鉄と筋肉
掲載日:2020.08.06
ミネラルのなかでもっとも有名で、サプリメントとしても良く使われているのがカルシウムと鉄ではないでしょうか。鉄とヘモグロビンの関係は有名ですが、鉄には他にもいろいろな働きがあります。
赤血球をつくり、酸素を運搬する
赤血球が酸素を運搬するのはよく知られていることですが、その働きは赤血球の中にある「ヘモグロビン」によるものです。そしてヘモグロビンは「ヘム」と「グロビン」から構成されており、この「ヘム」は鉄原子が中心にある構造となっているのです。
「ヘム」の中の鉄原子に酸素が結びつき、身体中に酸素を運搬します。そのため鉄が足りないと血液の運搬能力も減退します。なお鉄が足りなくて正常な赤血球が上手く作られなくなった状態を、「鉄欠乏性貧血」と呼びます。
「ヘム」の中の鉄原子に酸素が結びつき、身体中に酸素を運搬します。そのため鉄が足りないと血液の運搬能力も減退します。なお鉄が足りなくて正常な赤血球が上手く作られなくなった状態を、「鉄欠乏性貧血」と呼びます。
筋肉に酸素を貯蔵する
クジラやイルカは哺乳類ですが、水中に長時間もぐっていることができます。これは「ミオグロビン」という酸素を溜め込むことができるタンパク質が筋肉内に大量にあるからなのです。
ミオグロビンもやはり鉄が重要な構成物質となっています。これはヘモグロビンよりもさらに酸素と結びつきやすくなっているため、血中のヘモグロビンから酸素を受け取ることができます。そしてミオグロビン内の鉄に酸素を結合させることにより、酸素を貯蔵することができるのです。
ミオグロビンもやはり鉄が重要な構成物質となっています。これはヘモグロビンよりもさらに酸素と結びつきやすくなっているため、血中のヘモグロビンから酸素を受け取ることができます。そしてミオグロビン内の鉄に酸素を結合させることにより、酸素を貯蔵することができるのです。
エネルギーを生産する
私たちの身体のエネルギーとなるのはもちろんATPですが、それを生産する主な機構の一つが、ミトコンドリアにおける「電子伝達系」です。この電子伝達系においても、鉄が必要とされるのです。言い換えると、鉄が不足しているとエネルギー生産に支障をきたしてしまうということです。
カタラーゼをつくる
体内における活性酸素を除去してくれる酵素のなかに、「カタラーゼ」というものがあります。鉄はこの酵素をつくるための材料になります。詳しくは拙著「活性酸素とスカベンジャー」をご一読ください。
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