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第三十九回 新サプリメント・トピック 脂 質

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[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]
掲載日:2017.08.06
 一般的にボディビルダーに代表される減量を伴う競技者は、脂質を目の敵扱いにしがちです。実際、減量時の食事内容は、高タンパク・低脂質を目指しますし、ボディビルダーに至っては低脂質どころが、限りなく脂質カットを目指す人も少なくありません。

 しかし一方で、雑誌などに掲載されているトップビルダーの食事内容を見ると、間食にアーモンド20粒などと書かれていたりします。 あれほど脂質を嫌い、食事から一切の脂質をカットしているはずなのに、何故間食にアーモンドを食べていいのか?

 そんな疑問を持つ人もいるかと思います。そこで今回は脂質について少し触れてみたいと思います。

 脂質は、糖質、タンパク質と並んで三大栄養素の一つですから、重要な栄養素であることに間違いありません。そんな脂質の一番の役割はエネルギー源です。糖質が即効性のエネルギーとするならば、脂質は貯蓄型のエネルギーといえるかもしれません。

 人類の歴史の中ではその大半が飢餓の時代であり、人類は常に飢えと戦ってきたといっても過言ではありません。そういった意味では現在の私たちは、飽食といった奇跡のような時代に生きていると言えるのかも知れません(地球規模で見た場合は、飢餓に苦しむ人々もたくさんいます)。

 そんな中で、エネルギーを常に使ってしまわず、いざというときのために蓄えておく機能が脂肪です。

 三大栄養素を財産に例えるならば、糖質は普通預金のような存在です。銀行から下ろしたい時にすぐに下ろせて、すぐに使える。しかし貯蓄高はそれほど多くない。一方脂質は定期預金のような存在です。下ろすには少し手間がかかるけれど、いざという時にはとても心強く、またその貯蓄高も普通預金よりはたくさんある。

 参考までにタンパク質は土地や家のような存在かもしれません。資産としての価値は高いものの、なかなかお金に換金するのに時間がかかる。よほどのことが無い限り、お金(エネルギー)に換えることはしない。こんなイメージです。

 前置きが長くなりましたが、いざという時のエネルギー源という重要な役割を担いながら、現在では脂質が敬遠されがちな理由は何故でしょうか?

 それは飽食の時代に加えて、一般的に食事の内容が脂質過多になっているからであります。特に食事の内容が欧米化している昨今では、普通の食事をしていれば脂質が不足するということはまず考えられません。当然その結果、食事や運動に気をつけなければ、体内では脂肪となってどんどんと蓄えられていってしまいます。

 一方で減量の際には、とりわけ見映えを重要視するボディビルの場合は、脂肪を極限までそぎ落としていかなくてはならなくなり、脂肪に最も直結する脂質をカットしてくのが定石となります。筋肉を大きくする作業と、脂肪を落としていく作業。この2つが特にコンテストビルダーに求められる要素であります。筋肉をつけることは大前提になりますが、どんなに大きな筋肉をもっていても、脂肪がのった状態では評価はされません。従って、減量期に入ると食事から徹底的に脂質をカットしていくことになります。

 しかしオフ期の筋肉を発達させたい時期に関しては、常に栄養状態が充たされている必要があり、その栄養の中には当然脂質も入っています。実際、男性ホルモンの代表でもあるテストステロンの材料は脂質でありますし、逆に脂質を極端にカットするとテストステロンの分泌量が落ちてしまいます。

 次に脂質の中身ついてもう少し掘り下げてみます。脂質を大きく分けると2つに分類されます。

 一つは飽和脂肪酸、そしてもう一つが不飽和脂肪酸です。どちらも炭素(C)、水素(H)、酸素(O)で出来た化合物で、各々の炭素原子に異なる量の水素原子が付着した鎖になっています。飽和脂肪酸とは、この炭素原子と水素原子がしっかりと結びついた状態のものを指します。いわゆる炭素との結合部分に「空き」がない状態なので、他の原子を寄せ付けないため、通常は固形化しています。バターやショートニング、動物性の脂肪などが飽和脂肪酸です。

 一方、不飽和脂肪酸は炭素原子と付着している水素原子にいくつかの抜けがある状態のものです。炭素との結合部分に「空き」があるため室温では液状となります。この空きが一つのものを一価不飽和脂肪酸といい、その主要成分はオレイン酸で、オリーブオイルや菜種油に多く含まれます。悪玉コレステロール(LDL)を減らし善玉コレステロール(HDL)は減らさないという効果が期待できます。
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 そして空きが複数のものを多価不飽和脂肪酸といい、大豆油、魚の脂質に多く含まれます。この多価不飽和脂肪酸は体内で合成することができないため、必須脂肪酸ともよばれ、まさに減量期においてもある程度はボディビルダーが摂取している脂質なのです。 この多価不飽和脂肪酸は更に2つに分類されます。一つをn-6系脂肪酸と呼び、もう一つをn - 3系脂肪酸といいます。

 n-6系は加熱に弱く酸化されやすく、LDLを抑制する効果はありますが、HDLも抑制してしまうという側面ももつため、過剰摂取には注意が必要です。リノール酸、γ - リノレン酸、アラキドン酸などで、サフラワー油、ひまわり油、くるみなどに多く含まれます。

 n-3系は加熱にも強く酸化されにくく、LDLを抑制し、更にHDLを増やすといった働きをします。まさに動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、高血圧などの予防に最適な栄養素であります。代表的なものは、α - リノレン酸、DHA、EPAなどで、菜種油、しそ油、くるみ、大豆油、青魚の脂身に多く含まれます。 一般的に一価不飽和脂肪酸よりも多価不飽和脂肪酸の方が効果が高く、更に多価飽和脂肪酸の中でもn-3系脂肪酸が健康には大切であるということになります。

 但し、どんな栄養素も過剰摂取は意味がなく、また弊害も現れます。またバランスが重要でもあります。一般的には飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3が推奨されています。

 ボディビルの減量のように極端に脂質をカットしている時には、不飽和脂肪酸を別途摂取するといった工夫が必要となるわけです。
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[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]

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