満腹感の科学とレジスタントスターチ
掲載日:2018.04.12
腹いっぱい食べたときの幸福感は、なにものにも代えられません。この「満腹感」は、どのようにして起こっているのでしょうか。
まずはセロトニンです。アミノ酸のトリプトファンから合成され、精神的な安定をもたらしたり、抗重力筋や交感神経に適度な緊張をもたらしたり、睡眠や体温の調節などに関与したりする働きがあります。さらにセロトニンには満腹中枢を刺激する働きがあります。
逆にこれを利用して、セロトニンを増やすような「単調な運動の繰り返し」を行なったり、トリプトファンを摂取したりすることで、満腹感を偽装することが可能です。
また食べ物を消化すると、小腸から「コレシストキニン(CCK)」というホルモンが分泌されます。本来は胆汁を出して膵臓から消化液を出すホルモンなのですが、これは同時に満腹感を脳に届けるシグナルにもなります。
またPYY3-36というホルモンも消化管から分泌され、満腹感のシグナルとなるようです。
普通の食事ならばCCKやPYY3-36が分泌されるのですが、食事量が少なかったりノンカロリーのものだったりすると、これらのホルモンが分泌されず、満足することができません。
これはノンカロリードリンクの問題点でもあります。もちろん血糖値が上がらないということも理由です。
そして「ヒスタミン」も満腹中枢を刺激します。ただしヒスタミンはそのまま摂取しても脳に届きません。ヒスタミンは「ヒスチジン」というアミノ酸から造られますので、ヒスチジンの多い食物(カツオやマグロ、ブリなど)を食べることが、脳内のヒスタミンを増やして満腹感を与えてくれると考えられます。
また「咀嚼」もヒスタミンを増やしてくれます。
噛む回数を増やすことによって、その刺激が脳内の結節乳頭核というところに働き、ヒスタミンが生成されるのです。だいたい1回あたり、30回くらい噛むようにするとよいと言われます。
まずはセロトニンです。アミノ酸のトリプトファンから合成され、精神的な安定をもたらしたり、抗重力筋や交感神経に適度な緊張をもたらしたり、睡眠や体温の調節などに関与したりする働きがあります。さらにセロトニンには満腹中枢を刺激する働きがあります。
逆にこれを利用して、セロトニンを増やすような「単調な運動の繰り返し」を行なったり、トリプトファンを摂取したりすることで、満腹感を偽装することが可能です。
また食べ物を消化すると、小腸から「コレシストキニン(CCK)」というホルモンが分泌されます。本来は胆汁を出して膵臓から消化液を出すホルモンなのですが、これは同時に満腹感を脳に届けるシグナルにもなります。
またPYY3-36というホルモンも消化管から分泌され、満腹感のシグナルとなるようです。
普通の食事ならばCCKやPYY3-36が分泌されるのですが、食事量が少なかったりノンカロリーのものだったりすると、これらのホルモンが分泌されず、満足することができません。
これはノンカロリードリンクの問題点でもあります。もちろん血糖値が上がらないということも理由です。
そして「ヒスタミン」も満腹中枢を刺激します。ただしヒスタミンはそのまま摂取しても脳に届きません。ヒスタミンは「ヒスチジン」というアミノ酸から造られますので、ヒスチジンの多い食物(カツオやマグロ、ブリなど)を食べることが、脳内のヒスタミンを増やして満腹感を与えてくれると考えられます。
また「咀嚼」もヒスタミンを増やしてくれます。
噛む回数を増やすことによって、その刺激が脳内の結節乳頭核というところに働き、ヒスタミンが生成されるのです。だいたい1回あたり、30回くらい噛むようにするとよいと言われます。
さて、ダイエットが目的の場合、「消化吸収を邪魔するもの」や「いっぱい食べても、体脂肪が増えにくいもの」を利用することで、カロリー摂取を抑えるという方法があります。ここで良く使われるのが「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」です。レジスタントスターチを細かく分けると、次の4つになります。
1. もともと消化酵素が作用しない構造をしたもの・・タイプI
2. アミロースが多く、消化酵素に抵抗性を持つもの・・タイプII
3. 加熱した後に冷えて溶解性が低下したもの・・タイプⅢ
4. 化学的に合成されたもの・・タイプIV
デンプンは「アミロース」と「アミロペクチン」に分けることができます。アミロペクチンは枝分かれ構造が多くなっていて表面積が広く、そのため消化酵素が働きやすくなっています。モチ米などは100%がアミロペクチンで、吸収が非常に早くなっています。
普通のコメは20%前後がアミロースですが、ミルキークイーンなどは12%がアミロースで、そのためモチモチした食感になります。
つまりアミロースが多いと、消化酵素が働きにくいわけです。トウモロコシから抽出したWeightainというタイプ1とタイプ2を混合したレジスタントスターチを使った研究では、Weightain 群は昼食と夕食の摂取量が少なくなり、カロリーにして3~5%の違いとなりました。また朝食後だけでなく、昼食後になっても、空腹をあまり感じなかっ たとのことです。(※10)
ご飯を炊いて時間が経ち、冷えてしまうとアミロースが再結晶化したり、β化したりして消化が悪くなります。これも難消化性デンプンの一種です。ジャガイモはGI値(後述)が高いのですが、冷やすと一気にGI値が低くなります。それも難消化性デンプンとなるからなのです。
さて「難消化性デンプン」と言えば、ピンと来る方も多いのではないでしょうか。実は同じようなものが既に日本で市販されています。それが難消化性デキストリン。これもトウモロコシから抽出したもので、特に消化の悪い成分を取り出して水溶性にしたものです。
難消化性デキストリンは少しターゲットが違います。これの目的は、一緒に摂取した食事における脂肪。難消化性デキストリンは脂質の消 化過程においてリパーゼによる分解後のミセルからの脂肪酸やモノグリセロールの放出を抑制することにより、脂質の吸収を遅らせます。そして便への脂質排泄を増やすのです。また糖の消化吸収速度を遅くして、食後の血糖値の上昇を抑える作用もあります。つまり脂質だけでなく、炭水化物にも効くようです。
こういった吸収阻害系のものはミネラルの吸収も阻害してしまうことが多いのですが、難消化性デキストリンは逆にカルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などの吸収を促進することが動物実験で確認されています。効果を得るためには、食事の少し前に5g程度を飲むようにするといいでしょう。
1. もともと消化酵素が作用しない構造をしたもの・・タイプI
2. アミロースが多く、消化酵素に抵抗性を持つもの・・タイプII
3. 加熱した後に冷えて溶解性が低下したもの・・タイプⅢ
4. 化学的に合成されたもの・・タイプIV
デンプンは「アミロース」と「アミロペクチン」に分けることができます。アミロペクチンは枝分かれ構造が多くなっていて表面積が広く、そのため消化酵素が働きやすくなっています。モチ米などは100%がアミロペクチンで、吸収が非常に早くなっています。
普通のコメは20%前後がアミロースですが、ミルキークイーンなどは12%がアミロースで、そのためモチモチした食感になります。
つまりアミロースが多いと、消化酵素が働きにくいわけです。トウモロコシから抽出したWeightainというタイプ1とタイプ2を混合したレジスタントスターチを使った研究では、Weightain 群は昼食と夕食の摂取量が少なくなり、カロリーにして3~5%の違いとなりました。また朝食後だけでなく、昼食後になっても、空腹をあまり感じなかっ たとのことです。(※10)
ご飯を炊いて時間が経ち、冷えてしまうとアミロースが再結晶化したり、β化したりして消化が悪くなります。これも難消化性デンプンの一種です。ジャガイモはGI値(後述)が高いのですが、冷やすと一気にGI値が低くなります。それも難消化性デンプンとなるからなのです。
さて「難消化性デンプン」と言えば、ピンと来る方も多いのではないでしょうか。実は同じようなものが既に日本で市販されています。それが難消化性デキストリン。これもトウモロコシから抽出したもので、特に消化の悪い成分を取り出して水溶性にしたものです。
難消化性デキストリンは少しターゲットが違います。これの目的は、一緒に摂取した食事における脂肪。難消化性デキストリンは脂質の消 化過程においてリパーゼによる分解後のミセルからの脂肪酸やモノグリセロールの放出を抑制することにより、脂質の吸収を遅らせます。そして便への脂質排泄を増やすのです。また糖の消化吸収速度を遅くして、食後の血糖値の上昇を抑える作用もあります。つまり脂質だけでなく、炭水化物にも効くようです。
こういった吸収阻害系のものはミネラルの吸収も阻害してしまうことが多いのですが、難消化性デキストリンは逆にカルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などの吸収を促進することが動物実験で確認されています。効果を得るためには、食事の少し前に5g程度を飲むようにするといいでしょう。
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