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【屈強インタビュー】#30 井上力輝 "違和感は改善のチャンス"

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掲載日:2022.06.30
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2021年京都府ボディビル選手権優勝、日本ジュニアボディビル選手権4位などの実績を持ち、日々の試行錯誤と研究に取り組む井上力輝氏に日頃のトレーニングや取り組みについて伺った。

普段の生活や仕事に関して

今は大学院で鍼灸学を研究しています。
研究してる分野はいろいろですが特に鍼によるモチベーションの向上や鬱に対する効果など、主に精神面への影響を研究しています。あまりトレーニングとは直結しにくい内容です。

一般的に鍼や灸は腰や肩などの運動器に対する施術のイメージがあるかと思いますがその分野はすでに研究が進んでいて、鬱病と診断された人に対しても鍼が自律神経系に作用してリラックス効果を高めて不安を解消していくことで治療効果も実証されています。

僕が研究しているのは鬱と診断されていない一般的な人において、やる気が出ないような状態に対して学習意欲や物事への集中力をどう変化させられるかという研究です。

少し掘り下げると耳鍼(みみしん)と呼ばれる、耳に鍼をして脳の中枢神経に働きかけて変化を見る方法で、日本では珍しい研究ですが探り探りで進めています。

高校を卒業するまでサッカーをやっていたのですが怪我が多く、度々鍼治療のお世話になったことが鍼に興味を持ったきっかけです。本格的なトレーニングを始めたりコンテストに出ようと思ったのは大学に入ってからです。
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日頃のトレーニングメニュー

脚(前)、脚(後)、胸、背中、肩、腕と腹筋の6分割です。

今までは脚を前後分けずに5分割だったのですが、やっていくなかでどうしても脚を前後一緒にやるとセット数が増えて時間がかかり腰に強い疲労感がありました。
脚を前後に分けるようにしてから腰が疲れずに体感も良いです。

全体的に種目は変えずに順番を変えるくらいで、基本的なことをやっています。
脚ならバーベルバックスクワット、胸ならベンチプレス、背中ならラットプル。肩はサイドレイズ、二頭はバーベルカール、三頭はプレスダウン。特殊な種目はやっていません。

ただ、スミスマシンで三頭を狙ったナロープレスが苦手です。
ナロープレスを取り入れている方も多いかと思いますが、フォームなのか骨格なのか自分は三頭よりも胸に刺激が入ってしまいます。

あとは床引きのデッドリフトは高重量で引けません。何回かそれで痛めてしまっていて、トラウマになっている事もあって控えています。
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トレーニング中や普段の生活における工夫

まず重量を大事にしています。
目的ごとにフォームも少し変えていて、重量を扱うならば重量が扱えるフォームを作り、ストレッチを狙うならばその目的に合わせたフォームにします。

現在も重量は伸びていますが、調子よく伸びているときに怪我することもあるので、フォームに違和感があったらその都度修正したり、重量が伸びたら一度そこでフォームを見直すようにしています。トレーニングができなくなるような大きな怪我ではなく「なんか痛いな」程度のものですが、軽く痛めたら負担がかからないようなフォームを再考するいい機会としてポジティブに捉えています。60㎏のフレンチプレスで亜脱臼したときもありますが、それでベンチプレスができなくなったり等はありませんでした。

速度も重要な要因です。動作を速くしすぎると関節が痛くなるので、ゆっくりというよりは可動域全体で負荷を逃がさずに収縮を感じ続けるようにしています。
ハイレップの時はドロップセットでやります。10回くらいやったら重量を落としてまた10回というように、ストレートセットで30回ではなく、トータルで30回くらいです。
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日頃の食事で意識していること

オフはタンパク質と炭水化物をベースにしてそれ以外は基本的には好きに食べています。
栄養が足りないのは良くないですが、かといって食べ過ぎて倦怠感がトレーニングに影響しないように注意しています。

減量期間は4ヶ月くらいです。
今も減量中ですが、減量に入って最初は詰めすぎずに揚げ物をやめるくらいから始めます。
一日の総摂取カロリーとしては4000kcalから入り、2500kcalくらいになると疲れやすくなってくるので、疲労が抜けにくくなったら週2くらいの頻度でハイカーボの日を入れるようにしています。

去年、摂取カロリーを落として有酸素を増やしたらトレーニングに影響が出てしまい、そこから炭水化物を入れたら体重は戻らずにトレーニングに集中できるようになりました。減量最後の1~2㎏は気合いです。

僕の場合は汗を目安の一つにしていて、トレーニング中に汗をかいているとパワーも出るし代謝も良く、汗をかかなくなると減量が停滞する傾向にあるので、汗をかかなくなる手前くらいの状態が理想的かと思います。
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摂っているサプリ

ブランドにはこだわらず、プロテイン、BCAA、ホエイペプチド、クレアチン、デキストリンを摂っています。

トレーニング中は3~5gほどクエン酸を摂っていて、多く摂ると酸っぱくなってしまうのですがトレーニングの後半にもバテずに力が出せます。トレーニングを始めてからずっと継続して摂取していて摂らなかったことがないのでどれだけの貢献があるのかは不明ですが、とりあえずはプラスになっているように思います。

過去と今でトレーニングや食事における変化

細かい管理をしたり「今摂らないと」と思う事がストレスになるので、食事に関しては逆にルーズになってきたと思います。栄養が不足せずにトレーニングがしっかりできていれば良いので、一日外に出るときはおにぎりだけ持ってプロテインで済ますこともあります。

オフの話ですが去年の日本ジュニアが終わってからオフが7ヶ月あり、その間にしっかり体重を上げようと思い炭水化物を多く摂ったのですが体重は伸びず頭打ちになってしまい、方針を変えて卵を一日10個食べたら体重がグンと伸びました。脂肪も多少は増えましたがそこまでというわけでもなく、非常に良いバルクになったと思います。

今後の方向性や目標

まずは関西選手権で結果を残すことです。あとは、自分がまだ通用するとは到底思えませんがジャパンオープンと日本クラス別でも結果を残すことを目標に頑張ります。

ジムではだいたいイヤホンをしてますが、気軽に話しかけて頂ければ嬉しいです。今後も応援よろしくお願いします!


取材・文 せきぐち