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ビタミンEの主な働き

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掲載日:2017.08.22
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今回は前回の続き、ビタミンEの主な働きについてのお話しからです。

③異物を排除する
胞膜は、主にリン脂質とタン白質で構成されます。ビタミンEは、細胞膜に入り込み、酸化を防ぎながら膜の流動性を維持しています。

膜の流動性とは、細胞膜のタン白質が膜の聞を動き回る事で、これが活発に行われると、細胞は元気でいられる訳です。

④血行促進作用
スポーツをする人は呼吸量が増えます。激しい運動をすると組織が一時的に虚血状態(血が涜れなくなる事)になり、その後、血流が戻ると、体内では活性酸素が発生します。例えば、ヘビーなスクワットをしている時は虚血になり、セットが終わってラックにパーベルを戻すと、血流の再濯涜が起こります。この時、活性酸素が発生するのです。

え~!! じゃあ、練習の度にものすごい活性酸素が発生してない?

実はそうなんです。だからスポーツ選手は、普通の人に比べ、大量の抗酸化物質を必要とするのです。

運動負荷後の検査でも、しばしばCPKという、炎症を見るデータが上昇している事があります。これは活性酸素などによるストレスで、筋細胞が崩壊する事で起こります。CPKの上昇は、筋肉のビタミンE欠乏を示すと考えられます。皆さんが考えている以上に、身体はダメージを受けているのです。

⑤血栓形成予防
怪我をしてもしばらくすると血が止まるのは、血液の中に固まりやすい成分があるからです。この成分をトロンボキサンA2と言います。傷口にトロンボキサンA2が集まってきて、土のうの様に傷口を塞ぎ、出血を抑えてくれます。だからトロンボキサンA2は、血管の中でも内壁近くを流れています。でもトロンボキサンA2が増え過ぎてしまうと、血液は固まり易くなり、血栓を作ってしまいます。体内ではトロンボキサンA2が増え過ぎない様に、プロスタサイクリンという酵素が抑制的に働き、サラサラとドロドロのバランスを取っています。ストレスが多い時、また加齢によっても、血液はトロンボキサンA2が増え易く、ドロドロし易くなります。現代社会の人の殆どが、ドロドロし易い事になるかも知れません。ビタミンEは、過酸化脂質を抑制する事により、トロンボキサンA2の作り過ぎを抑制すると同時に、血小板膜の流動性を高めて、血液を流れ易くしています。

最近、現役の若いスポーツ選手が脳梗塞になったり、突然死をされる話しを耳にします。私は、ビタミンEの多量の摂取が、全てではありませんが、こういった事の予防になるのではないかと思います。

ビタミンEの必要量
色々お話してきましたが、どのような人がビタミンEを欠乏し易いのでしょう。スポーツ選手、日光を多く浴びる仕事をしている人、喫煙者、大量飲酒者、汚染物質の多い環境、ストレスの多い生活をしている人、不飽和脂肪酸の多い食事、加工食品(特に酸化した油を含む食品)を多く摂る人、等でしょう。単に欠乏症にならない様にする話しはここではしません。予防的な摂取量なら400 I.U.以上、上記の様な生活をしている人なら800 I.U.以上が必要でしょう。
  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)

    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901~1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

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