フィジーク・オンライン
  • トップ
  • フィットネス
  • ボディビル審査員が語るステージの着眼点  #第35回女子日本フィジーク選手権編

ボディビル審査員が語るステージの着眼点  #第35回女子日本フィジーク選手権編

この記事をシェアする

0
掲載日:2017.11.22
記事画像1
非常に高いレベルで行われるボディビルコンテストにおいてどういう着眼点で選手に順位がつけられているのか、どうすればもっと順位を上げることが出来るのか。

「女子ボディビル」から「女子フィジーク」に名称が変わり、規定ポーズが変わった後も大きな盛り上がりを見せている女子フィジーク部門。

競技を広めつつ、すでに競技に取り組んでいる方やコンテストへの出場を迷っている方の後学にすべく、先日行われた国内最高峰のコンテストである日本・全国ボディビル選手権において実際に本大会の審査を行ったJBBF(公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟)の常務理事/女子委員会委員長/広報委員会委員長を務め、国内外のボディビルコンテストにおいて多くの入賞歴(詳細は末尾に記載)がある辻本俊子氏に解説と批評を依頼した。


本稿では第35回女子日本フィジーク選手権を例に取って紹介していく。

1位 澤田 めぐみ

記事画像2
記事画像3
記事画像4
記事画像5
記事画像6
今年一番バランスが良くまとまっていて素晴らしかったですね。女性らしいポーズを取りながらもしっかりと誇張した腹筋の厚みは特に目を引きました。

女子がボディビルからフィジークに変わってから、女子は腹筋を出すポーズがなくなり、より女性らしいポーズをしながら体を見せる競技へと変わりました。

それにより、腹筋を出すポーズでないと腹筋が出せなかったり出しにくいという選手が出て来ている中、澤田選手は何もしないで立っている状態でも上手く腹筋を出せていて、とても大きなインパクトがありました。

毎年絞りがすごく、下半身が細い印象がありましたが今年はそれを感じさせず、それに加えた上下のバランス、特にウエストから背中の広がりが良く一つ一つの筋肉の充実度は素晴らしいものがありました。

2位 山野内 里子

記事画像7
記事画像8
記事画像9
記事画像10
記事画像11
昨年チャンピオンの山野内選手。
長年上位をキープするのは本当に大変なことで、連覇するほどに次への期待が高くなり、それに応えるプレッシャーは相当なものです。
筋肉の密度は充実しており特に上半身に発達が見られました。
身体に関してはいつものようにキレイで全体のバランスがとても良く、筋肉の充実度、厚み、密度はものすごいものがあります。

また、後半になるに連れて汗が出てきて更に良く見えてきたのですが、例年に比べると仕上がりの段階がほんの少し遅れてしまったのかなと感じました。

3位 大澤 直子

記事画像12
記事画像13
記事画像14
記事画像15
抜群のポージングセンスと筋肉の充実度で常に優勝を狙う位置にいます。いつ優勝してもおかしくない選手ですね。

あと身体の筋量、密度ともにありあまるほどで本当に充実しています。
毎年10月に全日本、11月世界選手権があるのですが、大澤選手は全日本は毎回少しだけゆるいんです。そして世界選手権の時は毎回素晴らしい仕上がりなんですよね(笑)

仕上がりを一個前にもってくると、一気にトップに躍り出るはずの選手です。下半身、脚の筋量はものすごいですが、もう少し削りたい、、、凄くもったいないですよね。

大澤選手のフリーは本当に芸術的で素晴らしく飛び抜けてますよね。
素晴らしい選手なんですが、全日本だけが少し緩く、毎回毎回本当にもったいなく思います。
フリーポーズでは、芸術性・完成度共に優れベストアーティスティック賞を受賞しました。

4位 清水 恵理子

記事画像16
記事画像17
記事画像18
記事画像19
記事画像20
毎年しっかりと仕上げてくる清水選手。
40歳からボディビルを始め、絶え間ない努力でトップ選手へと躍り出ました。
背中や脚の充実感は素晴らしく、全体的なバランスとボリュームがとれています。フリーポーズでは、例年よりもきっちりと筋肉を見せるポーズと女性らしさを組み合わせたつなぎで構成されていました。

5位 今村 直子

記事画像21
記事画像22
記事画像23
記事画像24
記事画像25
毎回圧倒的な絞りで上位へ入っている選手です。
久々の復帰となる今回は、トップと比べると背中の広がりが少々控えめになっていたように思いますが、長期のブランクがあっても全体的な筋肉量がしっかりと保たれていて、とくに肩周りはブランクがあるとは思えないほどに凄い仕上がりとなっていました。

6位 中村 静香

記事画像26
記事画像27
記事画像28
記事画像29
記事画像30
胸上部の筋肉が少し減った感じがあり、全体的にもうひとまわりの張り感が欲しかったところです。

今回は若干の肌のカサつきやゆるみが見受けられました。これは女性に限らず、肌の張りを出すには筋肉の密度と大きさが必要となりますが、調整が押してしまったりなどして特に急激な減量を行うとそういった影響が出やすくなってしまいます。

華々しいステージングに加えて、緩急のついた非常に高い表現力のフリーポーズは独創性と芸術性にも富んでおり、会場を大いに沸かせました。

総評

今は、選手層の入れ替わり時期に来ている気がします。
コンテスト時の仕上げにだけこだわりすぎず、基本となる土台の部分を大きく育てることに注力することが大切です。
女子に関してはボディビルからフィジークへ名前やが変わったものの基本的な部分は一緒であり、トレーニング時だけでなく日頃から身体の使い方を意識できればさらに動作も洗練されるかと思います。

近年ではフィットネスビキニ部門からフィジークへ転向する選手も出てきていることから、選手層も厚くなり今後ももっと盛り上がれば嬉しいです。
辻本 俊子氏 

【ボディビル戦歴】
1987年第1回東京クラス別ボディビル選手権46kg級優勝
1987年第5回東京ボディビル選手権大会ミスの部優勝
1991年社会人ボディビル選手権大会マッスルの部優勝
1992年日本クラス別ボディビル選手権大会52kg級優勝
1992年日本ボディビル選手権大会第10回女子の部優勝
1993年ワールドゲームス(オランダハーグ)52kg級7位

公社)日本ボディビル・フィットネス連盟理事/女子委員会委員長、東京ボディビル・フィットネス連盟副理事長

【資格】
保健体育教員免許、THP指導員(企業向け)、NESTAシニアフィットネストレーナー、国際ボディビル・フィットネス連盟国際審判員


公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟 ホームページ

Recommend