フィジーク・オンライン

FISH OIL
オメガ3 脂肪酸と抗炎症効果

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 2013年8月号 ]
掲載日:2017.08.09
「炎症」に悩まされない人などいるでしょうか? 私たちにとって、「炎症」は他人事ではありません。「炎症」とは単純に言うと、赤くなる、痛む、熱くなる、腫れるといった身体の異変のことです。炎症は皮膚の表面だけでなく、身体中の目に見えないところで起こります。

【炎症とは】

 「~炎」と呼ばれる炎症性疾患は誰もが悩まされるものです。例えば、関節炎、気管支炎(喘息)、大腸炎(炎症性腸疾患)、皮膚炎(湿疹)などがあり、これらはよく知られていることでしょう。炎症性疾患には、かゆい、痛い、こわばる、腫れるといった厄介な症状があるため、多くの人がこれらの症状を抑えるために抗炎症薬を服用します。しかし、オメガ3脂肪酸を摂取した方が化学的に作られた薬を服用するより安全だと考えられます。オメガ3脂肪酸は生化学的に抗炎症作用を持ち、まさしく自然な物質で、有害な副作用を持たず、処方箋もいらず、比較的安いといえます。ですから、実際にアメリカの医師の中には薬を処方する代わりにオメガ3脂肪酸を摂取することを薦める人もいます。

 多くの人々は十分なオメガ3脂肪酸を摂取していません。これは人々が炎症性疾患に悩まされる理由の一つでもあります。炎症をコントロールするということは、どの年齢においても健康を維持する上で中心的な課題となります。近年の研究からメタボリックシンドローム、生活習慣病さらには老化の原因として、慢性的な炎症が関わっていることが分かっています。慢性炎症は徐々に身体をむしばみ、疾病の発症、重症化に関わるため、炎症を早く収束させることは重要だといえます。

【薬よりオメガ3脂肪酸】

 慢性的な炎症の原因は多くて複雑ですが、オメガ3脂肪酸はその原因に対処してくれるでしょう。オメガ3脂肪酸は身体の全ての細胞に泳いでいき、炎症を減少させるのを助ける免疫システムを準備させるために、EPAやDHAを注入します。

 オメガ3脂肪酸であるEPAやDHAは「炎症を起こさせる有害な物質(炎症性エイコサノイド)を過剰に生産することを防ぐこと」または「レゾルビンやプロテクチンといった炎症を治癒する生化学物質を放出すること」によって過度な炎症を防いでいます。このような作用があるため、オメガ3脂肪酸は抗炎症〝薬〟として非常に期待されています。

 一方、同じく抗炎症薬として使用されてきたNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)は胃潰瘍、胃出血などの副作用があり、使用者の約半分は消化不良を体験するといわれています。

 アメリカのピッツバーグで行われた研究によると、オメガ3脂肪酸はNSAIDsのより安全な代替薬となりうることが示唆されています。その研究では医師により、首や背中の痛みに苦しむ患者250人に1200〜2400mg/日のフィッシュオイル・サプリメントが与えられました。もちろん、フィッシュオイルにはオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)が含まれています。結果、平均75日間にわたってフィッシュオイルを摂取した125人のうち、60%が全体的な痛みや関節痛が改善したと述べ、59%がNSAIDsの使用を止めることができたと述べています。そして、有意な副作用は報告されていません。

【運動でも炎症は起こる】

 運動後の筋肉痛。これは筋が炎症を起こした結果だと捉えることができます。筋は引き伸ばされることで容易に損傷して、炎症を起こし回復しようとします。トレーニングしていない人における伸張性運動(本人は筋を収縮しようとするが、筋自体は引き伸ばされる)は筋の損傷と急な炎症反応と関係しています。トレーニングしていない人は弱い負荷でも筋肉痛が起こりやすい、ということは経験的にも分かるでしょう。筋肉痛はできるなら抑えたいと思う人は多いはずです。

 そこで、オメガ3脂肪酸を摂取して、この炎症を早く収束させようとする実験がいくつか行われています。ある研究では、3000㎎/日のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取(7日間)が高強度の伸長性運動後の筋肉痛を減少させたことを示唆しています。この効果はDOMS(遅発性筋肉痛)を生み出す高強度の筋力トレーニングを行うアスリートにとって、利益があるかもしれません。

 さらに、オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取はマラソンのような運動の後に起こる筋肉痛を和らげるかもしれません。また、アスリートだけでなく、物理療法や心臓のリハビリのような治療を受ける患者においても、オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取が運動後の痛みを最小にするのに役立つことが示唆されています。そして、運動後における炎症と筋損傷の指標を調べた研究では、1800㎎/日のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取(30日間)が抗炎症性を持ち、運動によって起こる筋損傷を減少させる可能性を示唆しています。
ボディビルダーのほとんどが経験する関節炎。その関節炎の症状をフィッシュオイルはやわらげてくれます

ボディビルダーのほとんどが経験する関節炎。その関節炎の症状をフィッシュオイルはやわらげてくれます

記事画像2

【結論】

 オメガ3脂肪酸は魚、特に青魚に多く含まれていますが、多くの人はそれらをほとんど食べなくなってきています。逆にファストフードをよく食べるようになり、良くない脂肪を身体に貯めるようになりました。これが内臓脂肪となり、炎症の嵐を起こすメタボリックシンドロームとなるのです。オメガ3脂肪酸は炎症を抑えるだけでなく、体脂肪を減らす作用があることも報告されており、摂取することで多くの利益を得ることができます。魚を摂取する機会があまりないのであれば、サプリメント摂取が薦められます。『バルクスポーツ バイオメガ3』なら、1食あたり3000mgの高品質フィッシュオイルを摂取できます。『バイオメガ3』は飲みやすいカプセルなので、手軽にオメガ3脂肪酸を摂取することができます。様々な炎症で悩んでいる方、運動後の筋肉痛を和らげたい方に限らず、毎日の健康維持の習慣として摂取するとよいでしょう。
【参考文献】
・J o s e p h C h a r l e s M a r o o n , e t a l .Omega- 3 fatty acids (fish oil) as ananti-inflammatory: an alternative tononsteroidal anti-infl ammatory drugs fordiscogenic pain. (2006)
・Paul C. Norris, et al. Omega- 3 fattyacids cause dramatic changes in TLR4and purinergic eicosanoid signaling.(2012)
・Kelly B. Jouris, et al. The effect ofomega- 3 fatty acid supplementation onthe inflammatory response to eccentricstrength exercise. (2011)
・Bakhtyar Tartibian, et al. Omega- 3fatty acids supplementation attenuatesinflammatory markers after eccentricexercise in untrained men. (2011)

text by Yuko Sakuyama
記事提供= BODY PLUS INTERNATIONAL
著者◎作山 悠子(さくやま・ゆうこ)
現・東北大学大学院医学系研究科 運動学分野 修士2年順天堂大学スポーツ健康科学部(2012 年度 卒業)主な研究テーマは" 高強度インターバルトレーニング"所有資格:NSCA C.S.C.S
[ 月刊ボディビルディング 2013年8月号 ]

Recommend