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第5回 NSCA国際カンファレンス 〜実技編〜

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掲載日:2017.07.12
NSCA国際カンファレンスの取材の中で、実践形式となった実技のセッション。
トレーナーの方や、指導者の方々は、このような学びを現場に活かしているのだということを知る事ができました。

本当は、全ての講座を紹介したいところですが、ハイライトで一部、みなさまにご紹介したいと思います。

小松清隆氏による「股関節のモビリティを向上させるためのアプローチ」

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「股関節は、人間の関節の中でも最も大きくて、体の重心近くにあるのでパワーを発揮するために、最も重要な関節です。
日常動作においても、歩行、走行や階段の上り下り、椅子から立ったり、床にあるものを持ち上げたりするのに必要不可欠なのです。

まさに、股関節が適正に動いていなければ、これらの動きはできません。
体操や、バレー、格闘技など様々なスポーツにおいて、股関節の可動域があらゆる角度で求められます。」


講座の中では、様々な器具を使い、
軟部組織(皮膚・筋膜・筋肉・神経・腱・靭帯など)を円滑に柔軟に動かす方法を学びました。
日常生活においても、股関節の柔軟さがいかに大切なのか分かりました!


■小松 清隆氏
CSCS,*D, NSCAジャパン理事・アメリカンクラブ

Juan Carlos Santana氏による「ゴリラストレングス −コリジョンスポーツのためのストレングストレーニング−」

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ゴリラストレングス…この魅力的なネーミングはいったい何でしょう?
ゴリラストレングスとは、日常生活や、競技動作で見ることができる特別な筋力のこと。
それは、ジムでのリフトやマシンエクササイズとはまた違います。

ゴリラストレングスは、ある一つの大きな筋に依存しない、いくつかの筋システムが関わったコーディネーションによるものです。

“現実的動作に基づく機能的な姿勢で実践”することなのです。

Juan Carlos Santana氏の考え方は、
「ストレングストレーニングの実践は、人間の意志を高めるためのリハーサルである。
実践において、成功と失敗を重ねた実践は、学びを生み、人間の意志を強くさせる。」

哲学的な考えをお持ちのSantana氏による、激しくも熱のある実技講座は、アッという間の1時間半でした。

簡単な器具は使いますが、
主には、自重トレーニング、人を重りの代わりにして持ち上げるなど、器具がなくてもできる方法で行われました。
器具の利用に捕らわれるのではなく、自由な発想でトレーニングをするというサンタナ氏の思いが詰め込まれたエキサイティングでクリエイティブな講座でした。


■Juan Carlos Santana
MEd, CSCS, 元NSCA 副理事長・インスティテュート・オブ・ヒューマン・パフォーマンス(IHP) (米)

牧野 講平氏による「The Beauty 美姿勢・美ボディライン獲得のために」

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女性にとっても興味深い実技セミナーでした。

呼吸と美しい姿勢は大いに関係しているという、目からウロコのお話からスタート。

深い呼吸をするために、姿勢をどのように改善していくのかという、
様々な手技を教えていただきました。
使えていない筋肉をしっかりと使えるようにしておかなければ、呼吸がしっかりとできないということが分かりました。

実践でパートナーの方に実習でやっていただいたので、終わる頃には呼吸がとても深くなっていて驚きました。

美しいボディになるためには、深い呼吸から!


■牧野 講平
CSCS, NSCAジャパン認定検定員・ウイダートレーニングラボヘッドパフォーマンススペシャリスト

青木 達氏による
「チームスポーツのためのスピードトレーニング
〜様々なポジションを考慮したスピードの向上〜」

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参加者が汗だくになって行われたスピードトレーニングの講座。

ラグビーや、アメフトの選手など、走る競技の指導に役立つ講座が行われました。
スピードトレーニング、加速力はどのようなスポーツにおいても重要になります。

正しいスプリントテクニックを習得するには、可動性と筋力、持久力を改善する必要があるということがわかりました。

「筋力トレーニングをすると同時に、スプリントトレーニングをしていくことが重要である」
ということに基づき、
全力で取り組むトレーニングの実践が行われました。

このような知識を、子ども達の指導者の方々が日頃のトレーニングに取り入れ、実践していけば、
日本の子ども達の走る競技能力がグンと上がるのではないかと思いました。


■青木 達
NSCAジャパン認定検定員委員会副委員長,CSCS,*D
龍谷大学スポーツ文化活動強化センターストレングス&コンディショニングコーチ

Ian Jeffreys氏による
パフォーマンスを最大化する
-スピード&アジリティ向上のためのゲームスピードアプローチ-

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朝一番で行われたIan Jeffreys氏の座学の講座
「パフォーマンスを最大化する
-スピード&アジリティ向上のためのゲームスピードアプローチ-」実践講座が
NSCA国際カンファレンス締めの実技講座として行われました。

朝に聞いたお話を、実践していくという形で最も分かりやすい講座のひとつでした。
Jeffreys氏は、自身が元プロのラグビー選手であり、特にスピードとアジリティに関して、世界的にエキスパートとして認められている方です。

アジリティを鍛えるとなると、つい器具に頼りがちですが、
Jeffreys氏の講座は器具を使うことがなく、実戦で役に立つ対人で行うアジリティ強化トレーニングでした。
実際に体を使ってのアジリティを鍛えるトレーニングはとても難しく、
日頃体を鍛えている参加者の方々もなかなか思い通りに動けないようでした。

Jeffreys氏のこの講座内容は、日本のアジリティやスピードが必要な競技の人達が知りたい内容だと思いました。


■Ian Jeffreys
PhD, FNSCA, ASCC, CSCS, *D, NSCA-CPT, *D
サウスウェールズ大学(英)ライフサイエンス&教育学部上級講師
オールプロパフォーマンス代表

いかがでしたか?

3日間、様々な実技講座を取材しながら受講させていただきました。

参加されている方々の真剣さ、また講師の方々の情熱のこもった素晴らしい講座に心打たれました。
このように真剣に学んでいる人達が、
日本において、スポーツ選手や、それを目指す人たちを支え、一般の人たちの健康づくりに大きく貢献しているのだな…
と改めて感じることができました。

ぜひ、興味のある方はNSCAのHPをご覧ください!



文:カナ


特定非営利活動法人NSCAジャパン(全米ストレングス&コンディショニング協会・日本支部)

HP:www.nsca-japan.or.jp
Blog:オフィシャルブログ