第五十五回 新サプリメント・トピックス エルゴジェニックエイド
[ 月刊ボディビルディング 2014年8月号 ]
掲載日:2017.09.14
桑原塾・主宰 桑原弘樹
エルゴジェニックエイド
ボディビルもいよいよ本格的にコンテストシーズンに突入といった感じです。ジムの中でもひときわ日焼けした人や、限りなく脂肪を落としている人などを目にすると、まさにボディビルシーズン到来を体感します。ボディビルダーの場合は日常的にプロテインをはじめ、何らかしらのサプリメントを活用していると思われますが、特に関心を集めるのが〝エルゴジェニックエイド〟と呼ばれる類のサプリメントではないでしょうか。
エルゴジェニックエイドとは、サプリメントの中でも栄養補助という位置づけから抜け出して、サプリメントの効果をダイレクトにパフォーマンスに反映させる類のものを指します。ともすると、ドーピング違反となる薬物などのイメージがありますが、少なくとも日本国内においてエルゴジェニックエイドとして扱われているサプリメントは食品であり、かつドーピングの対象とはなりません。
エルゴジェニックエイドと呼ばれるものはおのずと限られてきますが、もっとも身近でかつ効果も体感できるのがカフェインかもしれません。カフェインも2004年以前は一定量がドーピング対象となっていましたから、いまだ競技によってはドーピングのイメージがあるかもしれませんが、現在はモニタリング薬物としての位置づけにあり、検査の対象項目にはあるものの違反とはなりません。コーヒーや緑茶を始め一般的な食品に幅広く含まれるうえに、極端な量を摂取しない限りは副作用などの心配が少ないからでしょう。
カフェインの効果といえば、まずは鎮静効果と覚醒効果で、総合感冒薬や頭痛薬などにも配合されています。また栄養ドリンクの効果の多くもカフェインであります。最近はエナジードリンクの名称で様々な商品がありますが、私がエナジーという名称には違和感をおぼえるのは、カロリーを多く入れたドリンクではなく、実際はカフェインドリンクだからであります。摂取量が1gを超えると嘔吐や動悸が起こり、10gで致死量となりますから、ドーピングの対象外とはいえ、もちろん乱用はご法度です。
しかし実際はレッドブル(250ml)でカフェイン80mgですし、ロックスターエナジードリンクが100ml当たり48 mg、モンスターエナジーが100ml当たり40mgですから通常の範囲内での活用はトレーニング効果を高めるうえで効果的でしょう。注意すべきは、特に海外のエナジードリンクは一回分(一本)の容量が大きく、500mlなどもありますから、ジュース感覚では決して飲まないようにすることです。ましてや喉の渇きという観点からは、全く逆効果となりますから要注意です。
エルゴジェニックエイドとは、サプリメントの中でも栄養補助という位置づけから抜け出して、サプリメントの効果をダイレクトにパフォーマンスに反映させる類のものを指します。ともすると、ドーピング違反となる薬物などのイメージがありますが、少なくとも日本国内においてエルゴジェニックエイドとして扱われているサプリメントは食品であり、かつドーピングの対象とはなりません。
エルゴジェニックエイドと呼ばれるものはおのずと限られてきますが、もっとも身近でかつ効果も体感できるのがカフェインかもしれません。カフェインも2004年以前は一定量がドーピング対象となっていましたから、いまだ競技によってはドーピングのイメージがあるかもしれませんが、現在はモニタリング薬物としての位置づけにあり、検査の対象項目にはあるものの違反とはなりません。コーヒーや緑茶を始め一般的な食品に幅広く含まれるうえに、極端な量を摂取しない限りは副作用などの心配が少ないからでしょう。
カフェインの効果といえば、まずは鎮静効果と覚醒効果で、総合感冒薬や頭痛薬などにも配合されています。また栄養ドリンクの効果の多くもカフェインであります。最近はエナジードリンクの名称で様々な商品がありますが、私がエナジーという名称には違和感をおぼえるのは、カロリーを多く入れたドリンクではなく、実際はカフェインドリンクだからであります。摂取量が1gを超えると嘔吐や動悸が起こり、10gで致死量となりますから、ドーピングの対象外とはいえ、もちろん乱用はご法度です。
しかし実際はレッドブル(250ml)でカフェイン80mgですし、ロックスターエナジードリンクが100ml当たり48 mg、モンスターエナジーが100ml当たり40mgですから通常の範囲内での活用はトレーニング効果を高めるうえで効果的でしょう。注意すべきは、特に海外のエナジードリンクは一回分(一本)の容量が大きく、500mlなどもありますから、ジュース感覚では決して飲まないようにすることです。ましてや喉の渇きという観点からは、全く逆効果となりますから要注意です。
カフェインの作用機序は、疲れを知らせる神経伝達物質であるアデノシンのレセプター(受容体)をカフェインがブロックすることで覚醒をさせていくものです。つまりカフェインは直接脳にアクセルをかけて覚醒させるのではなく、ブレーキを効きにくくして、ドーパミンやグルタミン酸などの脳の興奮性神経伝達物質がより自由に動けるようにして、結果として覚醒感をもたらせているのです。
記憶力が強化されるなどの効果も期待できる反面、脱水を引き起こす利尿効果もあるため、夏場の発汗量の多いときは水分補給の意識をより高めておく必要があります。
記憶力が強化されるなどの効果も期待できる反面、脱水を引き起こす利尿効果もあるため、夏場の発汗量の多いときは水分補給の意識をより高めておく必要があります。
また最近ではカフェインの燃焼効果にも注目が集まります。カフェインがアデノシンの受容体に結合して神経伝達物質が活性化するのですが、その結果、交感神経が興奮し覚醒します。さらにその結果放出されるノルアドレナリンが脂肪細胞を刺激して脂肪酸へと変換されるという流れです。
カフェインによって分泌されたノルアドレナリンは、受容体(β2、β3)を強く刺激するため、一般にβ3受容体が弱い人が多いといわれる日本人でも十分にシグナルが送られると思われます。またカフェインはUCPと呼ばれる熱を産生するタンパク質の発現を増やす効果もあり、脂肪の分解に関して大きな効果が期待できます。
カフェインを日常的に摂取することで効果が出にくくなるのではないかという声も聞かれますが、カフェインは耐性をあまり形成されませんので、継続の摂取によっても、様々な作用には大きな変化がありません。
しかし覚醒の効果については、継続摂取をしている人の場合、逆にカフェインによってリラックスをするという効果に変わることがあるようです。毎日コーヒーを大量に飲んでいる人が、普通に夜も眠ることが出来たり、ゆったりとコーヒーでくつろぐなどというのはこういったケースなのかもしれません。
依存症についてはわずかな作用が見られますが、タバコや覚醒剤のような強いものではなく、例えば100mgレベルではカフェイン中毒のような依存性の心配はありません。
基本的に安全性は高いものですが、それはカフェイン自体が安全というよりも、大量に摂取することが難しいからということでもあります。10gで致死量となりますが、実際は過剰摂取による死亡事故はほとんどみられません。それは10gを摂取するためにはコーヒーにして約100杯程度を立て続けに飲む必要があるからで、現実的にはあまり心配するレベルではありません。そして通常は16~20時間程度でカフェインの大半は体内から消失していきます。但し先述の通り、エナジードリンクを一般のドリンク感覚で飲むことだけは注意するようにしましょう。
そしてもう一つ、妊娠中の方についても注意が必要です。胎児にはまだカフェインを代謝する能力が備わっていないからです。
大量に摂取すればいいというものではなく、適量を意識してトレーニングのパフォーマンス向上に活用するといいでしょう。
カフェインによって分泌されたノルアドレナリンは、受容体(β2、β3)を強く刺激するため、一般にβ3受容体が弱い人が多いといわれる日本人でも十分にシグナルが送られると思われます。またカフェインはUCPと呼ばれる熱を産生するタンパク質の発現を増やす効果もあり、脂肪の分解に関して大きな効果が期待できます。
カフェインを日常的に摂取することで効果が出にくくなるのではないかという声も聞かれますが、カフェインは耐性をあまり形成されませんので、継続の摂取によっても、様々な作用には大きな変化がありません。
しかし覚醒の効果については、継続摂取をしている人の場合、逆にカフェインによってリラックスをするという効果に変わることがあるようです。毎日コーヒーを大量に飲んでいる人が、普通に夜も眠ることが出来たり、ゆったりとコーヒーでくつろぐなどというのはこういったケースなのかもしれません。
依存症についてはわずかな作用が見られますが、タバコや覚醒剤のような強いものではなく、例えば100mgレベルではカフェイン中毒のような依存性の心配はありません。
基本的に安全性は高いものですが、それはカフェイン自体が安全というよりも、大量に摂取することが難しいからということでもあります。10gで致死量となりますが、実際は過剰摂取による死亡事故はほとんどみられません。それは10gを摂取するためにはコーヒーにして約100杯程度を立て続けに飲む必要があるからで、現実的にはあまり心配するレベルではありません。そして通常は16~20時間程度でカフェインの大半は体内から消失していきます。但し先述の通り、エナジードリンクを一般のドリンク感覚で飲むことだけは注意するようにしましょう。
そしてもう一つ、妊娠中の方についても注意が必要です。胎児にはまだカフェインを代謝する能力が備わっていないからです。
大量に摂取すればいいというものではなく、適量を意識してトレーニングのパフォーマンス向上に活用するといいでしょう。
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