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ビタミンCのトレーニング効果を高める作用

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掲載日:2020.01.16
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ビタミンCにはトレーニング効果を高める作用もあります。一日3~7gを摂取することでテストステロンが増え(※56)、またハードなトレーニングにおけるテストステロン低下作用を防止することもできます。(※57)

また線維筋痛症患者にビタミンCを摂取させたところ、抗疲労効果が示されました。(※58)

さらにビタミンCにはコルチゾルを減らす作用も期待できます。(※59,※60)

しかしビタミンCは逆にトレーニング効果を減少させるという論文もあります。
少し前に話題となった研究で、ビタミンCとビタミンEを摂取したところ、PPARγの発現やグルタチオンペルオキシダーゼ、アディポネクチンの増加が抑制されたというものや(※61)、ビタミンCは筋肉の回復を遅らせた(※62)というものがあります。

しかしこれらの研究は短期間(2~4週間)であり、被験者も若かった(25~26歳)という問題があります。

短期間であれば活性酸素の害も受けにくく、若い被験者であれば抗酸化酵素の活性も、もともと高かったのでしょう。

逆にハードなトレーニングを長期間行った場合はどうでしょうか。また、若くない被験者だったらどうでしょうか。平均年齢66歳の男女50名を対象に、6週間に渡ってウェイトトレーニングを行わせた研究があります。

その結果、ビタミンCとビタミンEを摂取した群は摂取しなかった群に比べて除脂肪体重が増え、体脂肪も減りました。(※63)

また90日間に渡ってビタミンEとβカロテン、ビタミンCを摂取したところ、体内での抗酸化酵素の活性が高まったという報告(※64)や、60歳以上の持久系アスリートを対象にマルチビタミンミネラルのサプリメントを摂取させたところ、酸素摂取量などのパフォーマンス向上が見られたという結果が出ています。(※65)

こうして見てくると、抗酸化物質が運動の良い面をキャンセルするかも、という点については気にしなくても良さそうです。


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※56: Effect of vitamin C on male fertility in rats subjected to forced swimming stress. J Clin Diagn Res. 2014 Jul; 8( 7): HC 05-8. doi: 10. 7860/ JCDR/ 2014/ 8432. 4622. Epub 2014 Jul 20.

※57: The effect of ascorbic acid supplementation on sperm quality, lipid peroxidation and testosterone levels of male Wistar rats. Theriogenology. 2005 Apr 15; 63( 7): 2063-72. Epub 2004 Nov 18.

※58: Vitamins C and E treatment combined with exercise modulates oxidative stress markers in blood of patients with fibromyalgia: a controlled clinical pilot study.
Stress. 2010 Nov; 13( 6): 498-505. doi: 10. 3109/ 10253890. 2010. 486064. Epub 2010 Jul 28.

※59: Vitamin C supplementation and salivary immune function following exercise-heat stress. Int J Sports Physiol Perform. 2008 Dec; 3( 4): 516-30.

※60: Effect of vitamin C supplementation on lipid peroxidation, muscle damage and inflammation after 30-min exercise at 75% VO 2 max. J Sports Med Phys Fitness. 2008 Jun; 48( 2): 217-24.

※61: Antioxidants prevent health-promoting effects of physical exercise in humans Published online before print May 11, 2009, doi: 10. 1073/ pnas. 0903485106

※62:Ascorbic acid supplementation does not attenuate post-exercise muscle soreness following muscle-damaging exercise but may delay the recovery process. Br J Nutr. 2006 May; 95( 5): 976-81

※63: Effects of resistance training combined with antioxidant supplementation on fat-free mass and insulin sensitivity in healthy elderly subjects. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Jan; 87( 1): e 1-3.1-3. doi: 10. 1016/ j. diabres. 2009. 10. 001. Epub 2009 Nov 1.

※64: Response of blood cell antioxidant enzyme defences to antioxidant diet supplementation and to intense exercise. Eur J Nutr. 2006 Jun; 45( 4): 187-95. Epub 2005 Dec 22.

※65:Vitamin and mineral supplementation effect on muscular activity and cycling efficiency in master athletes. Appl Physiol Nutr Metab. 2010 Jun; 35( 3): 251-60. doi: 10. 1139/ H 10-014
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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