その他のアミノ酸 ~カルニチン~
掲載日:2019.06.06
カルニチン
カルニチンはリジンとメチオニンから作られる化合物で、全体の25%が体内で合成されます。残りの75%は食事から摂取しており、主に肉類(特にラム)に多く含まれます。
体内ではカルニチンの一部がアセチルカルニチンになっており、このアセチル基がGABAやグルタミン酸など脳内神経伝達物質の材料となっています。特にアセチルカルニチンは加齢に従って減少していくため、外部からのサプリメンテーションが望まれます。
前述の通り、カルニチンは脂肪酸をエネルギーにするときに重要な働きをします。
脂肪酸はミトコンドリアという細胞のエネルギー工場に運ばれる必要があるのですが、脂肪酸はそのままだとミトコンドリアに入ることができません。「アシルカルニチン」になって、はじめて入ることができます。
まず脂肪酸が「アシルCoA」に変換されます。そしてアシルCoAはカルニチンと結びついてアシルカルニチンになります。この時に働く酵素がCPT1です。
アシルカルニチンはミトコンドリアに入り込めます。
そして今度はCPT2という酵素によってアシルCoAとカルニチンとに分解されるという流れです。この酵素CPT1やCPT2を作るときにもカルニチンが必要となります。なおカルニチンを必要とする脂肪酸は「長鎖脂肪酸」であり、中鎖脂肪酸や短鎖脂肪酸はカルニチンを必要としません。
カルニチンをオメガ3脂肪酸およびポリフェノールと同時に摂取したところ、12週間に渡って脂肪減少が認められ、エネルギーレベルの増加と中性脂肪の低下が起こったという結果が出ています。(※151)
また高脂肪食による肥満を改善したり(※152)、アンドロゲンレセプターを増やしたり(※153)、血中乳酸濃度の上昇を減らし、グリコーゲンを節約したり(※154)、ピルビン酸脱水素酵素の活性を低下させて脂肪のエネルギー化を増やしたり(※155)などの効果が期待できます。
しかし最近になって、カルニチンはトリメチルアミン(TMA)からトリメチルアミンNオキサイド(TMAO)に変化し、動脈硬化を促進するのではないかという報告が出てきました。(※156)
そのため、カルニチンを多く含む肉食が批判にさらされました。
ただしこのTMAやTMAOというのは、「魚の臭み成分」です。
つまり肉に限った話ではありません。TMAOが動脈硬化を促進するのは、腸内細菌の働きが悪いことが関連しているようです。よってカルニチンが悪者ということにはならないようです。
実際のところ、心臓発作を起こした患者がカルニチンを摂取することで、死亡率が減少し、不整脈や狭心症の発作を起こすリスクが格段に減少したことが示されています。(※157)
カルニチンの効果を得るためには、常時摂取することによって体内のカルニチンレベルを高めておくことが必要です。毎日1~2gのカルニチンを摂取するようにするといいでしょう。なおアセチルカルニチン(ALC)は吸収が良く、カルニチンによくある下痢を引き起こす心配が要りません。
またALCには集中力増加作用も期待できます。この場合、運動の45分ほど前に3g程度を摂取するようにします。
体内ではカルニチンの一部がアセチルカルニチンになっており、このアセチル基がGABAやグルタミン酸など脳内神経伝達物質の材料となっています。特にアセチルカルニチンは加齢に従って減少していくため、外部からのサプリメンテーションが望まれます。
前述の通り、カルニチンは脂肪酸をエネルギーにするときに重要な働きをします。
脂肪酸はミトコンドリアという細胞のエネルギー工場に運ばれる必要があるのですが、脂肪酸はそのままだとミトコンドリアに入ることができません。「アシルカルニチン」になって、はじめて入ることができます。
まず脂肪酸が「アシルCoA」に変換されます。そしてアシルCoAはカルニチンと結びついてアシルカルニチンになります。この時に働く酵素がCPT1です。
アシルカルニチンはミトコンドリアに入り込めます。
そして今度はCPT2という酵素によってアシルCoAとカルニチンとに分解されるという流れです。この酵素CPT1やCPT2を作るときにもカルニチンが必要となります。なおカルニチンを必要とする脂肪酸は「長鎖脂肪酸」であり、中鎖脂肪酸や短鎖脂肪酸はカルニチンを必要としません。
カルニチンをオメガ3脂肪酸およびポリフェノールと同時に摂取したところ、12週間に渡って脂肪減少が認められ、エネルギーレベルの増加と中性脂肪の低下が起こったという結果が出ています。(※151)
また高脂肪食による肥満を改善したり(※152)、アンドロゲンレセプターを増やしたり(※153)、血中乳酸濃度の上昇を減らし、グリコーゲンを節約したり(※154)、ピルビン酸脱水素酵素の活性を低下させて脂肪のエネルギー化を増やしたり(※155)などの効果が期待できます。
しかし最近になって、カルニチンはトリメチルアミン(TMA)からトリメチルアミンNオキサイド(TMAO)に変化し、動脈硬化を促進するのではないかという報告が出てきました。(※156)
そのため、カルニチンを多く含む肉食が批判にさらされました。
ただしこのTMAやTMAOというのは、「魚の臭み成分」です。
つまり肉に限った話ではありません。TMAOが動脈硬化を促進するのは、腸内細菌の働きが悪いことが関連しているようです。よってカルニチンが悪者ということにはならないようです。
実際のところ、心臓発作を起こした患者がカルニチンを摂取することで、死亡率が減少し、不整脈や狭心症の発作を起こすリスクが格段に減少したことが示されています。(※157)
カルニチンの効果を得るためには、常時摂取することによって体内のカルニチンレベルを高めておくことが必要です。毎日1~2gのカルニチンを摂取するようにするといいでしょう。なおアセチルカルニチン(ALC)は吸収が良く、カルニチンによくある下痢を引き起こす心配が要りません。
またALCには集中力増加作用も期待できます。この場合、運動の45分ほど前に3g程度を摂取するようにします。
※151: A combination of (ω-3) polyunsaturated fatty acids, polyphenols and L-carnitine reduces the plasma lipid levels and increases the expression of genes involved in fatty acid oxidation in human peripheral blood mononuclear cells and HepG 2 cells. Ann Nutr Metab. 2011; 58( 2): 133-40. doi: 10. 1159/ 000327150. Epub 2011 Apr 29.
※152:Improvement of high-fat diet-induced obesity by a mixture of red grape extract, soy isoflavone and L-carnitine: implications in cardiovascular and non-alcoholic fatty liver diseases. Food Chem Toxicol. 2011 Sep; 49( 9): 2453-8. doi: 10. 1016/ j. fct. 2011. 06. 071. Epub 2011 Jul 2.
※153: Androgenic responses to resistance exercise: effects of feeding and L-carnitine. Med Sci Sports Exerc. 2006 Jul; 38( 7): 1288-96.
※154: Chronic oral ingestion of L-carnitine and carbohydrate increases muscle carnitine content and alters muscle fuel metabolism during exercise in humans. J Physiol. 2011 Feb 15; 589( Pt 4): 963-73. doi: 10. 1113/ jphysiol. 2010. 201343. Epub 2011 Jan 4.
※155: Boosting fat burning with carnitine: an old friend comes out from the shadow. J Physiol. 2011 Apr 1; 589( Pt 7): 1509-10. doi: 10. 1113/ jphysiol. 2011. 205815.
※156: Intestinal microbiota metabolism of L-carnitine, a nutrient in red meat, promotes atherosclerosis. Nat Med. 2013 May; 19( 5): 576-85. doi: 10. 1038/ nm. 3145. Epub 2013 Apr 7.
※157: L-Carnitine in the Secondary Prevention of Cardiovascular Disease: Systematic Review and Meta-analysis Mayo Clin Proc. 2013 Jun; 88( 6): 544-51. doi:10. 1016/ j. mayocp. 2013. 02. 007. Epub 2013 Apr 15.
※152:Improvement of high-fat diet-induced obesity by a mixture of red grape extract, soy isoflavone and L-carnitine: implications in cardiovascular and non-alcoholic fatty liver diseases. Food Chem Toxicol. 2011 Sep; 49( 9): 2453-8. doi: 10. 1016/ j. fct. 2011. 06. 071. Epub 2011 Jul 2.
※153: Androgenic responses to resistance exercise: effects of feeding and L-carnitine. Med Sci Sports Exerc. 2006 Jul; 38( 7): 1288-96.
※154: Chronic oral ingestion of L-carnitine and carbohydrate increases muscle carnitine content and alters muscle fuel metabolism during exercise in humans. J Physiol. 2011 Feb 15; 589( Pt 4): 963-73. doi: 10. 1113/ jphysiol. 2010. 201343. Epub 2011 Jan 4.
※155: Boosting fat burning with carnitine: an old friend comes out from the shadow. J Physiol. 2011 Apr 1; 589( Pt 7): 1509-10. doi: 10. 1113/ jphysiol. 2011. 205815.
※156: Intestinal microbiota metabolism of L-carnitine, a nutrient in red meat, promotes atherosclerosis. Nat Med. 2013 May; 19( 5): 576-85. doi: 10. 1038/ nm. 3145. Epub 2013 Apr 7.
※157: L-Carnitine in the Secondary Prevention of Cardiovascular Disease: Systematic Review and Meta-analysis Mayo Clin Proc. 2013 Jun; 88( 6): 544-51. doi:10. 1016/ j. mayocp. 2013. 02. 007. Epub 2013 Apr 15.
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