ナイアシンが寿命を延ばす?
掲載日:2019.10.11
最近になって、ナイアシンの代謝物質に寿命を延ばす効果が期待されるようになりました。
NADが酸化されるとNADになりますが、これが増加することによってミトコンドリアの機能が回復し、若返りを引き起こしたという研究が話題になったことがあります。
加齢によって体内のNADは減少していきます。(※16,※17,※18)だからNADを増やせば若返りが起こるだろうということで※15の研究が行われたわけですが、NADはそのまま摂取してもすぐに分解されてしまうため、工夫が必要になります。
その工夫の一つが、NADの前駆体である「ニコチンアミドリボシド(NR)」の摂取です。一日1000mgのNRを摂取したところ、血中NADレベルが270%増加したという結果が出ています。
摂取してから4時間したところでレベルが上がりはじめ、摂取8時間後に血中濃度が最大になるようです。
なお100mgのNR摂取で血中NADレベルは30%増加、300mg摂取で50%増加したという報告もあります。(※19)
マウスの実験ですが、体重1kgあたり400mgのNRを摂取させて12週間観察したところ、非摂取群と比べて体脂肪が増えておらず、トレッドミルランニングでの持久力も高くなっていることが示されました。(※20)
なおこの量は人間に換算すると、80kgの人で3200mg以上を摂取する計算になります。他にもNRに期待できる作用として、筋ジストロフィー(筋肉が減っていく病気)の治療としての可能性(※21)や、耐糖能や肝機能を高めて糖尿病の神経障害を防ぐ可能性(※22)、NLRP3インフラマソームによる炎症を抑制する作用(※23)、神経のシナプス結合のダメージを防いで騒音性難聴から蝸牛を護る作用(※24)などがあり、NiagenなどのNRサプリメントの今後における普及展開が待たれるところです。
なお分解されてしまうとはいえ、ナイアシンを大量に摂取することで、体内のNADを増やすことは可能です。(※25,※26)しかし前述のとおり、ナイアシンは大量に摂取すると「ナイアシンフラッシュ」といって皮膚が真っ赤になってしまうことがあります。また大量摂取は肝臓への負担も大きくなります。
しかしNRの場合だと、副作用は皆無だったとのことです。(※27)また「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」という物質もNADの前駆体であり、NRと同じように寿命を延ばしたりインスリン感受性を高めたりといった効果が確認されています。
これは日本の食品会社で研究が始められています。
※15: Declining NAD( ) induces a pseudohypoxic state disrupting nuclear-mitochondrial communication during aging. Cell. 2013 Dec 19; 155( 7): 1624-38. doi: 10. 1016/ j. cell. 2013. 11. 037.
※16: Age related changes in NAD metabolism oxidative stress and Sirt 1 activity in wistar rats. PLoS One. 2011 Apr 26; 6( 4): e 19194.
※17: Age-associated changes in oxidative stress and NAD metabolism in human tissue. PLoS One. 2012; 7( 7): e 42357.
※18: Design and synthesis of compounds that extend yeast replicative lifespan. Aging Cell. 2007 Feb; 6( 1): 35-43.
※19: Nicotinamide riboside is uniquely and orally bioavailable in mice and humans. Nat Commun. 2016 Oct 10; 7: 12948. doi: 10. 1038/ ncomms 12948.
※20: The NAD( ) precursor nicotinamide riboside enhances oxidative metabolism and protects against high-fat diet-induced obesity. Cell Metab. 2012 Jun 6; 15( 6): 838-47. doi: 10. 1016/ j. cmet. 2012. 04. 022.
※21: NAD repletion improves muscle function in muscular dystrophy and counters global PARylation. Sci Transl Med. 2016 Oct 19; 8( 361): 361 ra 139.
※22: Nicotinamide Riboside Opposes Type 2 Diabetes and Neuropathy in Mice. Sci Rep. 2016 May 27; 6: 26933. doi: 10. 1038/ srep 26933.
※23: Nicotinamide Riboside Ameliorates Hepatic Metaflammation by Modulating NLRP 3 Inflammasome in a Rodent Model of Type 2 Diabetes. J Med Food. 2015 Nov; 18( 11): 1207-13. doi: 10. 1089/ jmf. 2015. 3439. Epub 2015 May 14.
※24: Activation of SIRT 3 by the NAD ⁺ precursor nicotinamide riboside protects from noise-induced hearing loss.Cell Metab. 2014 Dec 2; 20( 6): 1059-68. doi: 10. 1016/ j. cmet. 2014. 11. 003.
※25: Niacin status, NAD distribution and ADP-ribose metabolism. Curr Pharm Des. 2009; 15( 1): 3-11.
※26: Large supplements of nicotinic acid and nicotinamide increase tissue NAD and poly( ADP-affect diethylnitrosamine-induced altered hepatic foci in Fischer-344 rats. J Nutr. 1995 Jun; 125( 6): 1455-61.
※27: Safety assessment of nicotinamide riboside, a form of vitamin B 3. Hum Exp Toxicol. 2016 Jan 20. pii: 0960327115626254.ribose) levels but do not
NADが酸化されるとNADになりますが、これが増加することによってミトコンドリアの機能が回復し、若返りを引き起こしたという研究が話題になったことがあります。
加齢によって体内のNADは減少していきます。(※16,※17,※18)だからNADを増やせば若返りが起こるだろうということで※15の研究が行われたわけですが、NADはそのまま摂取してもすぐに分解されてしまうため、工夫が必要になります。
その工夫の一つが、NADの前駆体である「ニコチンアミドリボシド(NR)」の摂取です。一日1000mgのNRを摂取したところ、血中NADレベルが270%増加したという結果が出ています。
摂取してから4時間したところでレベルが上がりはじめ、摂取8時間後に血中濃度が最大になるようです。
なお100mgのNR摂取で血中NADレベルは30%増加、300mg摂取で50%増加したという報告もあります。(※19)
マウスの実験ですが、体重1kgあたり400mgのNRを摂取させて12週間観察したところ、非摂取群と比べて体脂肪が増えておらず、トレッドミルランニングでの持久力も高くなっていることが示されました。(※20)
なおこの量は人間に換算すると、80kgの人で3200mg以上を摂取する計算になります。他にもNRに期待できる作用として、筋ジストロフィー(筋肉が減っていく病気)の治療としての可能性(※21)や、耐糖能や肝機能を高めて糖尿病の神経障害を防ぐ可能性(※22)、NLRP3インフラマソームによる炎症を抑制する作用(※23)、神経のシナプス結合のダメージを防いで騒音性難聴から蝸牛を護る作用(※24)などがあり、NiagenなどのNRサプリメントの今後における普及展開が待たれるところです。
なお分解されてしまうとはいえ、ナイアシンを大量に摂取することで、体内のNADを増やすことは可能です。(※25,※26)しかし前述のとおり、ナイアシンは大量に摂取すると「ナイアシンフラッシュ」といって皮膚が真っ赤になってしまうことがあります。また大量摂取は肝臓への負担も大きくなります。
しかしNRの場合だと、副作用は皆無だったとのことです。(※27)また「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」という物質もNADの前駆体であり、NRと同じように寿命を延ばしたりインスリン感受性を高めたりといった効果が確認されています。
これは日本の食品会社で研究が始められています。
※15: Declining NAD( ) induces a pseudohypoxic state disrupting nuclear-mitochondrial communication during aging. Cell. 2013 Dec 19; 155( 7): 1624-38. doi: 10. 1016/ j. cell. 2013. 11. 037.
※16: Age related changes in NAD metabolism oxidative stress and Sirt 1 activity in wistar rats. PLoS One. 2011 Apr 26; 6( 4): e 19194.
※17: Age-associated changes in oxidative stress and NAD metabolism in human tissue. PLoS One. 2012; 7( 7): e 42357.
※18: Design and synthesis of compounds that extend yeast replicative lifespan. Aging Cell. 2007 Feb; 6( 1): 35-43.
※19: Nicotinamide riboside is uniquely and orally bioavailable in mice and humans. Nat Commun. 2016 Oct 10; 7: 12948. doi: 10. 1038/ ncomms 12948.
※20: The NAD( ) precursor nicotinamide riboside enhances oxidative metabolism and protects against high-fat diet-induced obesity. Cell Metab. 2012 Jun 6; 15( 6): 838-47. doi: 10. 1016/ j. cmet. 2012. 04. 022.
※21: NAD repletion improves muscle function in muscular dystrophy and counters global PARylation. Sci Transl Med. 2016 Oct 19; 8( 361): 361 ra 139.
※22: Nicotinamide Riboside Opposes Type 2 Diabetes and Neuropathy in Mice. Sci Rep. 2016 May 27; 6: 26933. doi: 10. 1038/ srep 26933.
※23: Nicotinamide Riboside Ameliorates Hepatic Metaflammation by Modulating NLRP 3 Inflammasome in a Rodent Model of Type 2 Diabetes. J Med Food. 2015 Nov; 18( 11): 1207-13. doi: 10. 1089/ jmf. 2015. 3439. Epub 2015 May 14.
※24: Activation of SIRT 3 by the NAD ⁺ precursor nicotinamide riboside protects from noise-induced hearing loss.Cell Metab. 2014 Dec 2; 20( 6): 1059-68. doi: 10. 1016/ j. cmet. 2014. 11. 003.
※25: Niacin status, NAD distribution and ADP-ribose metabolism. Curr Pharm Des. 2009; 15( 1): 3-11.
※26: Large supplements of nicotinic acid and nicotinamide increase tissue NAD and poly( ADP-affect diethylnitrosamine-induced altered hepatic foci in Fischer-344 rats. J Nutr. 1995 Jun; 125( 6): 1455-61.
※27: Safety assessment of nicotinamide riboside, a form of vitamin B 3. Hum Exp Toxicol. 2016 Jan 20. pii: 0960327115626254.ribose) levels but do not
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