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ボディビル審査員が語るステージの着眼点  #第29回日本ジュニアボディビル選手権編

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掲載日:2017.11.14
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ボディビル競技はどういう着眼点で選手に順位をつけているのか、どうすればもっと順位を上げることが出来るのか。

競技を広めつつ、すでに競技に取り組んでいる方やコンテストへの出場を迷っている方の後学にすべく、先日行われた国内最高峰のコンテストである日本・全国ボディビル選手権において実際に本大会の審査を行ったJBBF(公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟)の常務理事/女子委員会委員長/広報委員会委員長を務め、国内外のボディビルコンテストにおいて多くの入賞歴(詳細は末尾に記載)がある辻本俊子氏に解説と批評を依頼した。


本稿では第29回日本ジュニアボディビル選手権大会を例に取って紹介していく。

1位 相澤 隼人

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サイドトライセプスポーズ

サイドトライセプスポーズ

ジュニアの部の選手は皆、出てきた時にまず脚の筋量、ボリューム感のすごさを感じました。

トレーニングは上半身はやりやすく下半身はやりにくいものですが、高校生の部、ジュニアの部とダブルで優勝を飾った相澤選手の脚は卓越していて、脚があるからこそ全体の重量感が感じられます。
全体的な密度と厚みがあり、身体を作り込んで来ている選手が多い中一際目立っていました。

逆に足だけ大きくてもバランスが崩れてしまいますので、あくまでボディビルは全体のバランスが重要です。

それらに加えてポージングに関しても正確で、上腕三頭筋を出すサイドトライセプスにしても、その部分以外もしっかりと見せられていています。僧帽筋がもっとついてくると更に良いでしょう。

2位 黒川 宏太

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左が黒川選手

左が黒川選手

ポージングも上手く全体の筋量がバランス良くついていて重量感があります。下半身も発達してカーフまで存在感があります。

下半身に対して体重のかけ方が上手く、足を地につけてポーズをとっている印象があり、脚の筋肉の形がキレイに出せています。

サイドポーズでは1位の相澤選手に引けをとらない程素晴らしく、現在でも十分大きいですが、優勝を奪うには今後は上腕三頭筋と背中の下からの広がりと、ハムストリングスが課題だと思います。

3位 吉岡 賢輝

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中央が吉岡選手

中央が吉岡選手

上半身の筋肉は非常に素晴らしく、きれいな体型をしています。その反面、さらに上位を狙うにはウェストとカーフ、下背の細さが目立ってしまうため、そこの強化が望まれます。

4位 市川 悠道

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サイドトライセプスポーズ

サイドトライセプスポーズ

ジュニア部門では稀な程大きな体躯と風格です。
サイドトライセプスの際には大腿部の筋を出すために前足に荷重をするのですが、後ろ足に重心が乗り、足幅が広いように見受けられました。

正面から見た際には左右の内転筋が擦れるほど一回り大きくつけられると良いと思います。全体的にもうひとまわりずつ大きくできれば更に良くなります。

5位 草野 亜基

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プロポーションが良く、ポーズも安定している感じがあります。脚がしっかりと出来ている反面、優勝を狙うならば一層の腕の強化が望まれます。  
全体的にバランスよく鍛えられているので更に進化を期待したいです。

6位 森川 諒也

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脚も良く全体的な大きさはありますが、上位に比べると細さを感じるため、腕をもう少し太くできると良いかと思います。

背中に関しては現在の状態からトレーニングを重ねることでさらに下背部のほうまで発達していくと思います。一回り大きい僧帽筋を得るためにも、特に大筋群を使用する種目を推奨したいところです。 

総評

総じてジュニアは途端に仕上がりもポーズもレベルが上がり、一般の部に迫る勢いです。

近年の若年層の選手は顔が小さい選手が増えてきているように思います。従来のボディビルのイメージで持たれがちなゴツいイメージから、キレイでかっこいいイメージを作ってくれそうな選手が多くでてきています。
それでいて脚がしっかりと太く、全体のプロポーションも良いです。

ポージングに関しては、両腕を後頭部に当てて腹筋と大腿全部を見せるアブドミナル&サイでは背中の筋量が分かってしまうため、ポージングの技術も勿論のこと、部分ごとの絶対的な筋量も必要になります。

さらに、ステージ上では鏡がないため、自分がどういう形でポーズをとっているか、理想的な形でポーズをとれているかは感覚で掴まなければなりません。

熱心に競技を研究をするとどうしてもトップ層の選手の細かいテクニックをまねしてしまいがちですが、目標となる理想をイメージしながらあくまで基本や土台となるベンチプレス、スクワット、デッドリフトなどの主要種目を大事にして怪我を起こさないようにすることが第一です。

ボディビルにおいてはただ筋を縮めるだけが筋を大きく見せる手段ではありません。競技として捉え、順位を上げるためにはいかにして大きく見せるかを意識したポージングやトレーニングを考えることが大切です。
辻本 俊子氏 

【ボディビル戦歴】
1987年第1回東京クラス別ボディビル選手権46kg級優勝
1987年第5回東京ボディビル選手権大会ミスの部優勝
1991年社会人ボディビル選手権大会マッスルの部優勝
1992年日本クラス別ボディビル選手権大会52kg級優勝
1992年日本ボディビル選手権大会第10回女子の部優勝
1993年ワールドゲームス(オランダハーグ)52kg級7位

公社)日本ボディビル・フィットネス連盟理事/女子委員会委員長、東京ボディビル・フィットネス連盟副理事長

【資格】
保健体育教員免許、THP指導員(企業向け)、NESTAシニアフィットネストレーナー、国際ボディビル・フィットネス連盟国際審判員


公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 ホームページ

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