【ボディビル自由研究】ストレートアーム種目で上腕二頭筋は肥大するか
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発端:体操選手の上腕二頭筋は何が発達させているのか
そのアカウントいわく、男子体操選手の上腕二頭筋はアームカールなどを行っていないが非常に肥大し発達している。それは肘を伸ばした状態での高い力発揮によるものだと考察し、その最たる例として吊り輪を挙げていた。
確かに、国内外の選手を問わずメディアで体操選手が映ると肩や上腕にかけての筋量と丸みに目が行ってしまう。ビルダー目線だ。
さらにそのアカウントは「体操選手の上腕二頭筋を見習うならば肘を伸ばした状態での種目で似た効果を得られる可能性がある」としていくつか種目を紹介していたので実際どんな感じなのかやってみようと思う。
また、言うまでもなく体操競技は演技やパフォーマンスの難易度や技の美しさなどを競うものだ。高難易度の技を習得するために強い筋力が必要になることもあるだろうが、筋を肥大させることが目的ではない。にもかかわらず練習を通じて副次的に筋肥大が起きているのだから凄まじい。試してみる価値がありそうだ。
肩と腕周りの筋肉と動作を考える
上腕三頭筋の発達も凄まじい。これも肘を伸ばす動きや、肘を伸ばした体勢での支持や制動によるものと考えるのが自然だろう。上腕全体の発達と相まってアーモンドのような楕円形の腕を形成する。
では上腕二頭筋はどうなのか。なんとなくのイメージだが体操の競技動作において肘の屈曲に強い負荷がかかる動作や局面はあまりパッと思い浮かばず、どちらかと言えば肘を伸ばして支持するような体勢の方が印象に強い。果たしてどの局面で上腕二頭筋が発達するのか。海外アカウントの投稿にある通り、肘を伸ばした状態での力発揮が関連しているのだろうか。
余談:上腕二頭筋は第五の回旋筋腱板説
例えばぶら下がった際、上腕骨が肩甲骨から離れないように回旋筋腱板と呼ばれる4本の小さな筋が総動員されるが、合わせて上腕二頭筋もその作用の補助に入る。これらは遥か昔、木にぶら下がっていた頃の名残とも言われている。実に懐かしい。
同様に、吊り輪や鉄棒に代表されるように特に上半身の高い筋力を要求される種目において、動作の遂行と並行して肘と肩の保護の目的で発達している可能性もある。
吊り輪の研究を見つけたぞ
中水平支持
ものすごく掻い摘んで超訳すると、吊り輪の熟練者群と未熟者群の中水平支持の筋活動を比較した大きな違いは以下。
・未熟者ほど大胸筋を動員する
・熟練者ほど三角筋前部と上腕二頭筋を動員する
・負荷を軽くすることで未熟者でも熟練者と似たような筋の動員になった
熟練者ほど大胸筋よりも三角筋前部と上腕二頭筋を動員する意外な結果。
中水平支持に限っても、この結果を受けると肘を伸ばした状態での力発揮が上腕二頭筋の筋肥大に多大な貢献をしている可能性がある。
ストレートアーム種目をやってみる
①インクラインフロントレイズ
肘を伸ばし、掌を上に向けた状態で肩より上まで持ち上げる。なるべく二頭の動員を意識した。テコ(モーメントアーム)が長くなるためインクラインカールの半分ほどの重量が限界だった
②オーバーヘッドサイドレイズ
肘を伸ばし、掌を上に向けた状態で肩より頭上まで持ち上げる。通常のサイドレイズよりもかなり重量は落ちた
③フロントレイズ
肘を伸ばし、掌を上に向けた状態で肩ほどまで持ち上げる。降ろしたときに二頭から負荷が抜けてしまう感があった。①のインクラインフロントレイズのほうが可動域全体で筋緊張を保ちやすかった
④ケーブルフロントレイズ
肘を伸ばし、掌を上に向けた状態で前方へ持ち上げる。やってはみたがダンベルの方が意識しやすい気がする
まとめ:やってはみたがメインに置くのは少し不安
二頭は十分に動員されていたように思うが、果たしてこれらの種目だけで十分に筋肥大が起こせるかを考えると正直疑問だ。二頭筋の機能を考えた場合には一般的なカール系種目のほうが間違いなく理に適っている。
しかし通常のカール系種目とは刺激が大きく異なるため、通常のカール系種目とストレートアーム系種目を合わせることで何かしらのプラスの相乗効果があるではないかとも思えた。
ストレートアーム種目だけを数ヶ月単位でやり込んでどれだけサイズが変わるかを計測するほどの気概は持ち合わせていなかったため(オフ期から減量期にかかることで正確な二頭筋の変遷が計測できない懸念もあった)本記事ではバリエーションの提案のみに留まるが、突出した二頭筋を獲得するために今後しばらくカール系とストレートアーム系をどちらも組み込んで検証していこうと思う。
ある程度の期間を経て明確に二頭が成長した際には改めて勝手に報告させて頂く。では、ごきげんよう。
https://www.juntendo.ac.jp/assets/2008-M-525.pdf