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「クレアチンの脳機能と軽度脳震盪における役割」Dr.エリック・ローソン 国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)レポート#4

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掲載日:2022.04.05
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2022年2月26日にオンラインで開催された、国際スポーツ栄養学会 東京大会(ISSN Tokyo)におけるDr.エリック・ローソン氏による講演「クレアチンの脳機能と軽度脳震盪における役割」のレポートを掲載。

筋中クレアチンと脳内クレアチン

クレアチンは栄養成分として200年、サプリメントとして100年前からという長い研究の歴史を持っており、筋中だけでなく脳内のクレアチンの濃度も変動する。脳の部位間では濃度に差がある。

クレアチンの経口摂取で筋中クレアチン濃度は誰もが10~28%程度増加したが、脳内クレアチン濃度は平均的に4%程度の増加で、変わらない時もあった。

クレアチンの骨格筋に対する効果と脳に対する効果は大きく異なる。骨格筋はクレアチンを合成しないので外から取り込んで使うのが、脳はクレアチンを合成できるので外からの取り込みには抵抗がある性質がある。

クレアチンは肝臓、膵臓、腎臓で合成され、認知トレーニングが脳内のクレアチンを増やすとも考えられている。

クレアチン濃度の個人差

脳内クレアチンは脳機能の異なる領域で重要な働きをしているが、それに関する研究はまだ少ない。認知に関する研究もあったが、対象者の食事趣向や体調、生活様式などが大きく異なるため比較が困難である。

ベジタリアンの場合は血中や筋中のクレアチン濃度が低く、雑食から菜食にした場合でも一ヶ月近くで血中クレアチン濃度が低下することがわかっている。また、クレアチンの反応や増加率はベジタリアンの方が高い。
一方でベジタリアンと雑食を比較すると、サプリや食事からの摂取による差はあっても、筋中クレアチン濃度が変化するのみで脳内クレアチン濃度に差はない。

また、動物とは脳の構造に差があるため動物実験をそのままヒトに適用するのは知見を複雑にしてしまうため注意が必要である。
なお動物間でも異なることもあり、経口摂取したクレアチンはラットは肝臓に蓄積されるが犬では筋に蓄積されるなどの違いもある。

まとめ

サプリメントで経口摂取するクレアチンは脳に入らないが増加は若干することがわかっている。脳内クレアチン濃度が十分に高いと補充されないが、欠乏していると補充される可能性もある。

脳内クレアチン濃度が高いことで脳のダメージを軽減し、脳震盪による損傷の重症度を下げる可能性や、めまいや疲労感、脳エネルギー代謝障害や後遺症が改善される可能性も示唆されている。現時点では軽度の脳震盪であれば肯定的である。

また、一日あたり最大30gのクレアチン摂取を5年続けても有害な影響を与える根拠はない。今後も研究精度を高め、ヒトに与える作用や特性を詳細に把握していく必要がある。
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