減塩は効果的か
掲載日:2020.05.28
減塩は効果的か
では逆に減塩によって、血圧が下がる割合はどれくらいなのでしょうか。13件の論文を元にしたメタ・アナリシスによると、じつは「減塩に血圧を下げる効果なし」との結果が出ているのです。(※3)
食塩感受性のある20%に属しない限り、あまり減塩は気にしなくても良さそうです。日本人の平均的な一日の食塩摂取量は9~11gくらいです。それに対して厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、一日に男性は8.0g未満、女性は7.0g未満が目標量とされています。またWHOの推奨基準は一日5g未満です。
となると減塩に気を遣わなければいけないような気がしますが・・骨はミネラルの貯蔵庫です。そのため塩分を控えめにした食事を続けていると、骨からナトリウムを取り出そうとする働きが起こります。
しかしそのとき、同時にカルシウムやマグネシウムも骨から取り出されてしまうのです。一日に2.2gのナトリウム(塩分として約5.6g)の食事を10日間続けたところ、尿中に排出されるカルシウムとマグネシウムの量が格段に増えてしまったという報告があります。(※4)
またIOM(米国医学研究所)の発表では、「心臓に問題を抱える人が塩分摂取を減らし過ぎると、かえってリスクが高まる」とされています。(※5)
さらにCDC(アメリカ疾病管理予防センター)は「ナトリウムを一日1500~2300mg以下」にすると、かえって死亡率が高くなったというメタ・アナリシスを発表しています。(※6)
どうも塩分摂取を極端に控えるのはデメリットのほうが大きいようです。
なお塩分摂取が多いと胃がんになりやすいという疫学的な報告もありますが、まったく相関関係が認められないという報告も多く、結論は出ていないようです。
国立がん研究センターによれば、塩分の量そのものではなく、塩分濃度の高い食品(いくらや塩辛、練り海胆など)がリスクを高めているか、あるいは塩蔵加工で生成される化学物質がリスクを高めているのかもしれないとのことです。
※3:Effects of sodium restriction on blood pressure, renin, aldosterone, catecholamines, cholesterols, and triglyceride: a meta-analysis. JAMA. 1998 May 6; 279( 17): 1383-91.
※4: Negative balance of calcium and magnesium under relatively low sodium intake in humans. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2003 Jun; 49( 3): 201-9.
※5: Studies Support Population-Based Efforts to Lower Excessive Dietary Sodium Intakes,But Raise Questions About Potential Harm From Too Little Salt Intake National Academy of Sciences.
※6: Compared with usual sodium intake, low- and excessive-sodium diets are associated with increased mortality: a meta-analysis.
Am J Hypertens. 2014 Sep; 27( 9): 1129-37. doi: 10. 1093/ ajh/ hpu 028. Epub 2014 Mar 20.
食塩感受性のある20%に属しない限り、あまり減塩は気にしなくても良さそうです。日本人の平均的な一日の食塩摂取量は9~11gくらいです。それに対して厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、一日に男性は8.0g未満、女性は7.0g未満が目標量とされています。またWHOの推奨基準は一日5g未満です。
となると減塩に気を遣わなければいけないような気がしますが・・骨はミネラルの貯蔵庫です。そのため塩分を控えめにした食事を続けていると、骨からナトリウムを取り出そうとする働きが起こります。
しかしそのとき、同時にカルシウムやマグネシウムも骨から取り出されてしまうのです。一日に2.2gのナトリウム(塩分として約5.6g)の食事を10日間続けたところ、尿中に排出されるカルシウムとマグネシウムの量が格段に増えてしまったという報告があります。(※4)
またIOM(米国医学研究所)の発表では、「心臓に問題を抱える人が塩分摂取を減らし過ぎると、かえってリスクが高まる」とされています。(※5)
さらにCDC(アメリカ疾病管理予防センター)は「ナトリウムを一日1500~2300mg以下」にすると、かえって死亡率が高くなったというメタ・アナリシスを発表しています。(※6)
どうも塩分摂取を極端に控えるのはデメリットのほうが大きいようです。
なお塩分摂取が多いと胃がんになりやすいという疫学的な報告もありますが、まったく相関関係が認められないという報告も多く、結論は出ていないようです。
国立がん研究センターによれば、塩分の量そのものではなく、塩分濃度の高い食品(いくらや塩辛、練り海胆など)がリスクを高めているか、あるいは塩蔵加工で生成される化学物質がリスクを高めているのかもしれないとのことです。
※3:Effects of sodium restriction on blood pressure, renin, aldosterone, catecholamines, cholesterols, and triglyceride: a meta-analysis. JAMA. 1998 May 6; 279( 17): 1383-91.
※4: Negative balance of calcium and magnesium under relatively low sodium intake in humans. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2003 Jun; 49( 3): 201-9.
※5: Studies Support Population-Based Efforts to Lower Excessive Dietary Sodium Intakes,But Raise Questions About Potential Harm From Too Little Salt Intake National Academy of Sciences.
※6: Compared with usual sodium intake, low- and excessive-sodium diets are associated with increased mortality: a meta-analysis.
Am J Hypertens. 2014 Sep; 27( 9): 1129-37. doi: 10. 1093/ ajh/ hpu 028. Epub 2014 Mar 20.
[ アスリートのための最新栄養学(上) ]