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脂肪よりもたんぱく質<高脂肪ダイエット②>

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掲載日:2017.08.28
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脂肪よりもタンパク質

脂肪の少ない体をつくり、保つのに最もよい方法は、タンパク質は多く、そして炭水化物と脂肪は少なめの食事です。炭水化物は、体内でグルコースに分解されます。グルコースはインスリンを分泌させます。インスリンとは、いわば蓄積作用を持つホルモンです。それは、筋肉や肝臓のグリコーゲン生成を促進し、脂肪の分解を抑えるので、脂肪を蓄積させるのです。

インスリンはまた、グルカゴンを抑制します。グルカゴンとは、インスリンとは逆の作用を持つホルモンです。グルカゴンが分泌されると、肝臓に蓄積されていた炭水化物が、燃料として使われるために分解されます。それはまた、体内の脂肪細胞が脂肪を分解するように働きかけます。ですから、たえず脂肪を燃焼させるためには、体内にグルカゴンを浮遊させておくか、インスリンの分泌を防ぐとはいかないまでもコントロールすることが必要なのです。

高脂肪ダイエットの提唱者達は、炭水化物を減らせば、インスリンが抑制されることによって脂肪の燃焼が始まる、と信じています。これは本当です。彼らはまた、脂肪をもっと取れば、脂肪の分解を促すグルカゴンの分泌を促進することになるので、脂肪をもっと燃やすことができると信じているのです。しかし、僕は、もっと良い方法があるのでは? と思うのです。

要約してみると、インスリンとグルカゴンは、互いに逆の働きをします。インスリンは脂肪の蓄積、グルカゴンは脂肪の分解を促します。両者が同時に存在することもあります。インスリンが過剰だと、間違いなく脂肪が蓄積されます。また、過剰なインスリンは、グルカゴンを圧倒し、脂肪の蓄積を促すでしょう。これは、炭水化物のみからなる食事を取った時や、炭水化物の量が多く(インスリンのレベルが高くなる)、タンパク質の量が少ない食事(グルカゴンのレベルが低くなる)を取った時に起こります。しかし、炭水化物とタンパク質の割合を変えれば、インスリンとグルカゴンの割合を変えることができます。つまり、炭水化物とタンパク質の割合を変えることにより、身体が脂肪を燃料として効率よく使うようになるのです。これは、脂肪の燃焼を促すために、一日に100gの脂肪を飲み込むよりもマシな方法だと思いませんか。

アトキンス博士や、その理論に賛成する者達は、飽和脂肪酸すら自由に取ってもよいとしています。しかし、それは、フリーラジカルの強力なもととなるだけでなく、筋肉細胞のインスリンに対する感受性にダメージを与え、炭水化物の代謝をめちゃくちゃにしてしまいます。

インスリンをコントロールするために炭水化物の摂取を減らすのなら、タンパク質の摂取は増やすべきです。そうすれば、グルカゴンがグリコライシスとグルコネオジェネシスを引き起こすからです。グリコライシスは、炭水化物が肝臓や筋肉に蓄えられている時に起こります。そして、燃料として使われるためにグリコーゲンが分泌されるのです。さらに蓄えられていたグリコーゲンが少なくなってくると、体はアミノ酸や体脂肪を燃料として使うことができます。アミノ酸は、新しいグルコースをつくることができるのです。それゆえ、ボディビルダーは、もっと食事からタンパク質を取る必要があるのです。そうすれば、体が、摂取されたタンパク質からグルコースをつくることができます。タンパク質が十分でなかった場合、身体は筋肉を使うようになり、それを分解して、最終的には体内でグルコースとなるアミノ酸を得ようとするのです。これはカタボリック状態であり、ダイエット中の人が避けなければならないものです。

ただ炭水化物を減らし、減らした分をタンパク質におきかえるだけで、簡単に炭水化物/タンパク/脂肪の割合を変えることができます。脂肪の少ない赤身の肉をもっと取ることによって(チキンを取った場合も同様に)、食事内容が変わり、割合としてより多くの脂肪が摂取されることになるでしょう。脂肪を取ることを心配する人がいるかもしれませんが、これは一向にかまいません。油やバター、それに脂身の多い肉を食事に加えるのとはわけが違いますから。

低炭水化物ダイエットを簡単に始める方法は、各食事の炭水化物を減らすことです。25%減らせば、効果が現れるでしょう。トレーニングの前後に炭水化物を80g取っていたとしたら、60gずつに減らしてみましょう。焦らずに、少しずつ継続的に減らしていきましょう。もし、パワーが落ちたり、小さくなったように感じるようであれば、食事にタンパク質を増やしていきましょう。ただし、除脂肪体重1ポンド(約0.45kg)あたり2g以上は取らないでください。

ここまでなら下げてもいい、という炭水化物摂取量の最低ラインを示すのは数値ではなく、総カロリーによるパーセンテージとなります。それは、最低でも、総カロリーの25~30%は炭水化物から取るようにしてください。しかしながら、ほとんどの人は、そこまで低く下げる必要はありません。なぜなら、炭水化物をオフシーズンの摂取量以下に減らすだけで、インスリンのレベルを下げ、インスリンとグルカゴンの割合を変えることになるので、脂肪が分解され、その蓄積を防ぐことができるようになるからです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

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