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「筋腸軸とアスリートのパフォーマンスにおけるプロバイオティックスの特性」Dr.ラルフ・イエーガー 国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)レポート#3

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掲載日:2022.03.26
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2022年2月26日にオンラインで開催された、国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)におけるDr.ラルフ・イエーガー氏による講演「筋腸軸とアスリートのパフォーマンスにおけるプロバイオティックスの特性」のレポートを掲載。

免疫系や回復を考えてプロバイオティクスを取り入れるには

サプリメント利用の目的は各々異なるが、パフォーマンス向上を目的として使用されるサプリメントはエルゴジェニックエイドと呼ばれる。
除脂肪体重や筋力、体力の向上目的としてはプロテイン、BCAA、クレアチン、HMBなど。持久力を高める成分はベータアラニン、硝酸塩などがある。
メンタル面でのパフォーマンスはホスファチジルセリン、クレアチン、L-テアニンなどの効果が報告されている。

腸は消化管でありながら脳や筋肉とも複雑に相互作用がある。
運動により腸から筋肉に血液が奪われることでタイトジャンクション(細胞のつなぎ目)が開いて通常であれば血中に入らない菌やウイルスが入ってしまい炎症などを引き起こす「リーキーガット」と呼ばれる現象はアスリートにとってリスク要因となる。
ヒトは自分の細胞の数の20倍以上の細菌を持っており、毎年、自体重と同じほどの腸内細菌を便で排泄している。その中には疾患の原因となるものもある。
胃や小腸は細菌の生存には不利な環境となるため細菌の数は少なく、人体で最も細菌の多い臓器である大腸において約30~40種類が99%を占めている。

腸内細菌叢に影響を与える要因

腸内細菌の状態は出生時点からすで差異が始まり、乳幼児に口にしたミルクの種類(母乳か粉ミルクか)でもその後が変わってくる。一例として、ペットが小児の顔を舐めて菌が移ることで、ペットと一緒に育った人は多様な細菌を持っていることがあるが、その分アレルギーや消化管関連の問題が少ないことがわかっている。また、身体活動が少ない人に比べてアスリートの腸内細菌叢は多様であり細菌の種類が多い。

強い抗炎症作用があり長期的な疾患から守ってくれるビフィズス菌は加齢と共に大部分が失われるため外から補給しなければならない。
他には喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣も影響するが明らかに多大な影響を与える要因の一つは食事である。ヒトは食べたものでできている。

アスリートの腸内細菌叢

プロバイオティクスは生きていて健康上のメリットがある微生物と定義されている。
プレバイオティクスはヒトの善玉菌のエサとなるため健康上のメリットが得られる。
イヌリンやフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖やラクチュロースなど化学的に合成されたものもある。

一例として、ヒトの母乳も進化している。母乳には乳児がエネルギー源として活用できない成分が30%含まれており、その30%は腸内のビフィズス菌のために存在する。
乳児の消化管内の菌を養うためのシステムであり、ヒトが幼少期に母乳で腸内細菌を養うことからもこれらのシステムがどれほど重要かわかる。

腸は筋肉と連結している

死んで不活性化した菌でも免疫上のメリットがあることがわかっており、発酵食品(パラプロバイオティクス)は最近注目されている分野である。

プロバイオティクス全体ではっきりわかっている健康上のメリットは消化器系と免疫系の健康の2つで、特定の菌においては気分の改善、抑うつ作用、肌の炎症抑制なども確認されている。

消化管の問題として、消化管の血液の80%が筋肉に移行する「リーキーガット」が起きるとマイナスの影響が出る。
適度な運動は免疫を向上させるが、高強度の運動の継続においては高齢者や乳児レベルまで低下し、自身が保有する病原体により体調を崩すこともある。

プロバイオティクスは運動による筋の炎症も抑制することでリカバリーが促進され、筋損傷に伴う関節可動域の減少を減らすこともわかっている。

たんぱく質の吸収効率を上げる消化酵素がサプリメントに配合されていることがあるが、プロバイオティクスもそれと同じ働きがある。
たんぱく質やアミノ酸を必要とするのはヒトだけでなく腸内細菌も同じということだ。
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