糖質の運命
掲載日:2018.03.15
糖の種類による消化の違い
単糖類は消化の必要がありませんが、二糖類や多糖類は消化酵素によって細かくされる必要があります。では、口から入れた糖質の運命をたどってみましょう。
まず唾液中のアミラーゼにより、デンプンやデキストリンが分解されます。しかし口の中に停滞する時間は短いため、その作用はわずかです。逆に言えば、口の中でよく噛んで食べるようにすれば、アミラーゼがよく働いて、消化が良くなるということ。前述しましたが、お米をよく噛んでデンプンにアミラーゼを働かせてブドウ糖にまで分解することができると、ブドウ糖の甘味を感じるようになります。
そして胃の中に入ってからも、引き続きアミラーゼの作用が持続されます。唾液に含まれるアミラーゼは胃酸によって作用が停止してしまいますが、そうなるまでに30分ほどかかりますので、それまでの間は消化作用が続くのです。このように、最初に食物が入る「口の中」に、糖質を消化する酵素が存在するということに、糖質の重要性が示されているのではないでしょうか。
まず唾液中のアミラーゼにより、デンプンやデキストリンが分解されます。しかし口の中に停滞する時間は短いため、その作用はわずかです。逆に言えば、口の中でよく噛んで食べるようにすれば、アミラーゼがよく働いて、消化が良くなるということ。前述しましたが、お米をよく噛んでデンプンにアミラーゼを働かせてブドウ糖にまで分解することができると、ブドウ糖の甘味を感じるようになります。
そして胃の中に入ってからも、引き続きアミラーゼの作用が持続されます。唾液に含まれるアミラーゼは胃酸によって作用が停止してしまいますが、そうなるまでに30分ほどかかりますので、それまでの間は消化作用が続くのです。このように、最初に食物が入る「口の中」に、糖質を消化する酵素が存在するということに、糖質の重要性が示されているのではないでしょうか。
胃を出て小腸に行くと、膵液のアミロプシンによってデンプンやデキストリンはマルトースやグルコース(ブドウ糖)、イソマルトースにまで消化されます。
マルトースはマルターゼによってグルコースに分解され、イソマルトースはオリゴ-1,6 グリコシダーゼによってグルコースに分解されます。なお、ラクトースはラクターゼ、スクロースはスクラーゼによって、それぞれ単糖類に分解されます。
このようにして単糖類(グルコースやフルクトース、ガラクトース) にまで分解された糖質は、小腸から吸収されて門脈を通り、肝臓に送られます。そしてフルクトースやガラクトースも結局はグルコースに変換され、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられたり、血糖として血液中を移動したりします。
マルトースはマルターゼによってグルコースに分解され、イソマルトースはオリゴ-1,6 グリコシダーゼによってグルコースに分解されます。なお、ラクトースはラクターゼ、スクロースはスクラーゼによって、それぞれ単糖類に分解されます。
このようにして単糖類(グルコースやフルクトース、ガラクトース) にまで分解された糖質は、小腸から吸収されて門脈を通り、肝臓に送られます。そしてフルクトースやガラクトースも結局はグルコースに変換され、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられたり、血糖として血液中を移動したりします。
◯ SGLT2とSGLT2阻害薬について
最近になって、SGLT-2阻害薬という糖尿病のための薬が認可されました。これまでもα グルコシダーゼ阻害薬といって糖質の消化をゆっくりにする薬が使われてきたのですが、SGLT-2阻害薬はさらに働きが強く、一日に60~100gに相当する糖質の吸収を抑えることができるのです。
SGLTとはなんでしょうか。グルコースが細胞に取り込まれるとき、「トランスポーター(輸送担体)」が必要になります。これには2種類あって、Glucose Transporter (GLUT) と、Sodium-Glucose Co-Transporter (SGLT)に分けられます。
SGLTは名前の通り、ナトリウム依存性トランスポーターです。ナトリウムは細胞内濃度が低く、細胞外濃度が高いため、細胞の外から中に入ろうとするパワーが働きます。このパワーにより、ブドウ糖の濃度が低いほうから高いほうへと移動することが可能になるのです。
さて、尿は腎臓でつくられますが、最初に150リットル/日もの「原尿」がつくられます。これは血液中の不要分を濾過したものです。そしてここからアミノ酸や糖など必要なものが血液中に「再吸収」されます。
このとき、糖の再吸収のために働くのがSGLT2です。SGLT2を阻害すれば糖が再吸収されず、食事から摂った糖を尿中に大量に排出できる。ということで、SGLT2阻害薬が糖尿病の薬として認可されました。もちろんこれはダイエットにも有効です。
他の糖尿病薬と併用した研究(※1)では、SGLT2阻害薬を使用した群のほうが顕著に皮下脂肪そして内臓脂肪が減少しています。またアディポネクチンも増加し、HbA1cも改善しています。アディポネクチンについては、「Part 3脂肪酸とケトン体」で詳述します。
SGLTとはなんでしょうか。グルコースが細胞に取り込まれるとき、「トランスポーター(輸送担体)」が必要になります。これには2種類あって、Glucose Transporter (GLUT) と、Sodium-Glucose Co-Transporter (SGLT)に分けられます。
SGLTは名前の通り、ナトリウム依存性トランスポーターです。ナトリウムは細胞内濃度が低く、細胞外濃度が高いため、細胞の外から中に入ろうとするパワーが働きます。このパワーにより、ブドウ糖の濃度が低いほうから高いほうへと移動することが可能になるのです。
さて、尿は腎臓でつくられますが、最初に150リットル/日もの「原尿」がつくられます。これは血液中の不要分を濾過したものです。そしてここからアミノ酸や糖など必要なものが血液中に「再吸収」されます。
このとき、糖の再吸収のために働くのがSGLT2です。SGLT2を阻害すれば糖が再吸収されず、食事から摂った糖を尿中に大量に排出できる。ということで、SGLT2阻害薬が糖尿病の薬として認可されました。もちろんこれはダイエットにも有効です。
他の糖尿病薬と併用した研究(※1)では、SGLT2阻害薬を使用した群のほうが顕著に皮下脂肪そして内臓脂肪が減少しています。またアディポネクチンも増加し、HbA1cも改善しています。アディポネクチンについては、「Part 3脂肪酸とケトン体」で詳述します。
SGLT2阻害薬の効果とリスク
さまざまな SGLT2阻害薬を比較した調査によれば、だいたい24週間で3kg程度を無理なく落とすことができています。(※2) ただし尿中に糖を排出するということにより、細菌が繁殖しやすくなります。すると尿路感染症のリスクが高まります。また尿に糖が増え ると、尿の量も増加します。すると脱水が起こり、血液も凝固しやすくなって、心臓血管系イベントのリスクも高まります。
さらに糖質の量が減るため、「糖新生」も起こりやすくなります。長期連用により筋分解も起こりやすくなり、2年間に渡って調査したところ、体重減少効果はほとんど消え去っているものもありました。(※2) こうした報告から考えると、SGLT2阻害薬は長期に渡って連用するのではなく、スポット的に使うようにしたほうがいいでしょう。
ダイエット中だけど、今日は付き合いで多めに食べなければいけない。あるいはどうしても我慢できなくてスイーツを大量に食べたい。そんなときに飲むようにするのです。SGLT2阻害薬の効果は、だいたい24時間継続します。
さらに糖質の量が減るため、「糖新生」も起こりやすくなります。長期連用により筋分解も起こりやすくなり、2年間に渡って調査したところ、体重減少効果はほとんど消え去っているものもありました。(※2) こうした報告から考えると、SGLT2阻害薬は長期に渡って連用するのではなく、スポット的に使うようにしたほうがいいでしょう。
ダイエット中だけど、今日は付き合いで多めに食べなければいけない。あるいはどうしても我慢できなくてスイーツを大量に食べたい。そんなときに飲むようにするのです。SGLT2阻害薬の効果は、だいたい24時間継続します。
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