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<ダイエット>強度の高い有酸素運動の方が体脂肪を燃やす?

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掲載日:2017.01.05
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強度の高い有酸素運動の方が体脂肪を燃やす

有酸素運動では、大きな筋肉群がリズミカルで持続的に使われます。それは心拍数をあげ、その状態を20分かそれ以上維持します。体がこのタイプのエクササイズに適応するひとつの方法は、心臓と肺の機能と効率を強化、向上することによってです。一般的な運動としては、早歩き、ジョギング、サイクリング、スイミング、ステアクライミング(マシン)などがそうです。持続性のエクササイズのエネルギー源は、脂肪です。ですから、このタイプのエクササイズは、蓄積されている体脂肪をカロリーとして燃やし、健康状態を総合的に向上させることができます。

細胞レベルでも特別な適応として、ミトコンドリアのサイズの増加があげられます。ミトコンドリアは、筋肉細胞の“パワーハウス”です。カロリーが減らされたり、人がエクササイズをして脂肪が分解されたりすると、蓄積されている体脂肪からの脂肪酸がその“パワーハウス”でエネルギーとして燃やされます。有酸素運動は、パワーハウスのサイズを増すので、脂肪がよりすばやく、効率的に燃やされるようになるのです。

ミトコンドリアは、脂肪燃焼プロセスの最終地と考えてもよいでしょう。あなたの“パワーハウス”を大きくすることは、脂肪の減量を容易にすることなのです。
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多くの人が、そんなタイプの有酸素運動がよいかと私に尋ねます。ハイインテンシティーな(強度の高い)ものか、ローワーインテンシティーな(強度の低め)ものか、どちらがいいのでしょう?

答えは、ハイインテンシティーです。有酸素運動の強度は、心拍数で測ります。エクササイズがハードであるほど、心臓の動きが高まり、心臓が動けばそれだけ燃やされるカロリーも多いのです。

一般的に有酸素運動を最大心拍数の60%くらいの低い負荷で行った時が、最も体脂肪の使われる割合が大きいという意見があります。確かに、有酸素運動を最大心拍数の80%で行う場合よりも、体脂肪の使われる割合は多くなります。しかし、トータルの消費カロリーとエネルギーとして使われた脂肪の量を比べると、あながち低負荷で有酸素運動を行う方が体脂肪を燃焼させる上で有利とは言えません。
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例えば、

A)最大心拍数の60%の強度で有酸素運動を行った場合、30分間で約210キロカロリー燃焼し、そのうちの90%が体脂肪から使われました(10%は糖分)。
210キロカロリーの90%=189キロカロリー分の体脂肪が燃焼できたことになります。

B)最大心拍数の80%の強度で有酸素運動を行った場合、30分間で約330キロカロリー燃焼し、そのうちの80%が体脂肪からのカロリーでした(20%は糖分)。
330キロカロリーの80%=264キロカロリー分の体脂肪が燃焼できました。

この数字を見てもらえればわかるように、低負荷で行った方が体脂肪の使われる割合は多いのですが、同じ時間行った場合、強度を高めて行った方が体脂肪の使われる割合は低くても、トータルの燃焼できる脂肪の量は多くなります。ですから、必ずしも低負荷で有酸素運動を行った方が効果的とは言えないのです。強度の低い有酸素運動を長時間(1時間以上)行っている人がたくさんいることと思いますが、あまりにも低い強度で長時間行っても思った以上に体脂肪を燃焼する事はありません。

ただ、あまりにも強度が高すぎると、例えばエクササイズを5分間しか続けられなかったとしたら、心拍数も高くなりませんし、カロリー消費もわずかです。ですから、少なくとも20分は続けられる範囲での高い強度で行う必要があります。私のお勧めする有酸素運動のやり方は、最大心拍数の60~75%くらいの強度で、20~45分間行うことです。それ以上行うことは、たとえ強度が低くてもオーバーワークとなり、筋肉が消費されていくでしょう。

有酸素運動を行う場合の自分の強度を知るには、220からあなたの年齢を引き、0.60~0.75をかけるのです。私は30才なので、こうなります。

220-30=190
190×0.60=114(一分間に)
190×0.75=142(一分間に)

以下に目標心拍数の表を載せます。あなたの年齢に合った心拍数は、この通りです。

年齢60%70%75%
20120140150
25117137146
30114133142
35111130139
40108126135
45105123131
50102119128
5599116128
6096112120
6593109116
7090105113

(一分間の心拍数)

先程も述べましたが、効果的に体脂肪を燃焼させたい場合、最大心拍数の60~75%くらいで有酸素運動を行うべきですが、もしあなたが病み上がりで調子を整えたい場合、または15kg以上の脂肪を落とす必要がある場合は、低めの強度から始めることをお勧めします。また、まったくエクササイズに慣れていないというのであれば、そのエクササイズがあなたにとってより容易になるまでは、さらに低い強度、50%の心拍数で行ってもよいでしょう。強度を上げるのはそれからです。

有酸素運動は、減量の分野で重視されてきました。それは、確かにカロリーを燃やし、ミトコンドリアのサイズを増すことによって脂肪の燃焼効率を高め、そしてこれが最も重要なことですが、エクササイズのエネルギー源が脂肪であるからです。こういう訳で有酸素運動は、ダイエットをしている人に好まれるエクササイズの形態だったのです。
これらの利点を役立てるには、一週間に3回は行うべきです。しかし、多ければ多いほどいいというものではありません。エクササイズに関しては、まずウェイトトレーニングを行って代謝の向上に専念し、それからさらにカロリーを燃やし、体の脂肪燃焼能力を高める(ミトコンドリアのサイズを増やすことにより)ための方法として有酸素運動を行うことをお勧めします。

しかし、もし有酸素運動を行うことで疲労が溜まりやすく息切れをしてしまうようであれば、正しいダイエットを並行して行うことをお勧めします。少しのカロリー不足となるような食事を取りながら、有酸素運動で徐々に体を強くしていきます。体重が減り始めたら、あなたは一日中エネルギーに満ちた状態でいられることでしょう。そうすれば、ウェイトトレーニングプログラムが始められます。
  • 理論と実践で100%成功するダイエット ダイエットは科学だ!
    2008年10月10日第2刷発行
    著者:クリス・アセー卜
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社