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肉食主義者は痛風に注意

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[ 月刊ボディビルディング 1973年6月号 ]
掲載日:2017.10.17
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国立予防衛生研究所ボディビル・クラブ代表 後藤紀久
 肉は蛮白質が豊富で、カロリーも高く、われわれビルダーにとっては欠かすことのできない食品である。ところが、肉類も必要以上に食べすぎると、いろいろな障害が起こってくる。

 話が少し難しくなってくるが、細胞には核というものがあり、その核には核酸と呼ばれるものが含まれている。核酸はペントーズないしデオキシペントーズと、プリン、ピリミジン塩基および、燐酸よりなる高分子物質である。この中で問題なのはプリン塩基でそれの分解から生じる尿酸は、人間に尿酸分解酵素がないために、終末代謝産物として排泄されねばならない。腎臓からの尿酸排泄量は健康人で4mg/dℓといわれている。

 肉はプリン体含有量の多い代表的食品であり、肉を必要以上に食べ過ぎたり、または腎臓に障害があると、体内に尿酸が蓄積され、尿酸は尿酸ナトリウムの結晶となり、関節の周囲や腎臓などに沈殿して炎症を引き起こす。これが痛風と呼ばれる病気である。

 この病気は、従来肉食の多い欧米人に多く、わが国には比較的少ないと考えられていたが、食生活の欧米化に伴い、重症患者は別として、中軽症患者は稀ではなくなってきた。患者の大多数は男性で、女性は一般的に男性に比べて血清尿酸量が少なく高尿酸血症が現われるのも閉経期以後に多いといわれている。また、相撲取りにこの病気をもっている人が多いことをご存知の方もあろう。

 この病気の症状は、間欠的にいわゆる急性痛風発作を起こし、発作を反復するうちに間隔が短くなり、ついに慢性化して関節の奇形を起こす。急性痛風発作は、おもに深夜に急激に起こることが多く、3〜10日後、疼痛は一時完全に消失する。関節は腫張し、皮膚は紅潮し、疼痛は激烈で、そのほか頭痛、白血球増多、発熱、尿量減少などもみられる。外傷、寒冷、急性感染などが誘因となることが多い。

 もしこの病気になったら、全身と患部を安静にし、高糖質、高蛮白、低脂肪の低プリン体食をとり、緩下剤ないし浣腸で腸内容を排除する。また、尿酸結石形成を防ぐために十分な水分をとるようにする。治療薬としては、コルヒチン、サルチル酸剤などが使用されているが、副作用も多い。

 早く大きな体になろうと、肉ばかり沢山食べているととんだことになるのだ。”過ぎたるは及ばざるがごとし”の格言は、食生活でもいえそうだ。
[ 月刊ボディビルディング 1973年6月号 ]

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