリフトをやるならば懸垂やローイングでいいかなと思います。
脚に比べると上半身は苦手に感じていて、特に肩や腕は要練習と要改善です。
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トレーニング中や普段の生活における工夫

ボディビル一筋の感じでのめり込みすぎると周りにも影響が出てしまうので、トレーニングをしているとき以外はトレーニングのことを考えないようにしています。特に意図的に工夫しているというよりは無意識での習慣として根付いている感じです。
トレーニングは5~10分しか時間が取れなくても極力やりきるようにしているのですが、できればもっとトレーニングする時間を作りたいです。

また、寝る前にストレッチでのケアを欠かしません。
トレーニングをするしないに関わらず、誰でも基本的にケアは必ずしてほしいです。
鍛えてケアをして食事をして休む。体を良い状態を保ち、より良くしていく努力をすることや健康寿命を伸ばしていくことが重要だと考えています。他には筋膜ローラーやカッピングを使います。




ストレッチはYouTube等を参考にしても良いと思います。自分が知っているストレッチも限りがあるので、色んな人のやり方を見て試してみるのも良い発見があります。
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トレーニング中の意識

最大伸長と最大収縮をかけていかにオールアウトするかに重点をおいています。前は「出力」がキーワードだったのですが今は「味わう」がキーワードです。
チーティングは使いたくなってもすぐ使わずに最後の最後まで取っておくようにしています。正確に筋収縮のみで刺激を入れたいですし、無理に上げると怪我のリスクも高くなってしまいます。

あとはトレーニング中に声を出さないようにしています。声を出すとパワーは出ると思いますがその分集中が逃げてしまう感じがあります。
自衛隊にいた頃に連帯責任で腕立てをやらされたのですが、うめき声を出したら「ダサい声出すな」と言われたのが残っていて、それ以降は声を押し殺して出さない分丁寧に集中するようになりました。

もう10㎏重くてもいいかなと思うこともありますが、丁寧にやってみるとそんなに重くしなくても良いと感じます。
今のやり方もまだ未熟な部分があって、油断すると重いものを扱いがちなので重量設定をしっかり見定めることが課題です。それでも形は変わってきているのでこのままやっていこうと思います。

日頃の食事で意識していること

トレーニングの前後にしっかりと栄養を摂ることや一日6食を摂ることくらいです。普段はあまり脂質も気にせず、タンパク質も体重×2gくらいにしています。
基本は鶏肉、魚、卵、からタンパク質を摂るようにしていて、特に焼き魚がシンプルで好きです。あとは生野菜を一日一食、両手に収まるくらい摂っています。元々料理は昔から作っていたので、あるものを使って鍋にするときもあります。

摂っているサプリ

エクスプロージョンのメロン、ピーチ、カシス、ぶどう味が飲みやすいです。





マルチビタミンを摂る時もありますが、最近はBとCの錠剤を主に摂っています。

今後の方向性や目標

二年くらい大会に出ていないのでどうなるかわかりませんが、来シーズンはコンテストに復帰して東京クラス別で結果を出して、先々は全日本やジャパンオープンも出場したいです。良い成績が出せるように今後も頑張ります。


取材・文 せきぐち