インスリンの働き#1 インスリンを味方につけよ
掲載日:2018.04.27
インスリンとはなにか
筋肉を増やすときに、もっとも重要となるホルモンはなんでしょうか。
それは男性ホルモンでも成長ホルモンでもなく、「インスリン」です。
しかしインスリンには筋肉だけでなく脂肪を増やす作用もあって、 そこが悩みどころとなります。
ただし基本的にはインスリンの働きをうまく高めてあげることで、「体脂肪を減らし、筋肉を増やしていく」ことができるのです。もちろんベテランになってきたら、この二つを両立させていくことは難しいのですが、トレーニングをはじめて間もない初級~中級者でしたら、決して不可能ではありません。では、そのための具体的な方法について詳しく解説していきましょう。
インスリンの働き、それは「血糖値を下げること」です。つまり血液の中の糖分を身体の組織内に送り込んであげるのが、インスリンの働きです。血糖値を上げるホルモンはアドレナリンやグルカゴン、甲状腺ホルモンなどいろいろあるのですが、血糖値を下げる働きのあるホルモンはインスリンただ一つです。
それは男性ホルモンでも成長ホルモンでもなく、「インスリン」です。
しかしインスリンには筋肉だけでなく脂肪を増やす作用もあって、 そこが悩みどころとなります。
ただし基本的にはインスリンの働きをうまく高めてあげることで、「体脂肪を減らし、筋肉を増やしていく」ことができるのです。もちろんベテランになってきたら、この二つを両立させていくことは難しいのですが、トレーニングをはじめて間もない初級~中級者でしたら、決して不可能ではありません。では、そのための具体的な方法について詳しく解説していきましょう。
インスリンの働き、それは「血糖値を下げること」です。つまり血液の中の糖分を身体の組織内に送り込んであげるのが、インスリンの働きです。血糖値を上げるホルモンはアドレナリンやグルカゴン、甲状腺ホルモンなどいろいろあるのですが、血糖値を下げる働きのあるホルモンはインスリンただ一つです。
インスリンは栄養を運び込む
インスリンとは膵臓のB細胞にある「ランゲルハンス島」から分泌されるホルモンです。ちなみにランゲルハンス島のα細胞からは、インスリンと逆の働きをする「グルカゴン」が分泌されます。
さてインスリンの分泌は「基礎分泌」と「追加分泌」との二種類があります。インスリンは常にごく少量が分泌されていて、これを「基礎分泌」と言います。そして食事をして血液中にブドウ糖が流れ込んでくると、「追加分泌」が起こってきます。どちらも血糖値を一定に保つために働いているのです。この「血糖値を一定に保つ」ということには、どんな意味があるのでしょうか。
食事をすると栄養素が血管に流れ込んできて、血糖値が上がります。
そしてインスリンが追加分泌されることによって、血糖値は一定のレベルにまで下がります。それはインスリンが筋肉や脂肪、肝臓に糖分を送り込むことによって、血液中の糖分が減ってくるからです。この「糖分を送り込む」作用を、インスリンが担っているのです。またアミノ酸を筋肉に送り込む作用も持っています。
逆にいえば、食事をしてもインスリンが働いてくれないと、栄養を細胞に送り届けることができないのです。そのため、インスリンがうまく働かない糖尿病の患者は、放置しておくとどんどん痩せていってしまうのです。
なお、インスリンの他の働きとしては「肝臓でグリコーゲンを合成する」というものもあります。この「糖分やアミノ酸を筋肉に送り込む」というインスリンの働きは、 筋肉を大きくしていく上で非常に有利に働きます。単純に考えれば、バルクアップを目指すのでしたら、インスリンをどんどん分泌させていけばよいことになるわけです。
しかし、そう簡単にはいきません。
さてインスリンの分泌は「基礎分泌」と「追加分泌」との二種類があります。インスリンは常にごく少量が分泌されていて、これを「基礎分泌」と言います。そして食事をして血液中にブドウ糖が流れ込んでくると、「追加分泌」が起こってきます。どちらも血糖値を一定に保つために働いているのです。この「血糖値を一定に保つ」ということには、どんな意味があるのでしょうか。
食事をすると栄養素が血管に流れ込んできて、血糖値が上がります。
そしてインスリンが追加分泌されることによって、血糖値は一定のレベルにまで下がります。それはインスリンが筋肉や脂肪、肝臓に糖分を送り込むことによって、血液中の糖分が減ってくるからです。この「糖分を送り込む」作用を、インスリンが担っているのです。またアミノ酸を筋肉に送り込む作用も持っています。
逆にいえば、食事をしてもインスリンが働いてくれないと、栄養を細胞に送り届けることができないのです。そのため、インスリンがうまく働かない糖尿病の患者は、放置しておくとどんどん痩せていってしまうのです。
なお、インスリンの他の働きとしては「肝臓でグリコーゲンを合成する」というものもあります。この「糖分やアミノ酸を筋肉に送り込む」というインスリンの働きは、 筋肉を大きくしていく上で非常に有利に働きます。単純に考えれば、バルクアップを目指すのでしたら、インスリンをどんどん分泌させていけばよいことになるわけです。
しかし、そう簡単にはいきません。
インスリンは体脂肪を合成する
残念ながら、インスリンは脂肪細胞にも働いてしまいます。
脂肪細胞に送り込まれる糖分は全体の3%程度に過ぎないのですが、インスリンは脂肪を合成する「リポタンパクリパーゼ(LPL)」という酵素の働きを助け、また脂肪を分解する「ホルモン感受性リパーゼ(HSL)」という酵素の働きを邪魔してしまうのです。
つまりインスリンが多く分泌されると、体脂肪は合成されやすく、同時に分解されにくいという状況に陥ってしまうわけです。
特に糖質と脂肪を大量に同時摂取するといけません。ブドウ糖が大量に存在すると、解糖系におけるグリセロール3リン酸が遊離脂肪酸と結合し、体脂肪が合成されます。 食事で脂肪も多く摂取していると、遊離脂肪酸も増えますので、それだけ体脂肪が増えやすくなるのです。
ただし脂肪をあまり摂取していなくても、糖質を過剰摂取すると、結局は同じことになってしまいます。肝臓ではグルコースが過剰になると、すぐさま脂肪に変換されます。
そこでできた脂肪はVLDLを形成し、血中に放出されます。これが脂肪細胞に移行し、リポタンパクリパーゼによって脂肪酸へと分解され、やはりグリセロール3リン酸と結びついて体脂肪になってしまうわけです。
糖尿病患者はどんどん体重が減る、と書きました。糖尿病の場合はインスリンそのものが分泌されなかったり、インスリンが細胞に作用しなかったりといった病的な現象で、体重が減っていきます。しかし病気でなくても、インスリンの分泌そのものが減ってくれば、脂肪細胞への栄養の取り込みも減り、痩せてくるのです。
ですから体脂肪を減らしたい場合には、バルクアップを狙う場合とは逆に、インスリンがあまり出てこないようにしなければなりません。
ただしインスリンが出てこないということは、筋肉への栄養の取り込みも減ってしまいますので、筋肉が落ちてしまう可能性もあるということです。
脂肪細胞に送り込まれる糖分は全体の3%程度に過ぎないのですが、インスリンは脂肪を合成する「リポタンパクリパーゼ(LPL)」という酵素の働きを助け、また脂肪を分解する「ホルモン感受性リパーゼ(HSL)」という酵素の働きを邪魔してしまうのです。
つまりインスリンが多く分泌されると、体脂肪は合成されやすく、同時に分解されにくいという状況に陥ってしまうわけです。
特に糖質と脂肪を大量に同時摂取するといけません。ブドウ糖が大量に存在すると、解糖系におけるグリセロール3リン酸が遊離脂肪酸と結合し、体脂肪が合成されます。 食事で脂肪も多く摂取していると、遊離脂肪酸も増えますので、それだけ体脂肪が増えやすくなるのです。
ただし脂肪をあまり摂取していなくても、糖質を過剰摂取すると、結局は同じことになってしまいます。肝臓ではグルコースが過剰になると、すぐさま脂肪に変換されます。
そこでできた脂肪はVLDLを形成し、血中に放出されます。これが脂肪細胞に移行し、リポタンパクリパーゼによって脂肪酸へと分解され、やはりグリセロール3リン酸と結びついて体脂肪になってしまうわけです。
糖尿病患者はどんどん体重が減る、と書きました。糖尿病の場合はインスリンそのものが分泌されなかったり、インスリンが細胞に作用しなかったりといった病的な現象で、体重が減っていきます。しかし病気でなくても、インスリンの分泌そのものが減ってくれば、脂肪細胞への栄養の取り込みも減り、痩せてくるのです。
ですから体脂肪を減らしたい場合には、バルクアップを狙う場合とは逆に、インスリンがあまり出てこないようにしなければなりません。
ただしインスリンが出てこないということは、筋肉への栄養の取り込みも減ってしまいますので、筋肉が落ちてしまう可能性もあるということです。
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