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プロテインの飲み方とゴールデンタイム

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掲載日:2018.12.27
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さて、これらを踏まえてプロテインをどのように飲んでいくか。
先ほどゴールデンタイムの話をしましたが、ここではタイミングが重要となってきます。

プロテインを飲むベストタイミング

トレーニング直後にプロテインを飲んだ場合とトレーニング終了2時間後に飲んだ場合とを比較したところ、直後に飲んだ群は筋肉量と筋力が大きく向上したのに対し、2時間後に飲んだ群は筋力が少しだけ増えたに過ぎなかったという報告があります。(※55)

さらに、トレーニング開始直後には既にタンパク合成が亢進していることを考えると、トレーニング開始時には既に血中アミノ酸レベルを高くしておくことが望ましいと思われます。ホエイの場合は摂取60分後には血中アミノ酸レベルが最高値に近くなっているため、トレーニングの1時間前にホエイを飲むようにするといいでしょう。

実際、トレーニング前後にプロテインを飲んだ場合と、朝食時および夕食時にプロテインを飲んだ場合とを比較したところ、トレーニング前後に飲んだほうが遥かに筋肉量の増加が見られています。(※56)

また就寝中は何も食べないため、血中アミノ酸レベルだけでなく、血糖値も低くなっています。そのため、糖新生が起こりやすくなっています。筋肉の分解を少しでも早く解消するため、起床直後にプロテインを飲むこともお勧めできます。

ちなみに糖尿病患者を対象にした研究では、ホエイを多め(この研究では50g)に飲み、その30分後に高グリセミック指数の朝食を食べたところ、GLP-1のレベルが141%高まり、食後高血糖が改善され、インスリン応答が96%も高まっています。(※57)

もちろん就寝前の摂取も追加したいところです。2015年にJournalofNutritionに掲載された研究では、44名の若者に12週間に渡ってトレーニングさせ、すべて同量のタンパク質を摂取させました。
しかし就寝前に27.5gのプロテインと15gの糖質を摂取したグループは他のグループに比べて筋肉量と筋力が顕著に増加したという結果が出ています。
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ただし仕事が終わってからジムに行き、トレーニングしてからプロテインを飲み、寝る前に夕食を食べる・・・というような場合、夕食で十分にタンパク質を摂取しておけば、特に寝る前にはプロテインを飲まなくても大丈夫です。

夕食から就寝までの間に時間が空く場合、就寝前にもプロテインを飲みます。この場合、消化吸収をゆっくりにするために「ホエイ+大豆orPea」としても良いですし、ホエイプロテインにオリーブオイル」どを5gほど混ぜるだけでもOKです。オイルと一緒に飲むことで、ホエイの吸収を遅くすることができます。

面白いことに、油ものの多い料理を食べてからホエイを飲んだ場合、カゼインやグルテンなどと比べて胃内容排出時間が遅くなるようです。(※58)
夕食でステーキを食べ、数時間後にプロテインを飲んでから寝るような場合は、ホエイ単体でも十分でしょう。

なお、本気でトレーニング効果を挙げたい人には、就寝中にも一回起き出して、冷蔵庫に入れておいたプロテインを飲むようにすることをお勧めしています。

一回に飲むべき量は

プロテインの摂取量はどうでしょうか。
体重1kgあたり2.2~2.3gとすると、80kgの人で一日に180g程度のタンパク質が必要となります。食事でも高タンパクを意識したとして、食事から摂取できるタンパク質が80~90gといったところでしょうか。するとプロテインから摂取するべき量は、一日に100g程度のタンパク質となります。

これをトレーニング前とトレーニング後、寝る前あるいは起床直後などに分散させます。
なお「タンパク合成はプロテイン20gで最大となるので、一回にそれ以上飲んでもムダ」という説が流れたことがあります。これはもともとムーアの研究(※59)が発祥となっているようで、その後も似たような報告が幾つか出てきています。(※60,※61)

しかしつい最近になって発表された報告(若いトレーニング経験豊富な男性を被験者とする)によると、20gでは足らず、40g摂取することにより最大のタンパク合成がもたらされたという結果が出ています。面白いことに、これは筋肉量が少ない人でも同様だったとのことです。(※62)

筋肉量が多いほど、タンパク質は多く要求されるというのがこれまでの常識でした(※63,※64,※65)しかしこの報告では除脂肪体重が65kg以下の人でも、除脂肪体重70kg以上の人と同じように、40gのタンパク質のほうが強いタンパク合成を示しています。

また、若者(平均22歳)と非若者(平均71歳)を比較したところ、若者のほうは「体重1kgあたり0.24g」あるいは「除脂肪体重1kgあたり0.25g」のタンパク質で合成率が最大。

しかし若者でないほうは、「体重1kgあたり0.4g」あるいは「除脂肪体重1kgあたり0.6g」のタンパク質で、合成率が最大になったという報告があります。(※66)
このあたりの報告から考えて、一日に100gのプロテインを飲む場合、たとえばトレーニング1時間前ほどに40g、トレーニング後に40g、就寝前に20gというような感じでトレーニング前後に多く割り振るようにしたほうがいいでしょう。

なおトレーニング直後は交感神経が興奮しており、副交感神経が働きにくくなっています。また筋肉に血流が行っており、胃腸への血流が少なくなっている状態です。

そのため、トレーニング直後は消化の必要がないグルタミンなどのアミノ酸を摂取しておき、トレーニング終了後、数十分して副交感神が優位に立ち、胃腸の血流も回復したあたりでプロテインを飲むようにしたほうが良いものと思われます。

そしてもう一つ。
「トレーニングしない日はプロテインを飲まなくても良いのですか?」という質問を受けることがあります。答えはもちろんNO!トレーニングが終わってからも48時間は筋タンパク合成が元進しているため(※67,※68,※69,※70,※71)、オフの日もプロテインは飲まないといけません。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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