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私の食事1週間 <食事診断>

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[ 月刊ボディビルディング 1973年1月号 ]
掲載日:2017.10.03
野沢 秀男

'72ミスター大阪1位 中原義光

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<中原選手の食事診断>
総合点 83点
 ムダのないきれいな筋肉で有名な中原選手の食事ですが,総カロリー3200純タンパク質1409(体重1kg当り2.0g)はビルダーとして大いに心配のある数字で,これ以下に減らすことは避けたほうがいいでしょう。とくに,23才という若さがあり,これから体が完成されてくるのですから「しっかり食べて,トレーニングにもいっそう力を入れる」という方針のほうがよいと思います。
 具体的には,毎日もう1品ずつタンパク質系統の食品を加えることで解決されます。卵が見当りませんが,毎日2個ずつ加えてもだいじょうぶです。火曜日の朝食,水曜日の朝食・昼食,木曜日〜土曜日の朝食のような,あっさりした内容では失格です。
 よい点は,ごはんを欠かさずにとっており,これが運動のエネルギーになっていることです。ごはんを抜いたらとうていトレーニングできなくなり,これからの長い人生を戦いぬくことができなくなるでしょう。ごはんを省くことはツユほども考えないように。
 野菜や果物も適度ですが,これ以下に落さないようにご注意ください。含まれているビタミンやミネラルのおかげで,バテることがなく順調に筋肉が発達していくのですから……。
 とくにモヤシはOKです。軽く湯に通して,酢かレモンをかけて食べるのもおいしいものです。
 間食もよく考えてあります。プロティンの使用は,中原選手のこのメニューでみるかぎり役に立っています。もしプロティンがなければタンパク質が不足するからです。
 胃が小さくて,どう工夫しても普通の食事では間に合わない人には,このようなタンパク質の栄養食品がいいでしょう。これに頼りすぎて,食事のほうを粗末にしてはなりませんが……。

'70ミスター北陸1位 四十田善一

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<四十田選手の食事診断>
総合点 95点
 総カロリー3700,純タンパク質160g(体重1kg当り2.1g),炭水化物58%という数字は,ビルダーらしい工夫がよくされていることを示します。
 四十田選手は36才という高年齢で,普通ならばそろそろ体がくたびれてきて何をするにもおっくうになりがちですが,こうして週に6日間もトレーニングされていることに敬服します。 さて,メニューの内容ですが,中原選手に比べてよくわかるように,朝食・昼食・夕食どれをとっても充実しています。とくに,夕食の皿数の多いことから四十田夫人の並々ならぬ苦労と愛情をくみとることができます。やはり独身者のメニューと奥さんのあるビルダーのメニューとでは,かなりちがってきます。
 昼食も普通の社員にペースを合わせずに,チーズ・はちみつ・レモン・牛乳をリリーフさせている点に好感を持ちます。内容はまったく適切で,ビルダーにふさわしいといえます。昼食だけで概算900カロリー,純タンパク30gが確保されています。
 ビール・酒が間食の欄に書かれていますが,夜食に飲んでるのではないかと想像します。アルコール類を,つまみなしで食べることは肝臓に負担をかけ,早く老化する原因となります。必ずピーナッツとかポテトチップなど,ちょっとした小皿を添えてください。ビール1本と酒2合の両方をやるからには相当いける口でしょうが,アルコールは意外とカロリーが多いので(ビール大1本234カロリー,酒2合374カロリー)これだけでごはん3杯分くらいに相当します。これ以上飲むときはごはんの量をさらに減らすといいでしょう。
 日曜日の昼のラーメン1杯は物足りませんが,人間の体は微妙で気まぐれなもの。ときには食べたい気持がなくなり,軽くしたくなる場合がありますので,たまにはいいでしょう。こわいのは食事と栄養に無関心なために悪い食べ方になっている場合です。ビルダーにはほとんど見られませんが……。

'72大阪パワーリフティング ミドル・ヘビー級優勝 長野幸司

記事画像3
<長野選手の食事診断>
総合点 96点
 21才で身長176cm,体重82kgという大型ビルダーですが,デフィションの維持に気を配ったメニューです。総カロリー4000,純タンパク質200g(体重1kg当り2.4g),炭水化物66%という数字は,ビルダーの食事として最高限度にあることを示します。
 このメニューも,いくつかの点で手直しをすると,体の発達と維持にもっと効果が出てくるはずです。
(1) 朝食がフルーツ主体になっておりそれはそれで良いのですが,パンチに欠けます。下宿生活だと手間をかけられないので,エビオスのような錠剤に頼り味気なくなります。日本古来のみそ汁に卵,納豆などの方法が,それなりのおいしさと栄養について計算されたものであることを理解して,朝食にとり入れるように配慮してください。
(2) 水曜日の昼食は,弁当2人前食べるよりも,1人前プラス牛乳・チーズ・ハム・ソーセージ等のほうが効果があります。
(3) 夜食は外食だと思いますが,なるべくならフライパン1枚を用意し,部屋で簡単な炊事をできるようにすることです。外食に使う費用の1/4くらいで同じ内容のスタミナ食を食べることができます。
(4) 全体的にみてムラがかなりあります。体調と食欲に変化があることは当然なので,仕方がないのですが,それが激しすぎる場合は問題です。食事に偏食やムラがあってはトレーニングにも支障をきたしますし,思うような発達も望めません。
(5) 1日ごとをトータルすれば,炭水化物・タンパク質・カロリーなど大体バランスがとれている点,すぐれています。トレーニングの無い日が軽目になっていることも,なかなか研究されています。
(7) 日曜日の昼食にラーメンとごはんが並んでいますが,ごはんの代わりに間食でやっているように卵をつけた方がいいでしょう。
 以上のとおりですが,さらに食事に対する暖かさというようなものが加われば申しぶんありません。
[ 月刊ボディビルディング 1973年1月号 ]

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