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NSCAジャパン S&Cカンファレンス2018講演レポート
アミノ酸摂取の新常識 ~運動のPre・Intra・Postに求められるアミノ酸について~
第3部(公財)日本オリンピック委員会/(公社)日本フェンシング協会ナショナルチームコーチ 和田武真氏 #1

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掲載日:2019.03.25
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アスリートが本来のパフォーマンスを十分に発揮するには、普段の食事に加えてアミノ酸等の栄養素を補足的に用いる事が鍵となる。これら栄養素の補給に関して運動前・中・後のベストタイミングで摂るべきアミノ酸を紹介する。

本セミナーは3部構成になっており、第1部ではスポーツサプリメント先進国であるアメリカの事例を紹介、第2部ではアミノ酸に関する最新スポーツ栄養学についてスポーツ栄養士から紹介する。そして第3部ではスポーツ栄養士と、フェンシングナショナルチームコーチによる対談形式で実際の現場で摂るべきアミノ酸について議論する。
NSCAジャパン S&Cカンファレンス2018における講演をレポート!
みなさん、こんにちは。
日本フェンシング協会の強化本部の方で男子ナショナルチームのコーチ、総務部長として全体のマネージメントをしています和田武真と申します。よろしくお願いします。

簡単な説明なのですけれども、私は2009年よりJOCエリートアカデミーという事業をやっていまして、そこで最初の立ち上げから選手の指導をして参りました。

女子のナショナルチームのコーチを経て、2012年から2014年に在学研修でハンガリーの方でフェンシングのコーチングをして来ました。
主にクラブチームで小さい子供たちを教えながら、最終的にはハンガリーナショナルチームの選手と共に世界選手権を区切りにして在学研修を終え、帰国してからは女子のナショナルチームのコーチ、そして男子のナショナルコーチを経て現在に至ります。

最初に、フェンシングの説明をしていきたいと思いますので、映像をご覧ください。



こちらの映像は、今現在日本フェンシング協会の会長である太田雄貴会長の元で制作された映像です。
映像の中に全ての情報を入れ込もうということで、こういった映像をいつも紹介のビデオとして使わせて頂いています。

簡単に申し上げますと、フェンシングには3種目ございまして、まずはエペ。これは決闘ですね。
赤で塗ってある所が有効面になります。全身が有効面でして、決闘ですのでどこを突いても構いません。
勝負の決め手は先に相手を突くことです。特に何かをしなければいけないのではなく、とにかく先に突いた方が勝つ、といった種目になります。決闘がベースになっています。

そしてもう一つ、サーブルという、切り合いがある種目です。
ハンガリーの騎兵隊の剣技から派生したということで、軍戦術ですね。よく三銃士や西洋の中世の戦いに出てくるのがこのサーブルで、決闘で果たし合いをする時には、エペが使われます。

ではフルーレとは何かと言いますと、これはエペの練習台。
練習の為に作られたフルーレという種目がありまして、少し剣の形状が柔らかくなったりですとか、少しコンパクトになって、操作がしやすくなったり、そして何よりも安全を大事にして作られたという、練習台の為の剣技になります。

スピード、戦略、持久力

見て頂いた通り動きがものすごく速いので、まずスピードが必要になります。
そしてすごく頭を使います。駆け引きをします、道具を使って。
どうやったら勝つか、どうすれば勝てるか、相手は何を考えているだろう、そういった事を考えながら戦略を立てていきます。非常に高い集中力が伴います。

そして、フェンシングは試合数がものすごく多いです。
実は、今この瞬間も港区のスポーツセンターでワールドカップがやっています。昨日と一昨日が個人戦で、今日が団体戦なのです。
フェンシングは一回戦で7~8人ぐらいのグループを作って行ったり、とにかく試合数を多くこなしていかなければなりません。そういったことで、持久力とリカバリー、こういったものが必要になってくるという事になります。

鈴木氏(順天堂大学 スポーツ健康科学部 協力研究員)と和田氏の対談

鈴木氏:興味深いお話をありがとうございました。フェンシング初心者の方も、見たことの無い方もいらっしゃると思うので、大変興味を惹かれた方も多いのではないかと思います。さて、それではこの機会ですので是非、色んな事をお伺いしたいと思います。

和田氏:はい。

鈴木氏:例えば、今日はアミノ酸の話題が出ていますが、フェンシング界ではどういった形でアミノ酸を取り入れていらっしゃるか、お話を聞かせてください。

和田氏:はい。先ほども少しシトルリン・アルギニン、BCAA等々の説明があったと思いますが、試合に合わせるのを目的にアミノ酸の摂取タイミングというのを考えています。
シトルリン・アルギニンを、先ほどですとPreのシーンで摂取ということだったのですけれども、一番大きな特徴とするならば、シトルリン・アルギニンのタイミングを、PreからIntraまでにしっかり持ってきているという事かと思います。

鈴木氏:ずっと使い続ける?

和田氏:使い続ける、これが大きなポイントですね。BCAAはIntraで使いますが、フェンシングは試合がちょっと長いので、糖分を摂取出来るものを必ず取るようにしています。そして試合終了後にはグルタミンを取るという流れになります。

鈴木氏:ということは、基本的に継続性があっても、Preはシトルリン・アルギニンで、IntraがBCAAで、Postがグルタミンという形で使われているということですね。

和田氏:そうです。

パフォーマンスのためにサプリに期待するもの

鈴木氏:それぞれのアミノ酸なのですけれども、どういった事を期待して使っていらっしゃるのでしょうか?

和田氏:まず、フェンシングに必要な事は何なのか?ということで、考えていくべきだと思います。
フェンシングは狙ったところを着実に突けるということが攻撃面においてはすごく大事です。

そして、今度は相手の攻撃を受ける時に、相手の剣をかわしたり払ったりする時に、相手の動きを注意深く観察することが大事になってきます。それは相手の剣の動きであったりとか、相手との間合いを計ったりする上で、ものすごく高い集中力が必要になってきます。

対人競技というのは本当に少しでも気を緩めたらその瞬間にやられてしまうので、そこに対する気の緩みというのは許されないかと思います。

鈴木氏: Pre-workoutの位置づけであるシトルリン・アルギニンは、フェンシングにおいては、集中力の維持を期待して使っている。それも競技の60分前に摂って。

和田氏:はい。

鈴木氏:血中アミノ酸濃度が上がりますよね?またしばらくすると下がってきてしまうところを意識して、第二段を取って、また高めるということですか?

和田氏:そうです。

鈴木氏:だいたい、どれくらいの間隔で飲んでいるのでしょうか?

和田氏:試合が始まる前に摂取して、試合開始の時にちゃんとピークにくるようにしておいて、競技中に効果が落ちないようにしています。

鈴木氏:一時間置きぐらいですか?

和田氏:そうですね。一時間置きの場合もあれば、試合の間隔ですね。

鈴木氏:長い時、ありますよね。

和田氏:すごく長いのですよ。だいたい9時半から始まって、終わるのが夕方の17時とか18時。それが一日だけではなくて二日間続きます。

先ほど少しお話をしましたが、一日目は7、8人のミニリーグ戦をやり、その中で勝率を出します。その時は5本勝負で、3分間の試合をします。全体のランキングを出した後にトーナメントが始まります。
だいたい多いところで250、260名が参加して、トーナメントに行くのが150~160名。そこからトーナメントをスタートして、一日目は64名まで残します。

鈴木氏:あちこちで戦っていると。ずーっと。

和田氏:そうですね。次の日に残る64名が揃って、次の日もはそこから決勝までスタートしていくのですけれども、その時のトーナメントの試合が始まる1時間前に摂取するようにして、そこの競技に合わせてピークがくるようにしています。

鈴木氏:それこそトーナメントで勝ち上がっていくと、次の試合までの時間が短くなっていくので、それを考えての摂取が必要になりますね。そうやって、Preでありながらずっと摂り続けることで集中力を維持する効果を期待しているのがシトルリン・アルギニンなのですね。

和田氏:そうです。