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大豆プロテインの種類とメリット・デメリット

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掲載日:2018.11.29
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大豆プロテイン

ホエイプロテインのメリットを書き連ねてきましたが、ホエイにも弱点はあります。それは「アルギニンが少ない」こと。アミノ酸について詳しくは第六章以降に譲りますが、アルギニンは健康にとっても筋発達にとっても非常に重要なアミノ酸なのです。


アルギニンの多いプロテインが、大豆プロテイン(ソイプロテイン)です。大豆プロテインには十分なBCAAとグルタミンも含まれ、アナボリック効果としてはホエイに及ばないものの、十分な筋発達効果を示しています。

昔の日本人ボディビルダーが使用していたのは、殆どが大豆プロテインでした。それで特に問題はなかったはずですが、後述のとおり、最近は大豆に関して幾つかの問題点が指摘されています。

大豆プロテインの種類

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・SPC(SoyProteinConcentrate)
大豆プロテインの一番簡単な製造方法としては、大豆から大豆油を取り除いた「脱脂大豆」から水溶性の非タンパク部分を取り除くというものです。この方法でできた大豆プロテインをSPC(濃縮大豆プロテイン)と言います。
後述しますが、このときに水を使って抽出する方法と、アルコールを使って抽出する方法があり、イソフラボンの含有量に違いが出てきます。この方法だと大豆に含まれる炭水化物が残りやすく、100g中に含まれるタンパク質としては70g程度に留まります。

・SPI(SoyProteinIsolate)
水を使ってSPCから炭水化物をさらに取り除き、その後に沈殿させて乾燥させたものをSPI(分離大豆プロテイン)と呼びます。
このような処理によって、100g中のタンパク質は90g前後にまでなります。一般に「大豆プロテイン」として販売されているものは、このSPIが殆どです。

・大豆ペプチド(SoyPeptide)
SPIに酵素を働かせて、アミノ酸の細かい繋がりにまで分解したものが大豆ペプチドです。
すでに消化された状態となっているため、胃腸への負担は少なくなります。これは味が苦く、商品として販売されているものは糖質を添加するなどして味を調整しているため、タンパク含有率としてはSPIよりも少なくなります。また価格も高くなります。

大豆プロテインのメリット

大豆プロテインのメリットとしては、心臓血管系疾患への効果が挙げられます。食事に含まれるタンパク質をSPIに置き換えたところ、総コレステロールが減り、特に悪玉であるLDLと中性脂肪の減少が見られました。
善玉コレステロールであるHDLも顕著に増加しています。(※36)米国食品医薬品庁(FDA)では、大豆タンパクが冠状動脈疾患のリスクを減らすということで、1999年に健康強調表示(HealthClaim)を認めています。

また肥満マウスを対象に大豆タンパクあるいはカゼインを与えたところ、大豆タンパク群のほうが体脂肪の減少が大きくなっています。(※37)
さらに大豆タンパクを与えたマウスはカゼイン群に比べて血中アディポネクチンが増加していました。(※38)アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される生理活性物質の一つで、AMPKを活性化して体脂肪を燃焼させたり、傷ついた血管壁を修復して動脈硬化を予防したり、インスリン抵抗性を改善して糖尿病を予防したりなどの善玉作用を発揮してくれる物質です。

また9週間に渡ってホエイプロテインバーと大豆プロテインバーを比較したところ、ホエイのほうが少しだけ筋肥大効果は高かったものの、運動後の抗酸化ステータスは大豆プロテインのほうが高かったという報告もあります。(※39)

特に多いのが大豆プロテインによって骨が強くなったという報告です。女性ホルモンは骨芽細胞を刺激しますが、大豆イソフラボンにもこの作用があるようで、大豆タンパクを摂取することによって骨芽細胞が活性化されたという報告が数多くあります。(※40,※41)

大豆プロテインのデメリット

しかしデメリットもあります。プロテインスコアの項で書いた通り、大豆はメチオニンが少なく、プロテインスコアは僅かに56です。
そのため、殆どの大豆プロテインはメチオニンを添加してプロテインスコアが100になるように高めています。

また大豆プロテインに含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を持ちます。この女性化作用が問題になると考える人も少なくはありません。
そして大豆には「ゴイトロゲン」という甲状腺機能に影響を与える物質があり、甲状腺腫を誘発する可能性があるという人もいます。さらに大豆にはフィチン酸が含まれ、ミネラルの吸収を阻害するという問題もあります。では、それぞれについてみていきましょう。

続きは近日公開!

※36: Meta-analysis of the effects of soy protein containing isoflavones on the lipid profile. Am J Clin Nutr. 2005 Feb;81(2):397-408.


※37: Soy protein isolate and its hydrolysate reduce body fat of dietary obese rats and genetically obese mice (yellow KK) Nutrition. 2000 May; 16(5):349-54.

※38: Effects of soy protein diet on the expression of adipose genes and plasma adiponectin. Horm Metab Res. 2002 Nov-Dec;34(11-12):635-9.


※39: Soy versus whey protein bars: Effects on exercise training impact on lean body mass and antioxidant status Nutr J. 2004; 3: 22.

※40: Soy protein isolate inhibits high-fat diet-induced senescence pathways in osteoblasts to maintain bone acquisition in male rats. Endocrinology. 2015 Feb;156(2):475-87. doi: 10.1210/en.2014-1427. Epub 2014 Dec 9.

※41: Soy protein isolates prevent loss of bone quantity associated with obesity in rats through regulation of insulin signaling in osteoblasts. FASEB J. 2013 Sep;27(9):3514-23. doi: 10.1096/fj. 12-226464. Epub 2013 Jun 17.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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