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ビタミンCの働き

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掲載日:2017.03.10
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ビタミンは、主に身体の中の調整をしている栄養素です。
大きく分けると水溶性と脂溶性に分かれます。
B群については以前にお話ししたので、今回はそれ以外について話していきましょう。

水溶性ビタミン① - ビタミンC

ビタミンCは、1753年に英国海軍医師Lindによって、壊血病予防因子として発見されました。その後、ハンガリーのSzent-Gyorari博士がビタミンCの分類に成功し、それを「アスコルビン酸」と名付け、1937年にノーベル生理医学賞を受賞しました。

しかし近年、ビタミンCは、抗壊血病因子としてだけでなく、様々な作用を持つ事が確認されています。この事をBeyond Deficiency(ビヨンド・ディフィシエンシー)と言い、ビタミンCの至適量の補給により、欠乏症(ディフィシエンシー)の改善効果を超越(ビヨンド)した作用が期待されています。
ビタミンCの主な働き

・Beyond Deficiency(ビヨンド・ディフィシエンシー)
分子整合栄養医学の父、ライナス・ポーリングは“エンジオール基は世界を救う”と言いました。ビタミンCはエンジオール基という、水素が外れやすい構造をしています。その為、外れた水素が、他の分子の酸化を容易に還元してくれるのです。ビタミンCは、それ自体が抗酸化作用をするだけでなく、他の分子の酸化還元作用をし続けます。見返りを期待せず無償の愛を与え続けてくれる、母親のようですね。う~ん、深い(一人、勝手に感動)

・コラーゲンを作る

コラーゲンはタン白質の細い糸ですが、3本のコラーゲンの糸が鉄とビタミンCによって所々がくっつき、編まれたように絡まり、強化されます。ビタミンCや鉄が足りないと、この“編まれた”状態を作る事が出来ません。するとコラーゲンは弱く切れ易いものとなってしまいます。

・鉄の吸収を助ける

コラーゲンと赤血球は同じ「タン白質」「鉄」「ビタミンC」から作られます。ですから貧血の人はコラーゲンも作られにくく、アザが出来易いなどの症状がある方が多いです。これは貧血のときにもお話ししましたね。

・酸化されたビタミンEの還元

・抗酸化作用(他の抗酸化物質をリサイクルする)
ビタミンC構造式

ビタミンC構造式

ビタミンCによるビタミンEのリサイクル

ビタミンCによるビタミンEのリサイクル

酸素はエネルギー産生に欠かせない物質ですが、非常に強力な反応体なので、体内で使われる際に活性酸素を発生させます。これらの活性酸素は身体を攻撃し、酸化させてしまいます。

また、ビタミンCは、血中や眼の水晶体にたくさんあり、これらの活性酸素を除去してくれます。近年、テレビゲームやパソコン、スマホなど、目を酷使する機会が増えています。沢山のビタミンCで還元しないと、老年性ではなく、若年性の白内障が増えるかもしれません。

更に、ビタミンCは、細胞膜の参加を還元する為に使われたビタミンEの一種であるトコフェロールやトコトリエノールをリサイクルする働きがあります。ビタミンEの他にも、グルタチオン(解毒作用を持つアミノ酸)やβ-カロチン(ビタミンAの一種)のリサイクルにも関与しています。

・LDLコレステロール酸化の抑制

・カルニチンというアミノ酸の合成促進

・胆汁酸合成の促進

胆汁は肝臓で合成され、脂肪やコレステロールを分解する働きがあります。胆汁酸が分解する脂肪やコレステロール量に足りないと、胆石が出来易くなります。最近では、エコーに映らない胆砂という状態もあります。見た目には石というほどのものはないのですが、実際は全体的に砂が溜まったような状態ですから、肝臓の機能は低下してしまいます。ビタミンCは胆汁酸の合成を促進し、コレステロール胆石の抑制をします。
ビタミンCの酸化と還元

ビタミンCの酸化と還元

話しは少し逸れますが、日本人は欧米人に比して大腸の長さが長いと言われています。これは、農耕民族である日本人は、昔から野菜類などの食物繊維を沢山食べる為、消化に時間を要するので長くなったと考えられています。胆汁は脂肪やコレステロールを分解する為に、必要に応じて作られますが、食物繊維は胆汁を吸って体外に排泄させます。その為、日本人の便は昔、胆汁が沢山混じった色“黄金(こがね)色”と言われていました。世界中で便を黄金色なんて表現する国は、まず無いでしょう。現在、食が欧米化し、食物繊維の摂取量が減った日本人の便は、胆汁があまり混じっていない焦げ茶色をしています。食物繊維が少ないと胆汁は排泄されず、リサイクルされます。リサイクルを繰り返す胆汁は、胆石の原因になりやすい、とも言われています。ビタミンCは新しい胆汁を作る手助けをします。

・ウイルス不活化作用、白血球・マクロファージの活性化

・インターフェロン合成の促進・活性促進

・抗ヒスタミン作用(アレルギー反応の抑制)

・メラニン産生の抑制、濃色メラニンの淡色メラニンへの還元

ビタミンCがお肌を白くする、美白の素というのは、よく知られている事ですが、ビタミンCの働きは“カスケード”という使われ方をします。
カスケードとは、段々滝(階段状の滝)の事です。
滝の上の方の働きに使われた残りが下の働きに使われ、その残りが下の働きに、…といった風に使われます。
滝の上の方には抗酸化作用やストレス解消などの働きがあり、美白は下の方にあります。
最近はストレス社会と言われますが、様々なストレス解消や抗酸化に使われてしまうと、もう残りが無く、美白の分まで回せない、というのが現状です。

ビタミンCが美白に効くと言われながら、ビタミンCを飲んでシミが消えましたという方が少ないのはその為です。
ストレスに強くなりたい方、美しい肌を保ちたい方、日焼けをよくする方、シミを作りたくない方は、ビタミンCをどんどん摂ってください。
1回に飲む目安は、飲んでも便が緩くならない程度と言われています。
私が試したところ、自分の身体では1回に5000mg(5g)まで大丈夫でした。
個体差(個人差)20倍ですから何とも言えませんが、一度試してみるのも良いかも知れません。

また、ビタミンCは、せっかく摂っても尿に出てしまうから無駄だ、と言う方がいますが、尿は使われた後の排泄器官です。
無駄になったのではありません。

ビタミンCの話で長くなってしまいました。
しかし、実はもっと話したい事が沢山あるのですが、ビタミンCだけで終わってしまう訳にもいきませんから、次に進みましょう。
  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


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