塩分摂取のメリット
掲載日:2020.06.04
逆に塩分を摂取することによるメリットはあるのでしょうか。
体調が悪いときや疲れているときには、点滴をします。点滴の主成分はブドウ糖と生理食塩水です。生理食塩水は細胞外液の浸透圧と同じになっています。
これが「ただの水」だと、細胞内液との浸透圧のバランスが崩れ、脱水や尿毒症(有毒物質を排出できない)を引き起こしてしまいます。
つまり塩分は体内の浸透圧や水分の量を正常に保つ働きがあるのです。「自発的脱水」という言葉があります。夏場にハードな運動をすると、大量の汗をかきます。このときは当然、水分補給が必要になります。しかし「ただの水」を飲むだけではいけません。汗をかくときは、同時にナトリウムも流出しています。
汗の成分のうち、0.05~0.5%が塩分だとされています。
仮に0.5%とし、1kgの汗をかいたとしたら、5gの塩分が身体から喪われていることになります。
このとき「ただの水」を大量に飲むと、体内のナトリウム濃度が一気に低下します。これは問題ですので、逆に水の排出を増やして体液を濃くしようとする働きが起こります。この現象を「自発的脱水」と呼びます。
つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されるという悪循環に陥ってしまうのです。また体内のナトリウムの一部は重炭酸塩となり、pHを一定に保つ働きをします。トレーニングをすると乳酸やピルビン酸、脂肪酸などの「酸」がpHを下げようとしますが、ナトリウムを摂取しておいてこそ、pHは正常に保たれるのです。
さらに塩分は消化にも必要とされます。
胃酸の主成分は塩酸であり、この塩酸は食事で摂取する塩分を主な原料にしているのです。夏バテのときは大量に水を飲むため、体内のナトリウムが少なくなり、胃酸があまり作られなくなって食欲が減退します。
このようなときは味噌汁などを多めに飲んで塩分を補給するようにすると効果的です。
48名の健康な男女を対象にした研究で、マカロニソースを「低塩かつ低脂肪」、「高塩かつ低脂肪」、「低塩かつ高脂肪」、「高塩かつ高脂肪」に分けて、食事摂取量がどのように変わるかを調べました。(※7)その結果、塩が多いほど食事量も増加したのです。脂肪の量はあまり関係しませんでした。
さらに膵液や胆汁なども、非常に多くの成分が「塩」なのです。つまり食欲増進だけでなく、消化の促進作用もあるということになります。
なおハードなトレーニングやストレスに応じてコルチゾルの分泌が起こりますが、コルチゾルには水分や塩分の排出を増やす作用があります。(※8)
汗から排出されるナトリウムのことも追加して考えると、トレーニーは塩分摂取量を普通より多めに摂取しても、まったく問題はないはずです。
※7: Salt Promotes Passive Overconsumption of Dietary Fat in Humans. J Nutr. 2016 Mar 2. pii: jn 226365. [Epub ahead of print]
※8: Glucocorticoids increase salt appetite by promoting water and sodium excretion. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2007 Sep; 293( 3): R 1444-51. Epub 2007 Jun 27.
体調が悪いときや疲れているときには、点滴をします。点滴の主成分はブドウ糖と生理食塩水です。生理食塩水は細胞外液の浸透圧と同じになっています。
これが「ただの水」だと、細胞内液との浸透圧のバランスが崩れ、脱水や尿毒症(有毒物質を排出できない)を引き起こしてしまいます。
つまり塩分は体内の浸透圧や水分の量を正常に保つ働きがあるのです。「自発的脱水」という言葉があります。夏場にハードな運動をすると、大量の汗をかきます。このときは当然、水分補給が必要になります。しかし「ただの水」を飲むだけではいけません。汗をかくときは、同時にナトリウムも流出しています。
汗の成分のうち、0.05~0.5%が塩分だとされています。
仮に0.5%とし、1kgの汗をかいたとしたら、5gの塩分が身体から喪われていることになります。
このとき「ただの水」を大量に飲むと、体内のナトリウム濃度が一気に低下します。これは問題ですので、逆に水の排出を増やして体液を濃くしようとする働きが起こります。この現象を「自発的脱水」と呼びます。
つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されるという悪循環に陥ってしまうのです。また体内のナトリウムの一部は重炭酸塩となり、pHを一定に保つ働きをします。トレーニングをすると乳酸やピルビン酸、脂肪酸などの「酸」がpHを下げようとしますが、ナトリウムを摂取しておいてこそ、pHは正常に保たれるのです。
さらに塩分は消化にも必要とされます。
胃酸の主成分は塩酸であり、この塩酸は食事で摂取する塩分を主な原料にしているのです。夏バテのときは大量に水を飲むため、体内のナトリウムが少なくなり、胃酸があまり作られなくなって食欲が減退します。
このようなときは味噌汁などを多めに飲んで塩分を補給するようにすると効果的です。
48名の健康な男女を対象にした研究で、マカロニソースを「低塩かつ低脂肪」、「高塩かつ低脂肪」、「低塩かつ高脂肪」、「高塩かつ高脂肪」に分けて、食事摂取量がどのように変わるかを調べました。(※7)その結果、塩が多いほど食事量も増加したのです。脂肪の量はあまり関係しませんでした。
さらに膵液や胆汁なども、非常に多くの成分が「塩」なのです。つまり食欲増進だけでなく、消化の促進作用もあるということになります。
なおハードなトレーニングやストレスに応じてコルチゾルの分泌が起こりますが、コルチゾルには水分や塩分の排出を増やす作用があります。(※8)
汗から排出されるナトリウムのことも追加して考えると、トレーニーは塩分摂取量を普通より多めに摂取しても、まったく問題はないはずです。
※7: Salt Promotes Passive Overconsumption of Dietary Fat in Humans. J Nutr. 2016 Mar 2. pii: jn 226365. [Epub ahead of print]
※8: Glucocorticoids increase salt appetite by promoting water and sodium excretion. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2007 Sep; 293( 3): R 1444-51. Epub 2007 Jun 27.
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