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食事の摂り方で体脂肪を燃焼させる<炭水化物と脂肪のコントロール>

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掲載日:2016.09.08
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炭水化物と脂肪のコントロール

体脂肪をコントロールするのに最も重要なことは、まず体に脂肪を蓄えないようにすることです。あなたが体脂肪を低くしたいと思うなら、余分なカロリー摂取を避けながら、一日のカロリー必要量は満たすように食べなければなりません。脂肪を減らすためなら、カロリーからのエネルギーを減らすか、運動を通じてカロリーを消費しなければなりません。身体がカロリーの不足を感じ取ると、体脂肪がかなりの割合でエネルギーとして使われます。しかし注意しなければならないのは、不足が大きすぎると、体が脂肪を溜め込もうとすることによって対抗することです。

カロリーを減らすことは体脂肪をコントロールするのに重要ですが、脂肪の蓄積に繋がる他の要因にも注意しなければなりません。食物繊維が少ない食事はつい食べ過ぎてしまいますし、糖の多い食事、脂肪の多い食事は、余分なカロリーを取っていなくても脂肪の蓄積に繋がることがあります。

フルーツジュースやハチミツなどのような精製された糖、または白米やマッシュポテト、シリアルのような食物繊維を含まない炭水化物を余計に取ると、体内であまりにも早く分解される傾向があります。炭水化物がすばやく消化されると、その炭水化物食品から得られた糖(グルコース)が血液中にあふれ、インスリンというホルモンの大量分泌を起こします。このホルモンの主な役割は、グルコース(血糖)の値を調節することです。それは、グルコースをすべての体の細胞、エネルギーを供給できるところへ運ぶことによって行われます。糖の主な貯蔵庫の一つは、筋肉グリコーゲンです。グリコーゲンは、エネルギーを供給するためにすばやく取り込まれますが、細胞が飽和状態になったのにまだ余分な糖があると、脂肪として蓄えられます。

つまり、既に筋肉に蓄えられているグリコーゲンの量が、摂取した炭水化物が脂肪になるかならないかを左右する主な要因なのです。ですから、低脂肪、低糖で、食物繊維を豊富に含むカロリー的にバランスのとれた食事(あなたのBMIと運動量を考慮したもの)を取ることで、吸収される炭水化物の量をコントロールすることが、脂肪を減らし、脂肪の蓄積を防ぐ鍵となるのです。
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グルコースの値と、それに関係した脂肪の蓄積の可能性をコントロールする一つの方法は、夜遅くなってからの炭水化物摂取を避けることだと思います。体脂肪のレベルということに関しては、総カロリーが最も重要ではありますが、夜遅い食事を避けることにより、グルコースの値を下げることもまた有効です。夜遅くに摂取された食物は、脂肪として蓄えられる可能性が大きいのです。

その理由は3つあります。

○夜は活動量が少なく、カロリー消費が少ない
○炭水化物の蓄え(グリコーゲン)が、その日取った食事ですでにいっぱいになっているかもしれないので、さらなる炭水化物=脂肪となる
○夜に取った炭水化物は、朝に比べてより多くのインスリンを分泌させる。夜の7時に食べた300キロカロリー分のポテトは、朝の7時に食べた同じ300カロリーのポテトよりも多くのインスリンを分泌させる。

トレーニング後の炭水化物はしっかり取る

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一日の早い時間にウェイトを使ってエクササイズすれば、トレーニング後の食事は、しっかり食べなければなりません。しかし、最後の食事は、炭水化物を少なめにするべきです。そうすることにより、理想的な(自然な)成長ホルモンの分泌が起こり、なおかつ炭水化物を少なくすることによって、体が自然に脂肪をエネルギーとして使うようになるのです。グリコーゲンとしての炭水化物の蓄えが一杯でなく、血糖値が低めである場合、脂肪はその蓄えからすばやく分解され、エネルギーとして使われます。

分泌されるインスリンの量は、多くの要素と相関関係にあります。主なインスリン分泌のもとは、総炭水化物摂取量で、二番目に大きいのは、生成された糖でできた炭水化物です。

肥満状態にある人々は、脂肪細胞に非常に活発なインスリンのレセプター(受容器官)を持っています。それに対して、筋肉細胞のレセプターは、それほど活発ではありません。脂肪が少なく、筋量が多い為に高いBMIにある人は脂肪細胞のインスリンレセプターが不活発です。なぜなら、筋肉細胞のインスリンレセプターが非常に活発だからです。

さて、これをどのように利用していくか説明します。あなたの目標がまず体脂肪をコントロールすることであるなら、または脂肪を減らすのに困難を感じているとしたら、夜の炭水化物摂取を少なくし、トータルで一日に炭水化物を摂りすぎないようにすることが良い考えであるかもしれません。忘れてはならないのは、グリコーゲンの蓄えがいっぱいになると、余分な炭水化物は脂肪として蓄えられることと、インスリンの値が夜は高めだということです
(インスリンの値が高いと脂肪がつきやすい)

あなたが脂肪の少ない人なら、一日の遅い時間に炭水化物を食べても大丈夫でしょう。というのは、あなたの取っているカロリーが過剰でない場合に限り、インスリンに対して敏感になっている筋肉は糖をエネルギーとして使うからです。

脂肪の量が少なくなると、炭水化物を蓄積することなく、一日の遅い時間に食べることができるようになります。体脂肪が減ると、炭水化物食品に反応して分泌されるインスリンが少し低くなるからです。

もしあなたがカロリーをカットせずに筋肉をつけることで脂肪を燃やそうとしていて、夕方仕事の後にウェイトを使ってトレーニングをしているとしたら、炭水化物を夜、トレーニング後に食べることが大切です。

ここで先に進む前に、以下の重要な考えを把握することが大切です。筋肉はインスリンに対して活発なレセプターを持ちます。筋肉が使われると、インスリンのレセプターはオーバータイムで働くことになります。
これらのレセプターが“ハイ”な状態のときに炭水化物が摂取されると、体はそれほど多くのインスリンを分泌しなくてもよくなります。筋肉がインスリンの注意を引き、炭水化物からの糖を筋肉グリコーゲンとして蓄えるのです。炭水化物が筋肉のほうへ向かっていけば、それらは脂肪の方へは向かいません。

もしあなたが代謝を上げるために筋肉づくりのトレーニングプログラムを行っており、カロリー摂取を変えていないとすれば、炭水化物の一日の摂取量のうち多めをトレーニング後に食べることが大切です。というのは、それは筋肉グリコーゲンとして蓄えられるからです。トレーニングによってグリコーゲンの蓄えが少なくなっていますし、インスリンのレセプターがトレーニング後は敏感になっているからです。
この時、炭水化物が脂肪として蓄えられる可能性はほとんどありません。

あなたがウェイトを使ってトレーニングしたのなら、夕方の炭水化物をカットするという間違いは犯さないでください。そうでなければ、筋肉の回復が弱まり、筋量がつくプロセス、代謝を上げるのに非常に効果的なプロセスが妨げられてしまいます。あなたが午前中にウェイトトレーニングをしているのであれば、トレーニング後の食事では炭水化物をたっぷりと取るべきですが、最後の食事の炭水化物はやはり少なめにするべきです。
  • 理論と実践で100%成功するダイエット ダイエットは科学だ!2008年10月10日第2刷発行
    著者:クリス・アセー卜
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社