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侍松永智之のフィジコン挑戦記第3戦〜NPC Titans Grand Prix 〜

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[ 月刊ボディビルディング 2013年2月号 ]
掲載日:2017.07.26
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「プロフィール」
松永智之(まつながともゆき)
生年月日:1980 年7 月3 日生まれ
血液型:A 型
身長:182cm
体重:80kg-85kg
Facebook:Tomoyuki Matsunaga
Email:tomoyuki-ma@hotmail.com

イベント盛りだくさんの調整期間

前回の私のフィジークコンテストに関しては、既に本誌を通じてご紹介いただいたとおり、8月18日に南カリフォルニアのサンディエゴで開催されたNPCパシフィックUSA ⅩⅧであり、今回の大会までの調整期間としては、ちょうど2ヶ月ということになりました。
ただ、9月下旬のミスター・オリンピアが開催された際には、ラスベガスにて本誌のBen 編集長、およびフリーランスライターである山口さんとの写真撮影を行わせてもらいました。その撮影に加え、たった2ヶ月の調整期間内に、別件での撮影を含む、計2件の写真撮影を行わせてもらいましたので、あっという間に大会の日を迎えることになりました。
本誌の写真撮影では、さすがラスベガスと言わんばかりの40度近い炎天下の中での撮影ではありましたが、ラスベガス在住の山口さんのお勧めのスポットで、絶景をバックに撮影いただきましたので、モデル側としても、とても心地よい時間を過ごさせていただきました。
フィットネスモデルとなると、ボディビルダーの一般的な撮影のように、水着を着用し、筋肉に力を込めた写真を撮影する場合もありますが、今回はジーンズにTシャツや襟付きのシャツをサラッと添え、その服の合間から、体のラインをアピールするといった、いわば自然体の中から美しさを見出すことにポイントを置きました。そのような場合、モデルとして、背景の景色などと、いかに調和できるかという点も、とても重要になってくると言えます。どうぞ、ご覧ください。
また、ミスター・オリンピアでは、世界中からの多くのトップアスリートやトップモデルと話をしたり、意見交換をしたりという機会を持つことができ、毎回のことながら、大変、ためになるイベントであるように感じさせられました。このイベントを通じて、日常、サンフランシスコ近辺で生活しているだけでは、まず、味わうことない感動や、多くのモチベーションを与えてもらえたことに感謝しています。いわば、この地で充電させてもらった一年分のモチベーションを糧に、次のオリンピアまでの一年間を戦い抜いているくらい、元気づけられているようにも思えます。ミスター・オリンピアへ行かれたことがない方は、是非とも、一度は、足を運ばれると良いと思います。日本人は、それほど多くはありませんので、もしかすると、現地でお会いできるかもしれませんね。
今年のオリンピアエキスポにて。グレッグ・プリッ ト(右)と山岸選手

今年のオリンピアエキスポにて。グレッグ・プリッ ト(右)と山岸選手

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今回のテーマ

今回の大会を迎えるにあたり、前回の大会の際、ヘッド・ジャッジより、アドバイスをいただいた2つのポイントを重点的に取り組んでいきました。
まず、一点目は、胸の上部を鍛えることです。これは私だけではなく、多くの方が苦労して取り組まれていることだと思います。もちろん、期間としても十分ではないので、簡単にサイズをアップを図ることは難しいことは理解していますが、可能な限り取り組んでいきました。
もう一点は、ウェスト周りをもう少し絞るという点です。前回の参戦記でも述べましたが、元々、ウェストの締まりをひとつの売りとしてきたにもかかわらず、今の流行であると考えた丸みを帯びた体を求めるために、本来の自身の強みを失った部分を指摘されたことを、大変反省しました。確かにフィジークコンテスト自体、新しいカテゴリーであるため、審査員の求める理想像、いわば流行を掴むことは容易ではありませんが、流行を追い求めるが反面、それに振り回され、自分の長所を失ってしまうのでは、本末転倒であると言えます。
タイタングランプリの大会フライヤー

タイタングランプリの大会フライヤー

調整期間の食事とトレーニング

既述のとおり、今回の調整期間は2ヶ月しかなく、また、その期間に2度の写真撮影を行うスケジュールであったため、食事にしても、トレーニングにしても、大きな変化を与えることは、なるべく避けるように心がけました。その代わりに、体の変化を慎重にモニターしつつ、微調整を繰り返しながら、まるで彫刻家がひとつの作品を丹念に仕上げるように、努めていきました。
食事は、炭水化物の摂取量をローカーボのまま継続し、摂取のタイミングもこれまでどおり、朝食とトレーニングの前後に集中してオートミールや玄米や芋類を中心に摂取しました。残りの食事では、アスパラガスやブロッコリーなどを中心とした野菜を食べていきました。たんぱく質は、鳥の胸肉、七面鳥の胸肉、タラ、卵に絞り、それらを一日あたり7回から8回の食事に分け、摂取しました。そして、脂質もこれまでと変わりなく、未加工の無塩アーモンド、くるみ、無塩アーモンドバター、無塩ピーナッツバター、フラックスシード、フィッシュオイルに絞り、摂取していきました。
トレーニングのスケジュールに関しては、これまでどおり常に体と対話しつつ、トレーニングができる状態であれば、週6日続けてでもジムへ足を運び、休養が必要な状態であると判断すれば、2日や3日おきに休養を入れる場合もありました。トレーニングの時間帯としては、毎回1時間以内のプログラムに集中して取り組みました。トレーニングは、基本的にひとりで行っており、また、2ヶ月の間に写真撮影2回に加え、大会出場という強行スケジュールの中、絶対に怪我をすることができない状況下であるため、無理して高重量の重さを扱うのではなく、フォームをしっかり意識し、一回一回の筋肉の伸縮を絶対に無駄にすることがないように心がけることで、最大限の負荷をかけることに力を注いでいきました。
カーディオは、毎朝(週7日)、起床後に空腹のまま、BCAAとL - カルニチンを摂取して、インクラインのトレッドミルでの45分程度のウォーキングを取り組んでいきました。ちなみに、腹筋のトレーニングは一日おきに、朝のカーディオの後に、取り組むようにしています。
右から二人目が松永選手。向かって左隣が1位、その左が2位の選手

右から二人目が松永選手。向かって左隣が1位、その左が2位の選手

戦に備えて…

今回も、大会の前日に、サンフランシスコからロサンゼルスまでの600㎞弱の道のりをドライブして、会場付近のホテルへ到着しました。ホテル到着後は、まず明日に備え、ホテルの部屋でプロ・タン商品を使用し、全身の色塗りの作業を行いました。ステージカラーになるまで、日焼けサロンでとことん焼き上げる方も多いですが、個人的には、せっかく健康的な食生活を続け、かつ究極の美しさを追求し続けているにもかかわらず、過剰な日焼けをすることで、後々、皮膚が激しいダメージを受けるようでは、本末転倒ではないかなという考えを持っていますので、日焼けサロンの利用は、極力回数を少なくするようにしています。ましてや、今のご時世であれば、モデルとして究めていくために、肌の手入れとは、体づくりの一環であると考えるべきだと思っていますので。

いざ出陣…

大会の日の朝を迎えました。いつもなら、大会の日の早朝は、気分転換にホテルの周りを軽く散歩しながら、電話で日本にいる両親へ出陣の報告をするのですが、当日は、珍しく小雨がぱらついていたため、ホテルでおとなしくしていました。サンフランシスコでも、ロサンゼルスでも、1年を通じて5月から9月くらいまでは、全くといっていいほど、雨が降ることはありませんので、この霧雨は、今シーズンも終盤に近づいてきたことを知らせてくれる雨でもあったように思えます。よって、この大会で良い成績を収めて今シーズンを終えたいという気持ちが、なおさら高まってきたように感じました。
会場に入り、選手ミーティングが始まると、今回も、ボディビルダー数の激減に驚かされました。ロサンゼルスの大会にもかかわらず、ミーティングの際、席を占めている選手の大半が、フィジーク選手により埋め尽くされているのが現状です。
ミーティングを終え、あとはステージにあがる時を待つだけでしたが、実はそのとき、かなりの頭痛に見舞われており、水分調整に狂いがあったことを思い知らされました。これまでの大会より、水抜きのタイミングを早めたことにひとつの原因があると思われますが、実際に頭痛だけではなく、全体的に水を抜き過ぎ、筋肉の張り自体を失っていたことも今回の大きな調整ミスのひとつでありました。
ただ、持てる力の全てを振り絞り、ステージで自分らしさを最大限にアピールしました。そして、選手全員がステージへ上がり、ヘッド・ジャッジによるコールの緊張の瞬間です。やりました! ファーストコールのトップ3に呼ばれました!
最終的には、自己最高でもある3位を収め、今シーズンを終えることができました。大会後には、前回同様、直々にヘッド・ジャッジより、アドバイスをいただけました。「前回より、確実に成長している。これからも胸の上部に力を入れてトレーニングすること。トップの二人とは、すごく僅差だったので、是非ともがんばってほしい」との嬉しいお言葉もいただきました。
全米屈指の激戦区であるカリフォルニア、それもロサンゼルスで3位を収めるとができ、素直に嬉しい気持ちでいっぱいでした。ただそれと同時に、それ以上の悔しさも込み上げてきたことも事実です。しかし、この悔しさを糧に、来年は必ず、ひと回りもふた回りも大きく成長し、ステージへ戻ってきたいと強く思います。

最後に

今回もアメリカ国内外問わず、多くの方々より、Email やFacebook を通じて、たくさんの激励のメッセージをいただき、心が折れそうなときも助けられ、感謝の気持ちでいっぱいです。それと同時に、自分は本当に幸せ者だなとつくづく感じさせられました。本当にありがとうございました。
みなさんのご期待には、まだまだこたえ切れていない面も多々ありますが、これからも不屈の精神で、いちフィットネスモデルとしても、いちアスリートとしても、日々精進してまいりますので、今後とも変わらぬ、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
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[ 月刊ボディビルディング 2013年2月号 ]

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