カーボアップのメリットとデメリット
掲載日:2018.08.16
カーボアップの歴史
カーボアップは、別名を「グリコーゲン・ローディング」。
グリコーゲンはブドウ糖を体内に貯蔵できる形態にしたもので、主に筋肉と肝臓、そして血液内に溜め込まれます。グリコーゲンは容易にエネルギー化できる身体のガソリンに例えられ、カーボアップするということは、体内にガソリンを満タンに入れるということになります。
ガソリンが満タンであれば、それだけ車は長く走れます。つまり持久力がアップするということ。
そのためマラソンランナーやトライアスリート、サッカーやラグビーなど長時間の競技を行うアスリートにとっては、競技前にカーボアップを行うことは半ば常識となっています。
また筋肉内にグリコーゲンが溜め込まれると、筋肉そのものの体積が増えます。つまり筋肉を大きくすることができるというわけです。
ですからボディビルダーなどは試合直前にカーボアップを行い、筋肉を大きくして試合に臨むのです。実際にカーボアップすることにより、筋肉が大きくなったことが報告されています。(※55)
グリコーゲンはブドウ糖を体内に貯蔵できる形態にしたもので、主に筋肉と肝臓、そして血液内に溜め込まれます。グリコーゲンは容易にエネルギー化できる身体のガソリンに例えられ、カーボアップするということは、体内にガソリンを満タンに入れるということになります。
ガソリンが満タンであれば、それだけ車は長く走れます。つまり持久力がアップするということ。
そのためマラソンランナーやトライアスリート、サッカーやラグビーなど長時間の競技を行うアスリートにとっては、競技前にカーボアップを行うことは半ば常識となっています。
また筋肉内にグリコーゲンが溜め込まれると、筋肉そのものの体積が増えます。つまり筋肉を大きくすることができるというわけです。
ですからボディビルダーなどは試合直前にカーボアップを行い、筋肉を大きくして試合に臨むのです。実際にカーボアップすることにより、筋肉が大きくなったことが報告されています。(※55)
カーボアップのメリットとデメリット
他にもカーボアップを行うことにより、次のようなメリットがあります。
・インスリンを分泌させることにより、アナボリック環境を造る
・グルカゴンやコルチゾルを低下させることにより、筋分解を防ぐ
・組織内の電解質やグリコーゲン、アミノ酸が減少している場合、それを元のレベル以上に戻す
・インスリンによって上記の電解質やグリコーゲン、アミノ酸が細胞内に運び込まれる。このとき細胞が膨れ上がり(cellular expansion)、筋肥大の引き金となる
・甲状腺ホルモンの活性低下(T4→T3への変換低下)を防ぎ、代謝を高く保つ
ただしデメリットもあります。その筆頭は、もちろん「カーボアップ中は体脂肪が減少しない」ことでしょう。
また下手をすると、むしろ体脂肪が増えてしまう可能性もあります。インスリンは筋細胞だけでなく、脂肪細胞にも働きかけますので。
・インスリンを分泌させることにより、アナボリック環境を造る
・グルカゴンやコルチゾルを低下させることにより、筋分解を防ぐ
・組織内の電解質やグリコーゲン、アミノ酸が減少している場合、それを元のレベル以上に戻す
・インスリンによって上記の電解質やグリコーゲン、アミノ酸が細胞内に運び込まれる。このとき細胞が膨れ上がり(cellular expansion)、筋肥大の引き金となる
・甲状腺ホルモンの活性低下(T4→T3への変換低下)を防ぎ、代謝を高く保つ
ただしデメリットもあります。その筆頭は、もちろん「カーボアップ中は体脂肪が減少しない」ことでしょう。
また下手をすると、むしろ体脂肪が増えてしまう可能性もあります。インスリンは筋細胞だけでなく、脂肪細胞にも働きかけますので。
カーボアップをどう行うべきか
さて、通常は筋肉乾燥重量1kgあたり、80mmol程度のグリコーゲンが蓄積されています。しかし上手にカーボアップを行うと、それを200mmol程度まで増やすことが可能となります。では、どのようにカーボアップを行えば良いのでしょうか。
ChristensenとHansenにより、炭水化物を多く摂取することで持久力が向上することが報告されたのは1939年に遡ります。
そして1967年になり、Ahlborgによって体内のグリコーゲン量が多いほど、持久的パフォーマンスが向上することが示されました。
Ahlborgの提唱した方法は、3~4日間の低炭水化物食に引き続き、3日間の高炭水化物食を行うというものです。
まず試合の1週間ほど前になったら、完全に疲労困憊するまで運動することにより、体内のグリコーゲンを徹底的に枯渇させます。
そして3~4日の間、トータル摂取カロリーの10%だけを炭水化物から摂取し、運動を適度に行うことによって、体内のグリコーゲンレベルを低い状態のままに抑えます。
そして次の3日間はトータル摂取カロリーの90%を炭水化物から摂取し、運動は軽めに抑えて、体内にグリコーゲンを溜めていくようにします。
最初にグリコーゲンを枯渇させることによってグリコーゲン合成酵素を活性化できるため、3日間の高炭水化物食によって通常よりもグリコーゲンを多く溜め込むことができるというのが、この方法のポイントです。
現在、一般的に行われているカーボアップは、このAhlborg法です。しかし、この方法には幾つかの問題があるのです。
ChristensenとHansenにより、炭水化物を多く摂取することで持久力が向上することが報告されたのは1939年に遡ります。
そして1967年になり、Ahlborgによって体内のグリコーゲン量が多いほど、持久的パフォーマンスが向上することが示されました。
Ahlborgの提唱した方法は、3~4日間の低炭水化物食に引き続き、3日間の高炭水化物食を行うというものです。
まず試合の1週間ほど前になったら、完全に疲労困憊するまで運動することにより、体内のグリコーゲンを徹底的に枯渇させます。
そして3~4日の間、トータル摂取カロリーの10%だけを炭水化物から摂取し、運動を適度に行うことによって、体内のグリコーゲンレベルを低い状態のままに抑えます。
そして次の3日間はトータル摂取カロリーの90%を炭水化物から摂取し、運動は軽めに抑えて、体内にグリコーゲンを溜めていくようにします。
最初にグリコーゲンを枯渇させることによってグリコーゲン合成酵素を活性化できるため、3日間の高炭水化物食によって通常よりもグリコーゲンを多く溜め込むことができるというのが、この方法のポイントです。
現在、一般的に行われているカーボアップは、このAhlborg法です。しかし、この方法には幾つかの問題があるのです。
Ahlborg法の問題点
Ahlborgの提唱した方法では、試合の1週間前に疲労困憊するまで運動することにより、体内のグリコーゲンを枯渇させます。
しかし多くのアスリートにとって、試合の1週間前というのは既に調整期であり、運動は控えめに抑えてコンディションを整えるべき時期でもあります。このタイミングで疲労困備するまで運動を行ってしまうと、コンディションを崩してしまいかねません。
また3~4日間の低炭水化物期間を設けることで、その期間中に筋肉の痙攣や集中力の低下、風邪、胃腸の不快感など、体調の悪化を訴える選手が数多く出てきました。
この期間は筋肉量の低下も起こりやすいため、実はボディビルダーにとってもあまりお勧めできない方法なのです。
しかし多くのアスリートにとって、試合の1週間前というのは既に調整期であり、運動は控えめに抑えてコンディションを整えるべき時期でもあります。このタイミングで疲労困備するまで運動を行ってしまうと、コンディションを崩してしまいかねません。
また3~4日間の低炭水化物期間を設けることで、その期間中に筋肉の痙攣や集中力の低下、風邪、胃腸の不快感など、体調の悪化を訴える選手が数多く出てきました。
この期間は筋肉量の低下も起こりやすいため、実はボディビルダーにとってもあまりお勧めできない方法なのです。
新しいカーボアップの方法
そこで1983年になり、ShermanとCostillが新しいカーボアップの方法を提唱します。それもやはり1週間ほどのプロトコルです。
まず、運動強度は変えずに徐々に運動時間を減らします(テーパリング)。具体的には運動強度として70~75%VO2maxとし、1日目は90分、23日目は10分、1~5日目は20分の運動を行います。
食事については、最初の3日間はトータル摂取カロリーの50%を炭水化物から摂取。比率ではなく量で計算する場合は、体重1ポンドあたり1.8gの炭水化物。
その次の3~4日間はトータル摂取カロリーの70%を炭水化物から摂取。量で計算する場合は体重1ポンドあたり4.5gの炭水化物とします。
なお「1ポンド=0.45359237kg」ですので、体重1ポンドあたり1.8gの炭水化物というのは体重1kgあたり3.97gの炭水化物、体重1ポンドあたり4.5gの炭水化物というのは体重1kgあたり9.92gの炭水化物ということになります。
ですから例えば体重が70kgの場合、最初の3日間は一日に278gの炭水化物、次の3~4日間は一日に694gの炭水化物を摂取することになります。
この単純かつアスリートに負担のかからない方法により、Ahlborg法と同程度にまで筋グリコーゲンを増加させることが可能となりました。
なおSherman/Costil1法における最初の低糖質期間において、高脂肪食が推奨されることがあります。それが「ファットローディング」としての効果を発揮しているのではないかという報告があります。
早稲田大学で行われたこの研究では、6日間すべて高糖質食にした場合と、最初の3日間は高脂肪食で次の3日間は高糖質食にした場合とで比較しています。
その結果、筋肉中の脂肪が増加し、それが酸化してエネルギーとなっているのではないかという可能性が考えられました。(※56)
※55:Effect of glycogen loading on skeletal muscle cross-sectional area and T2 relaxation time.
Acta Physiol Scand.2001Dec;173(4):385-90.
※56:Effect of the classic 1-week glycogen-loading regimen on fat-loading in rats and humans.
J Nutr Sci Vitaminol(Tokyo).2010;56(5):299-304.
まず、運動強度は変えずに徐々に運動時間を減らします(テーパリング)。具体的には運動強度として70~75%VO2maxとし、1日目は90分、23日目は10分、1~5日目は20分の運動を行います。
食事については、最初の3日間はトータル摂取カロリーの50%を炭水化物から摂取。比率ではなく量で計算する場合は、体重1ポンドあたり1.8gの炭水化物。
その次の3~4日間はトータル摂取カロリーの70%を炭水化物から摂取。量で計算する場合は体重1ポンドあたり4.5gの炭水化物とします。
なお「1ポンド=0.45359237kg」ですので、体重1ポンドあたり1.8gの炭水化物というのは体重1kgあたり3.97gの炭水化物、体重1ポンドあたり4.5gの炭水化物というのは体重1kgあたり9.92gの炭水化物ということになります。
ですから例えば体重が70kgの場合、最初の3日間は一日に278gの炭水化物、次の3~4日間は一日に694gの炭水化物を摂取することになります。
この単純かつアスリートに負担のかからない方法により、Ahlborg法と同程度にまで筋グリコーゲンを増加させることが可能となりました。
なおSherman/Costil1法における最初の低糖質期間において、高脂肪食が推奨されることがあります。それが「ファットローディング」としての効果を発揮しているのではないかという報告があります。
早稲田大学で行われたこの研究では、6日間すべて高糖質食にした場合と、最初の3日間は高脂肪食で次の3日間は高糖質食にした場合とで比較しています。
その結果、筋肉中の脂肪が増加し、それが酸化してエネルギーとなっているのではないかという可能性が考えられました。(※56)
※55:Effect of glycogen loading on skeletal muscle cross-sectional area and T2 relaxation time.
Acta Physiol Scand.2001Dec;173(4):385-90.
※56:Effect of the classic 1-week glycogen-loading regimen on fat-loading in rats and humans.
J Nutr Sci Vitaminol(Tokyo).2010;56(5):299-304.
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