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インスリンの働きを高める栄養素&サプリメント #1

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掲載日:2018.05.31
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ここではインスリンの働きを高めてくれる栄養素やサプリメントについて、代表的なものを箇条書きで紹介していきましょう。

・アルギニン、シトルリン、オルニチン

アルギニンはプラスイオンを大量に持っており、これが直接的に「脱分極」を起こすため、インスリンが分泌されます。またアルギニンにはアディポネクチンを増加させる作用もあるため、インスリン感受性 を高める効果もあるのです。

摂取量としては、一日に3~4gくらいからはじめてみましょう。これは空腹時でも食後でもどちらでも大丈夫です。ただし一番効果のあるのは、「トレーニング後」。トレーニングが終わったら他のサプリメントと一緒にアルギニンを摂ることで、グリコーゲンの回復を促進することができます。

なお糖尿病患者に行われた研究では、一日9gのアルギニンを使っています。ですので、これくらいまで増やしても問題はありません。とはいえアルギニンはアルカリが強いので、まとめて摂ると胃を傷める可能性があります。3gを3回に分けて摂る、食後に摂るなどして胃の負担を軽減させるようにしてください。またアルギニンはヘルペスウィルスの増殖を手伝ってしまいますので、ヘルペスに悩まされている人は、摂らないようにしたほうがいいでしょう。ヘルペスになるのが不安だという方は、リジンを一日2~3g、追加して摂取するようにすれば大丈夫です。

なお体内ではオルニチン回路によって、シトルリンやオルニチンも容易にアルギニンに変換されます。アルギニンのアルカリによって胃がやられてしまうような場合、半分をシトルリンやオルニチン、残りをアルギニンにするという方法もあります。
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・EPA

EPAはアディポネクチンを分泌させることによってAMPK※を活性化し、インスリン感受性を高めてくれます。日常的に青魚を食べているようでしたら、特にそれほどEPAを追加して摂取する必要はありませんが、魚が苦手な場合はサプリメントで補給することを考えてください。

AMPKについて詳しくはこちら:体脂肪を増やさないバルクアップ法

摂取量としては、一日に[EPA+DHA]として2~4gを目安にします。EPAには他にも炎症を抑えたり、血液をサラサラにしたり、免疫を向上させたりといった効果もありますし、体脂肪を減らす効果も実証されていますから、できるだけ優先順位を上げて考えたいところです。

・ビオチン

ビタミン様物質であるビオチンは炭水化物の代謝に必要な栄養素であるだけでなく、小胞体におけるカルシウムイオンの放出を促すことで、インスリンの分泌を高めます。

なお後述するαリポ酸と構造が似ているため、カラダはその二つを間違って使おうとしてしまいます。つまりαリポ酸を摂取しているときにはビオチンが不足しがち(その逆も起こる)なので、不足しないように注意してください。ビオチン単体でのサプリメントもありますが、たいていはビタミンB群のサプリメントに配合されていますので、それを飲んでいれば大丈夫でしょう。

・ケルセチン

フラボノイドの一種であるケルセチン。これはメトホルミンと呼ばれる糖尿病の薬と似たような経路(AMPK経路の活性化)により、インスリン感受性を高めてくれます。ケルセチンには他にも強い抗酸化作用や、抗アレルギー作用などもありますので、トレーニーには欠かせない栄養素の一つ。研究では1500~2000mgが服用されていますが、通常は一日に500~1000mg程度を摂取しておけば十分でしょう。朝食後と夕食後の2回に分けて飲むようにしてください。

#2は近日公開!
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]

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