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「筋肥大と必須アミノ酸(EAA):新処方EAAlphaの開発」Dr.アーニー・フェルナンド 国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)レポート#2

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掲載日:2022.03.24
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2022年2月26日にオンラインで開催された、国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)におけるDr.アーニー・フェルナンドによる講演「筋肥大と必須アミノ酸(EAA):新処方EAAlphaの開発」のレポートを掲載。

ターンオーバーとEAA

健常な機能をもたらすため、筋肉では常に分解と合成のターンオーバーを繰り返している。
血中アミノ酸濃度の増加は筋タンパクのターンオーバーにおいて分解よりも合成を優位にし、運動との組み合わせがどのような効果をもたらすか日々研究行われている。

身体で作ることができない9つのアミノ酸の総称であるEAA(必須アミノ酸)はターンオーバーで合成を優位にする事と強い関連性があり極めて重要である。なお、非必須アミノ酸ではこの効果は得られなかった。
ただ、あくまで体タンパク質合成の面ではEAAが優位ということであり、非必須アミノ酸は体タンパク質の継続的な生成に必要不可欠である。

空腹時や空腹時の運動はカタボリックになるが、プロテインやEAAを摂った場合には合成が優位になり、空腹時においても血中のEAA濃度とタンパク質の合成促進は強い関係性がある。

EAAの摂取はタンパク質合成を促進しつつ分解も抑制する。EAAなどの遊離アミノ酸は胃と腸から直接吸収されるため胃腸への負担が少ない事に対し、ホエイなどのたんぱく質は消化・吸収の過程が必要になる。しかし、タンパク質の合成に関してはホエイ単体での摂取よりもEAAとホエイを組み合わせて摂取した方が効果が高かった。

ただEAAを飲むだけでなく、運動と組み合わせた方が血流促進などにより明らかに高い筋タンパク合成効果があった。

EAAを摂取する適切なタイミングに関して、運動一時間後に飲んだ場合よりも運動前に飲んだ方が取り込みが促進され血中濃度のピークが高くなる。素早くEAA濃度が上がるほどアナボリック作用は上がる。

強いストレス環境下での低カロリー状態ではEAAが内蔵血管床でも使われるようになり、他には胃腸のターンオーバー、肝臓でのタンパク質の生成などにも関与する。
こうした状況では筋肉がEAAの貯蔵庫になり、運動強度が高いほどリカバリーとターンオーバーのためにEAAが必要になる。

高齢者にも大事

年齢を重ねるごとにたんぱく質の感受性が失われるため、高濃度かつ多くのたんぱく質が必要になる。高齢者が若年齢層と同じ効果を得るためには2倍のたんぱく質量が必要になるが、限度があるためEAAで効率的に補うことを推奨したい。
特にロイシン量が低いと反応が鈍く、ロイシン量を高くすることが老化によるたんぱく質の感受性低下に抗う方法の一つである。
特別なトレーニングを行わずに継続的にロイシンを摂取したところ、8~16週間ほどで筋力や速度などの身体能力が向上し、それが維持された。

次世代のEAA「EAAlpha(アルファ)」

講演の冒頭と最後に、本大会長 青柳清治(栄養学博士:株式会社DNS 執行役員 サイエンティフィックオフィサー)氏より、従来のEAAの1/5ほどの量でも同等の筋合成効果が得られるとしている新開発のEAAlpha(アルファ)の特許ライセンスを取得し、夏頃に国内でもDNSから販売開始予定である旨が紹介された。
様々な目的で広く活用できるEAAおよびEAAlphaの需要は今後も高まり続けそうである。
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