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抜け毛・脂肪肝・精神疾患に効く!イノシトールとは

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掲載日:2017.04.20
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イノシトールは、水溶性の糖アルコール化合物で、牛乳や野菜にも含まれます。ビタミンB群の一種として扱われることもありますが、実は生体内でグルコースから生合成されるために、一般のビタミンとは区別されます。

細胞の正常な発育に不可欠で、初乳に多く含まれます。その事からもわかりますが、乳児の様に生合成能力が未熟な場合も、摂取が不可欠ですね。多くの食物に含まれていますが、偏食やストレスが多い場合は、イノシトールの摂取量を増やしてください。欠乏によって抜け毛が増えるという報告もあります。
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脂肪肝にイノシトール
肝臓は、各組織に中性脂肪を供給している為に、いつも脂肪を溜めています。その量は約4%~5%程度です。イノシトールは肝臓から脂肪の排出を促進する働きがありますので、イノシトールが不足すると脂肪肝になり易いということになりますね。

イノシトールは、脂肪肝の発生を抑えるだけでなく、既に蓄積した脂肪を減少させてくれるという、脂肪肝の予防と治療の両方に効果を発揮します。

また、LDLコレステロールを低下させる働きもあります。

情報伝達がスピーディになる!
体内のイノシトールは、必要に応じて色々な形のフォスファチジルイノシトールという形に生合成され、様々な機能を発揮します。

特に、脳神経系等の細胞膜成分としてのフォスファチジルイノシトールは、情報伝達に欠かせない働きをします。

更に、カルシウム等によって調節される酵素やたんぱく質が活性化されますので、筋肉の動作が向上したり、細胞の分化が促進したりします。

精神疾患にもイノシトール
情報伝達に欠かせない働きをすることから、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に反応する特定の精神疾患の症状が改善された事が報告されています。
・パニック障害
(Levin B.J.et al.(1995)AM J Psychiatry.152, 1084-1086)
・うつ症状
(Barak L.J.et al.(1995)AM J Psychiatry.152, 792-794)
・強迫神経症
(Levin F.M.et al.(1996)AM J Psychiatry.153, 1219-1221)

また、精神疾患にはビタミンB群のナイアシンも必要です。症状の改善に使う場合は、イノシトールと一緒に是非ナイアシンも摂取してみてください。
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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901〜1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

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