ジャパンストロンゲストマン2023統一予選/ジャパンストロンゲストウーマン2023【SBD APPAREL JAPAN Presents】観戦レポート
大会前の準備風景。カーデッド用のフレームとヨークキャリー用ラック
カーデッド用フレーム。150㎏。
カーデッド用のトラックは寄居駅からすぐのところにあるヨリイレンタカー様にお借りすることができた。特殊な用途にも関わらず誠にありがとうございます。
今大会の屋内種目はログプレスの一種目だけで他の種目は屋外の駐車場で行われる。スペース確保のため駐車場の一角を占領していたランニングマシンはコンテナの上へ一時的に移動され前衛芸術のようになった。
協賛品のフィットサンド。
どら焼き自体にPFCが記してある。カーボ補給は種目前や種目間に最適だ。ものすごくおいしい。
開始前ミーティング。ハードな一日が始まる。
①カーデッドリフト reps/60sec
-80kg 軽トラック
-100kg 軽トラック+約100kg
無差別 軽トラック+約200kg
JSW(ジャパンストロンゲストウーマン) タイヤリフト
▲ルール
サイドハンドル
デッドリフトスーツ無し
フィギュア8、フックタイプのリストストラップ禁止
タッチアンドゴー(降ろした反動でのリフト)禁止
両サイドに設けられたハンドルは広く、ワイドグリップ気味になる。ローレットは刻まれていない。膝ほどまでの高さがあるおかげでトップサイドデッド気味になる。
トラックやフレームの総重量そのものを持ち上げるわけではないにせよ、かなり鍛え込んだ者でも簡単には上がらない。なお高性能な四駆を搭載した軽トラは通常の軽トラよりも重く、競技をよりハードなものへと彩った。
心身両方の強さを持ち合わせるストロングマンの象徴として「人間強度」という特有の言葉が用いられる。こうしたある程度の条件の変化にも柔軟かつ果敢に対応できるのが真のストロングマンなのだろう。
なお準備の間に私もカーデッドを試みたが1ミリも浮かなかった。出直して来いと背後の四駆が言った。
せっかく上げてもコールがあるまでに降ろすとカウントされない
回数自体にポイントが付与されるのではなく、回数により決まった順位に対してポイントが付与されるため競技的に見れば駆け引きの側面も持ち合わせている
パワーリフティングにおけるデッドリフトのようにコントロールして降ろす必要はないため音を立てるように降ろして問題ない。むしろ降ろす局面で極力体力を使わないことも重要な戦略だ。
80㎏以下級の丸山大輔選手。カーデッドで圧倒的な速さと回数を記録した
無差別級は+約200kg。ビッグファイブ&男衾ボディビルジム代表の杉田氏は操縦の傍らで重りとして搭乗。
軽トラ+200㎏のデッド
JSW(ジャパンストロンゲストウーマン) はタイヤリフト
軽トラに比べればまだ軽そうに見えるが実際はかなりの重量がある
57kg級スクワット日本記録保持者、中島沙也香選手。競技が変わってもベースの強さは健在。
第一種目終了。30分を空けて次の種目へ。
②ログクリーンアンドプレス reps /60sec
二種類のログ
-80kg 83kg
-100kg 93kg
無差別 113kg
JSW(ジャパンストロンゲストウーマン)43kg
▲ルール
フロアトゥオーバーヘッド
スプリットジャーク禁止
太い方は61㎏。
競技開始前のアップ&練習風景
挙上後は顔を正面に向けないと成功試技としてカウントされないので注意が必要だ。
43kgのログを挙上
ノービスは63kg
80kg以下級のログは83kg。
挙上時は不安定になりやすいが一旦静止する必要がある
プレートが追加される。無差別級は総重量113kg
観戦者も固唾をのんで見守る
摩擦を増やして支えやすくするため腹部や胸部に炭マグを塗布している。
③タイヤフリップ/ヨークキャリー メドレー time /75sec /reps+14m
-80kg 250kg 5 frip / 240kg
-100kg 250kg 3 frip + 380kg 1 frip / 270kg
無差別 380kg 3 frip / 300kg
JSW(ジャパンストロンゲストウーマン)250kg 1 frip / 140kg
タイヤフリップとヨークキャリーを続けて行い、完遂時のタイムで順位を競う。
タイヤフリップはデッドリフトに似た動作ではあるが、垂直ではなく斜め上方へ素早く押し上げる技術が必要になる。一挙動で肩付近まで持ち上がればいいが、腰までしか浮かない場合は膝を入れて大腿部で支えながら返す。その上でタイヤもヨークキャリーもなるべく早く完遂する必要があるため見かけ以上に難易度が高い。
タイヤを規定回数フリップした後、
すぐにキャリー。ゴール時のタイムで順位を競う
タイヤは垂直ではなく斜め前に持ち上げる。
ノービスの牛尾優介選手。凄まじい速さでヨークキャリーを完遂
膝を差した場合はもう一段階持ち上げる技術が必要になる
無差別級は300kg
タイヤの達人と名高い吉川実選手によるお手本のようなフリップ。一連の所作に一切の無駄がない美技である。軽々とやっているように見えるが高いフィジカルと技術の成せる技であり普通の人間ではタイヤが浮くこともない。一挙動でのフリップは高難易度ではあるが時間効率が良く、タイムアタック系の種目において大きな優位性となる
タイヤを開始地点に移動するのも数人がかりで行う。第三種目を終えて男子はここで終了、残るはJSWのアトラスストーン。
④アトラスストーンオーバーバー time /60sec/1m
55kg 4reps
腕にはテープを巻き、ストーンには松ヤ二スプレーをかけることで摩擦が増えるが重く持ちにくい形状である事には変わりない。バーベルの60㎏と球体60㎏では全く違う。
安心と安定のセルデスマット
これを越さねばならない
開始前のアップをトラックから見守る
競技開始。4回バーを越すまでの時間で順位を競う。
球体を抱え込む特有の技術と筋力が必要になる
結果/表彰
1位 細川広司
2位 萩原裕太
3位 牛尾優介
1位 丸山大輔
2位 山本拓己
3位 今井準
1位 大吉陵介
2位 吉川実
3位 五ノ井武
1位 瀧川みなみ
1位 中島沙也香
2位 小柳みさと
観戦や応援など諸々大歓迎だ。常軌を逸した日本最高峰の人間強度を目撃してほしい。
取材・文 せきぐち