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動脈硬化や生活習慣病の予防に効果アリ?EPAとは

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掲載日:2017.09.04

EPA(Eicosapentanoic Acid = エイコサペンタエン酸)

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極寒の地に生活し、アザラシなどの海獣の肉や魚を常食としているイヌイットには、先進国で増加している動脈硬化など、循環器系の生活習慣病がほとんど見られませんでした。後年、デンマークの生活文化がイヌイット達にも入り込むようになると、イヌイットもデンマーク人と同じように動脈硬化が見られるようになりました。

デンマークの科学者ダイエルバーグは、「イヌイットは特別な体質なのかと思っていたが、もしかしたら食習慣の違いではないか」と仮説を立て、血液成分を比較したところ、イヌイットの血液にはエイコサペンタエン酸がとても多く、反対に肉食中心のデンマーク人には殆ど含まれていない事が分かりました。(Dyerberg J.et al.(1978)Lancet2(8081) 117-119)。アザラシは大量の魚を食べる動物で、イヌイットはアザラシを捕まえた直後、その場で腹を裂き、新鮮な内臓を食べるのです。これにより魚に含まれる大量の新鮮なエイコサペンタエン酸が摂取出来る事になります。

日本でも同じような研究として、千葉大学のグループが、千葉県下の農村と漁村の食生活と健康状態を調べた結果、魚介類をたくさん食べている漁村に循環器系の生活習慣病が少ないことを突き止めています(Tamura Y et al.(1986)Prog in Lipres.25(1-4)461-466)。魚油に含まれるエイコサペンタエン酸が血液の粘性を下げ、サラサラにするという事が分かったのです。

肉類に含まれる脂と魚介類や植物油に含まれる脂は、その分子の形が違うように、名前や働きも違います。肉類に含まれる脂は飽和脂肪酸と言います。冷えると固まる性質がありますので、バターやラードなどが冷蔵庫で固くなっているのが想像できますね。

一方、魚介類や植物油に含まれる脂は不飽和脂肪酸といい、冷えても固くなりません。サラダオイルなどの植物油が冷蔵庫から出してもそのままサッと使えるのが想像できるでしょう。この飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の摂取割合は1:1が望ましいと言われています。しかし、最近の日本人の魚離れは著しく、そのバランスが崩れ、多くの生活習慣不応を招いていると指摘されています。特にサバやイワシ、サンマなどの青魚の脂肪に多く含まれる脂肪酸を多価不飽和脂肪酸(EPA)と言います。

ビタミンEと一緒に
エイコサペンタエン酸は酸素と結び付きやすい性質を持っています。その分子構造を見ると空の手があり、そこに酸素がくっつきやすいのです。エイコサペンタエン酸の名前の由来が分子構造そのものです。エイコサとは20、ペンタとは5の事で、炭素数が20、二重結合(空の手)が5という意味です。酸素と結びつくという事は酸化するという事ですから、油としては使えない(錆びている)形になります。

体内に入ってから酸化しますから、エイコサペンタエン酸を摂取する時にはビタミンEと一緒に摂る事が大切です。サプリメントとして摂る場合も同様です。エイコサペンタエン酸の摂取量と比べて8割~同量くらいのビタミンEを一緒に摂取してください。ビタミンEがしっかり無いと、せっかく摂ったエイコサペンタエン酸が体内で有効に働く前に腐ってしまい、使えなくなってしまいます。
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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)
    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901~1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

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