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超肥満者のための低炭水化物ダイエット

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掲載日:2017.09.13
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高炭水化物ダイエットvs低炭水化物ダイエット

過去10年以上にわたり、エネルギー豊富な複合炭水化物を重視する低脂肪ダイエットが、脂肪の少ない体を望むアメリカ人にとってのダイエットのきまりでした。エクササイズと組み合わせた高炭水化物ダイエット(じゃがいもやさつまいも、全粒粉のパンや玄米、マメ、フルーツといった食品を含む)を、何百万という人々が、体についた脂肪を減らすために使ってきました。しかし、この時期に、我が国は全体としてかつてないほど肥満したのです。

高炭水化物ダイエットで成功し、それに賛成している多くの人は、脂肪を減らすために低炭水化物というアプローチをとることは自殺に等しいと考えています。しかし、高炭水化物ダイエットを使って低い体脂肪レベルを達成するのに失敗したり、くる日もくる日もまじめにエクササイズをしているのにくっきりとした形の腹筋やハードな臀部に象徴される低い体脂肪レベルを獲得するのに失敗したという人々は、低炭水化物というアプローチが合っているのかもしれません。肥満している人、20kg以上の脂肪を減らさなくてはならないという人にとっては、これは一つの方法として効果があるかもしれません。

低炭水化物ダイエットと聞くと、多くの人は、極端な減量の方法だと思います。しかし、それは実行するのがやさしく、特にあなたが食物の重さや大きさをはかったり、ラベルをじっくり読んだり、記録をつけるといった食物の会計士になるという考えに耐えられない人ならば、より一層やさしいと言えるでしょう。私にとってはこういった作業は楽しいのですが、多くの人はすることの多さに圧倒され、炭水化物だけをカウントする方が、彼らの減量の目標を達成するのにやさしいということに気づくのです。


超肥満者にも有効な低炭水化物ダイエット

高炭水化物、中タンパク質、低脂肪なダイエットが効果がある人もいますが、それが報われない努力に終わる人もいます。

まだ体がソフトすぎると感じる人、肥満している人、それに高炭水化物ダイエットで失敗したと思う人のために、効果が上がる別の方法をこれから紹介していきましょう。

基礎代謝量や活動量に合ったよいダイエットでも、超肥満している人など、効果がない人がいるようです。カロリーを減らすことも役に立たないことがあります。体がカロリーを減らした状態に慣れてしまうからです。運動を行うのも難しい場合があります。太っていると巨体を動かすのが大変だからです。

こういった場合、脂肪の燃焼を始める唯一の方法は、極端な手段に訴えることかもしれません。ここでいう極端な手段とは、非常に低炭水化物のダイエットです。炭水化物を食事から完全にカットすること、パン、砂糖、ポテト、パスタ、ライス、シリアルなどを取らないことにより、かなり血糖値を下げることができます。血糖値が一定期間低いままだと、(5日以上)、ホルモンの反応が脂肪の燃焼へと一気に傾くようになります。

詳しく述べますと、食間に炭水化物摂取が制限されているとき、体は血糖値を上げるホルモン、エピネフリンとグルカゴンを分泌します。グルカゴンは膵臓から、エピネフリンは副腎から分泌され、蓄えられている筋肉グリコーゲンを肝臓に分解させるように働きかけ、その結果血糖値が上がります。グリコーゲン(グルコースの蓄えられている形態)は、血糖値を上げるためにすぐグルコースへと戻されます。

エピネフリン、それに程度は少しですがグルカゴンは、脂肪細胞からの脂肪分解を促進します。脂肪細胞は、脂肪酸とグリセロールからできています。低血糖値の結果として放出された脂肪酸は筋肉によって使われ、グリセロールは、脳や心臓に栄養を与えるためのグルコースを肝臓がつくるのに使われます。このように、炭水化物を極端に制限することで、脂肪代謝の増加が期待できるのです。

体が一定期間低血糖状態にさらされると、身体は成長ホルモンとコルチゾールを分泌します。成長ホルモンは、脂肪細胞を分解します。ですからより多くの脂肪酸とグリセロールが分泌され、筋肉や脳にエネルギーを与えることができます。コルチゾールも、成長ホルモンが脂肪細胞に働き、分解するのに必要です。
  • 理論と実践で100%成功するダイエット ダイエットは科学だ!
    2008年10月10日第2刷発行
    著者:クリス・アセー卜
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

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