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ボディビル審査員が語るステージの着眼点 #第12回全国高校生ボディビル選手権編

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掲載日:2017.11.07
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非常に高いレベルで行われるボディビルコンテストにおいてどういう着眼点で選手に順位がつけられているのか、どうすればもっと順位を上げることが出来るのか。


競技を広めつつ、すでに競技に取り組んでいる方やコンテストへの出場を迷っている方の後学にすべく、先日行われた国内最高峰のコンテストである日本・全国ボディビル選手権において実際に本大会の審査を行ったJBBF(公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟)の常務理事/女子委員会委員長/広報委員会委員長を務め、国内外のボディビルコンテストにおいて多くの入賞歴(詳細は末尾に記載)がある辻本俊子氏に解説と批評を依頼した。


本稿では第12回全国高校生ボディビル選手権大会を例に取って紹介していく。
公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 審査員 辻本俊子氏

公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 審査員 辻本俊子氏

高校生部門の選手は、今までは上半身だけもしくは下半身だけが発達している選手が多く見受けられてきましたが、昨年あたりからレベルが格段に上がってきています。

特に今年は見た瞬間に脅威がありました。
10代とは思えないほど全身のスキがなく、ボディビルの選手を目指して来たなという印象の選手も多く、ポージングも深く研究してしっかりと作ってきた感じがありました。

以前は上半身だけ、もしくは下半身だけが発達している選手が多く見受けられましたが、バランスの整った選手が増えてきていて、特にトップ2の脚は飛び抜けていました。

若いうちに脚を太くすることは非常に大変なことですが、研究とトレーニングを重ねて作ってきた感がよく伺えました。

高校生部門のトップ6名は16~23歳を対象としたジュニア部門へと進むのですが、そこでも全く引けをとっていませんでした。高校生程の年齢では身体を仕上げることが難しい傾向にあるのですが、ポーズ、バルク、仕上がりが素晴らしい選手が多かったと思います。

1位 相澤 隼人

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まず全てのバランスが良いです。
ジュニア層で作りにくい下半身をしっかりと作り上げていて、各部分の充実感、肉厚さも卓越しています。

それらに加えてポーズに対しての評価が高いです。ボディビルではいかに大きくてもそれをうまく見せなければ評価は下がってしまいます。相澤選手は17歳にして風格があり見せ方が非常に上手く、「見てくれ!」という強いアピール感がありました。

会場の視線を集めたフリーポーズに関しても非常によく研究され、繋ぎ目がなく一つ一つの動きが流れるように表現されていました。

2位 岡 玲治

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左:岡選手 右:相澤選手

左:岡選手 右:相澤選手

非常にきれいな仕上がりでよくまとまっています。
1位の相澤選手に比べると脚のボリュームや各部位の大きさ、充実感が課題になりますが、一つ一つを大事に鍛えている感があり全身のバランスがとても良く整っています。

ダブルバイセプスポーズはよくとれていますが、バックラットスプレッドのポーズを取る時に肩が上がってしまっています。
肩が上がった状態では広背筋を伸ばしてしまうことで細く見えてしまいます。
肩が下がれば本来の背中の広さが見せられますが、下がり過ぎもなで肩に見えてしまうため気をつけたいところです。1位の相澤選手はうまく首周りの力が抜け、背中の広さと厚みを十分に見せています。

力を入れすぎてしまうと縮まってしまいますが、上手く力が抜けると広がってみせられるので、力みすぎずに上ではなくて横に広がるようにできればさらに良くなります。

審査員がバックポーズで見るのは密度やボコボコ感、脚のボリュームです。脚に関してはまっすぐ後ろに引いてしまうと細く見えてしまうため、股関節を外旋させながら引くのが理想的なポーズです。
足幅については狭いと細く見える上に不安定になってしまい力が入りにくくなってしまうため、外旋に加えた適度な広さが足を良く見せるポイントです。


3位 八巻 晴太

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サイドチェストポーズ。一番右が八巻選手

サイドチェストポーズ。一番右が八巻選手

フロントリラックスポーズが一番映えていました。
下半身はまだこれからというところですが上半身は良く鍛えられていて、特にウエストから広がっていく背中や、肩の丸みは素晴らしく、長身でよく目立っていました。

ポーズに関してはサイドチェストの時に沈み込みが浅く、直立すぎてスラッと細く見えてしまっていた点が非常にもったいなかったです。
背が高い選手は真っ直ぐ立つと一層スラッと見えてしまうため、沈み込むことで足に重心を乗せ、より筋肉を出すことが大切です。

骨が長いと筋も長いのでひときわ太くしないと大きく見えないのですが、この身長でこの大きさは相当凄いと思います。今の上半身の状態に加えてさらに足がついてくると理想的です。
  

4位 上田 皓大

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一番右が上田選手

一番右が上田選手

肩や脚の発達がとても良く、柔軟性のある伸びやかなフリーポーズは良かったです。
しかしサイドポーズで細く見えてしまう点や、バックダブルバイセップスの時に肘が上がりすぎることで広背筋が伸ばされて細く見えてしまう部分はもったいない部分でした。

トレーニングを積み重ねてさらに筋の丸みを出していくことと、腕を一回り太くしていくことが課題に思います。

5位 深井 フェリペ秀幸

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左から二番目がフェリペ選手

左から二番目がフェリペ選手

全体的な筋量、重量感、密度がしっかりしています。
もう少しの絞りがあれば順位も上がっていたと思いますが、特に上半身のボリューム感はとても良いです。

6位 垣沼 正紀

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一番右が垣沼選手

一番右が垣沼選手

一番右が垣沼選手

一番右が垣沼選手

全体的に丸みがあり、肩の丸みは特に素晴らしいものです。肩の丸みが見せられるということはそれだけ筋量があるということで、一際の努力が伺えます。
脚もしっかりとできていて、四頭筋も外に出ているキレイな体型です。

バックポーズでの背中の広がりを出すことと、ハムストリングスが課題になります。表裏のバランスを良くしていくとさらに上にいけると思います。

総評

レベルが非常に高く、体を作るために各々がしっかりトレーニングをやりこんでいる選手が増えてきた印象を受けました。

ジュニア部門も含めて言えることですが、ポージングのみに気が向いてしまってあまり意識していなかった選手もいるかと思いますが、審査はステージの横から出てきた瞬間から既に始まっています。

良い選手ほどそれを分かっており、ステージに上った瞬間から一切のスキを見せません。並んでポーズを取る前の段階である、ステージに姿を表したときの第一印象が非常に重要です。

短期の目標だけでなく長期目標も決めておき、急がずゆっくり無理な減量をせずに一つの筋肉を作り上げていってください。
なにより常に安全を第一に考えてケガをしないようにすることが大切です。多くの将来性があり、今後が楽しみです。
辻本 俊子氏 

【ボディビル戦歴】
1987年第1回東京クラス別ボディビル選手権46kg級優勝
1987年第5回東京ボディビル選手権大会ミスの部優勝
1991年社会人ボディビル選手権大会マッスルの部優勝
1992年日本クラス別ボディビル選手権大会52kg級優勝
1992年日本ボディビル選手権大会第10回女子の部優勝
1993年ワールドゲームス(オランダハーグ)52kg級7位

公社)日本ボディビル・フィットネス連盟理事/女子委員会委員長、東京ボディビル・フィットネス連盟副理事長

【資格】
保健体育教員免許、THP指導員(企業向け)、NESTAシニアフィットネストレーナー、国際ボディビル・フィットネス連盟国際審判員


公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 ホームページ

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