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2012年ミス健康美21総合優勝
高栄佐規子

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[ 月刊ボディビルディング 2013年7月号 ]
掲載日:2017.08.05
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 昨年はミス健康美21オーバーオール優勝おめでとうございました。正直、優勝は考えておられましたか?
高栄:正直言うと、全く考えていなかったです。出場自体、ギリギリまで迷っていて、自分が健康美のコンテストに相応しいのかどうかもわかりませんでした。

 そういう状況での優勝だったんですね。特にフリーポーズでのパフォーマンスが印象的でしたが、振り付けなどは誰かに教えてもらったのでしょうか?
高栄:自分ですべて考えました。

 ということは、ダンスなどの経験があったのでしょうか?
高栄:子供の頃に、クラシックバレエと新体操を少しやっていて、そういった経験が生かせたのかもしれません。

 コンテストの出場経験などを教えていただけますか?
高栄:2012年の関西ボディフィットネスとジャパンオープン選手権、そして優勝したミス健康美21です。それ以前にJPCの大会にも出場経験がありまして、2009年、10年に出場し、どちらの大会も準優勝でした。

 どういった経緯でJPCのコンテストからJBBFのコンテストに活躍の場を移したのでしょうか?
高栄:私が通うようになったジャングルジムがJBBFの加盟ジムで、そこでいろいろなお話しを聞いたりしていたら、JBBFでも自分自身を試していきたいと思ったからです。
 
 JBBFの大会へ出場されて、緊張などはありませんでしたか?
高栄:緊張すると思っていたのですが、ステージに出た瞬間、ジムのみんなの応援の声が聞こえて一瞬で楽しくなりました。

 応援の声はちゃんと聞こえるものなんですか?
高栄:きっと、全部聞こえていましたよ。

 関西ボディフィットネスの大会で、他の選手がパンプアップをしている中、一人美顔ローラーでお顔を整えていたと噂で聞きましたが、それは本当ですか?
高栄: 噂になっているんですね!? 本当です(笑)。実はパンプアップというものを知らなくて、本番直前まで運動するなんて、みんな本当にトレーニングが好きなんだなって思いながら見ていたんですよ。私は本番前ぐらいはトレーニングしなくてもいいかなって思って見ていたんです(笑)。

 今はパンプアップが必要かどうかわかっていますよね?
高栄:それは、わかりました(笑)。今は大丈夫です。

 昨年は全国大会優勝という成績をおさめられましたが、今後の競技での目標はありますか?
高栄:JPCのときは芸名で出場していたのですが(浅丘珊子という名前で活動中)、今回初めてJBBFに登録して、自分自身の名前で舞台に立つことを始めたので、浅丘珊子としてではなく高栄佐規子として、新たな気持ちで何処まで行けるのかというのも楽しみで、わくわくしながらしっかり進んで行きたいです。

 高栄選手は、アウトラインが素晴らしいと評価を受けていますが、何か意識してトレーニングなどをしているのでしょうか?
高栄:自分の理想とする身体をイメージしながらトレーニングしています。

 もし良かったら、高栄選手の理想の身体はどういったものか教えていただけませんか?
高栄:それは、子供の頃から大好きだった、バービー人形です。

 バービー人形なんですか? だけど筋肉がついたらバービー人形から体型が離れていくんじゃないですか?
高栄:私もはじめはそう思っていたんです。だけど毎年筋量を増やしていって思ったのが、ショルダーやトップの筋量が増えれば増えるほど、ウエストのくびれが強調されるようになったんです。それとね、バービー人形って意外に胸板が厚いんですよ(笑)。

 じゃあ、バービー人形は理想のフィットネス選手体型ですか?
高栄:私にはそう見えます。

 トレーニングの頻度などを教えていただけますか?
高栄:実は、仕事の関係で、期間によってはなかなかトレーニング時間をつくる事ができないんです。そんな時には週に1回だったり10日に1回の頻度になって、1回で全身のトレーニングを行ないます。だけど時間がとれるときは週に3回、身体を3つのパートに分けてトレーニングします。よく周りの人からどれぐらいトレーニングしてるの?って聞かれるんですが、わたしが今やっているトレーニング(ヘビーデューティトレーニング)は短時間で効果的に集中してできるので、そのメリットを生かして、少ない頻度、短い時間でトレーニングしています。

 本当に短い時間で効率良くトレーニングされているんですね。
高栄:そうですね、ジムでのトレーニングとしてはそうです。それ以外にも実は自分なりに意識している事があって、仕事の移動中なんかでもバッグを持つときは、左右バランス良く持ったり、人がいない場所ではバッグでサイドレイズをしたり、電車に乗る時なんかでも、コアに力を入れて密かに吊革を引っ張ったりとかしています。

 そういったお話を聞いていますと、高栄選手のお仕事なんかにもライフスタイルが通ずるものがあるのかなと思うんですが。
高栄:かなりの部分でつながっていますね、競技を実際やってみると仕事も、生活も、競技もつながっている部分が本当に多いんだなって思います。

 高栄選手は、ステージでのウォーキングや立ち居振舞も素晴らしいですよね。そういったものもお仕事などで培われたものなのでしょうか?
高栄:ありがとうございます。自分を客観的に見られないので自分では全然そんな風に思わないのですが、ただ、仕事の時も大会の時もわたしが意識しているのは、見ている人たちに何かを伝えたいというのが一番なんです。今回のフリーポーズでは、私の大切な人が遠くに行ってしまい、その切なさを表現したストーリーにしました。

 短い時間に、ストーリーが込められた本当に素敵なステージでしたね。
高栄:見ている人たちが何かを感じてくれたら本当に嬉しいです。
JBBFデビュー戦となる昨年のオール関西ボディ フィットネス選手権。164㎝超級で3位に入る(右端)

JBBFデビュー戦となる昨年のオール関西ボディ フィットネス選手権。164㎝超級で3位に入る(右端)

仕事の関係でなかなか定期的にトレーニングを行えないというが、ヘビーデューティを駆使して効率的に鍛えている。

仕事の関係でなかなか定期的にトレーニングを行えないというが、ヘビーデューティを駆使して効率的に鍛えている。

衣装提供= LA BODY

仕事の関係で外食が多い

 話題は変りますが、食事や美容についてもお聞きしたいのですが、普段から気を使われている事はありますか?
高栄:いろいろあるのですが、まず仕事の関係で外食が多いんです。できるだけ身体に良いものを選択できるお店を選ぶようにしています。野菜やお肉、炭水化物のバランスにも気をつけています。

 栄養については、ご自身で勉強されているんですか?
高栄:漢方からきている栄養学であったり、マクロビオティックだったり、いろいろな食の方法を自分なりに理解し納得して自分で良いと思う部分を取り入れています。ジムに管理栄養士さんが居るので、その方法があっているのかどうか先生に教えてもらうこともあります。

 美容についてはどうでしょうか?
高栄:競技をする前からモデルをしているのですが、モデルの友達とかは、単品ダイエットっていうのをする人が多いんですよね。私も何十種類も試したんですよ。
例えば一ヶ月バナナだけとか、豆腐だけとか、一週間断食した事もあります。
そんなダイエットをしていると、入院してしまう人も周りにいたり、わたしも痩せたんですけど、メリハリのある身体にはならなくて、ただラインは変らずに一回り小さくなったりしただけで、そしてまた食事を元に戻すとすぐにリバウンドで体重が戻ったりしました。
体型より、体重ばかり意識がいっていましたね。だけど、この競技を始めて、いろいろなフィットネスの雑誌などを読むようになって、正しい身体作りが大事なんだということを凄く感じました。
ちゃんとした食事を摂ることによって確実に身体に現れるということも体験しました。
今考えると、体づくりを知らなかった頃のダイエットは、なんて恐ろしい事をしていたんだろうって恐くなるぐらいです。
正しい食生活をすることで、私生活だったり、気持ちだったりが変化していき、それによって美しさにつながるんだと思っています。
それから、これは食べると綺麗になる食材って思いながら口に運んだり、野菜を食べる時には、この野菜はどんな人が作ったんだろうとか思いながら食べたりしますね。食べるだけでもいろいろ考えています。

 サプリメントやファーストフードなど、短い時間で栄養やカロリーをたくさん摂ることができますが、高栄選手の食事はその真逆のようですが。
高栄:でも、場合によってはサプリメントは摂ったりもします。基本は大地の恵みをいただくということです。
昨年の健康美ではすばらしいフリーポーズを披露して優勝を飾った

昨年の健康美ではすばらしいフリーポーズを披露して優勝を飾った

多種多彩な職業

 お仕事についてお聞きしてもいいですか?
高栄:以前からモデルやタレントとして活動していましたが、その活動をしながらマジックをやっていました。去年、そのマジックで独立をしまして、今は本業はマジシャンということになります。アメイジングキャッツという女性二人のユニットで活動し、私自身もマネジメントも行なっています。

 競技と仕事の両立は難しくはありませんか?
高栄:一番は、時間が無くてトレーニングできないという問題ですが、なんとか忙しい時でも時間をつくりながらやっていけるんだなと今は思っています。

 逆に競技をすることで、お仕事でプラスになることはありますか?
高栄:スプーンを曲げるマジックなんかで、それは力で曲げてるんじゃないのって疑われますね(笑)。

 それはプラスじゃなくてマイナスじゃないですか?(笑)
高栄:ほんとうだ(笑)。仕事の現場でロケ弁なんかが出るんですが、わたしは自分でお弁当を持っていったりするので、周りの人からプロに徹していると言われたり、わたしがハードにトレーニングをしていても、テレビやその他の現場の女の子たちも、筋肉質にはなりたくないっていう声が多い割には、わたしの身体にすごく憧れていますっていう女の子も増えていて、「珊子ちゃんに憧れてジムに通いだした」っていう話も何人にも聞いています。
仕事の面でプラスというお話からは少しずれているかもしれませんが、私が正しいボディメイクをしていることによって、周りの人も元気で楽しいライフスタイルが送れてるんじゃないかと思うと凄く嬉しいです。

 身体の部分だけじゃなくて食事であったり、心の部分もトータルで健康というものを考えてらっしゃるんだなと思いながら話を聞いていました。
高栄:ありがとうございます。あともう一つ、ステージでの立ち居振舞のことでおっしゃっていただいたんですが、仕事でも、身体でも、大会の表現でも、嘘は絶対に何処かに現われると思っているので、毎日楽しい日々が送れるようにと自分自身思っています。

 深いですね、ご自身の生活や全てのものが、自分自身の姿やパフォーマンスに投影されて、そういったものはいくら外見を取り繕ってもごまかしがきかない。
高栄:そのとおりです。

 自分の内面から出てくる、本当の美しさを目指しているんですね。
高栄:はい、そうなんです。
現在はマジシャンとしても活躍している

現在はマジシャンとしても活躍している

 そんな高栄選手の今後の人生の目標などはありますか?
高栄:さっきも言いましたが、楽しく笑顔がいっぱいになるような生活を送っていきたいです。

 笑顔は伝染するって言いますから、高栄選手が中心になって笑顔がどんどん広がっていけば良いですね。
高栄:数年前には、まさか私がJBBFの大会に出るとは思っていなかったですし、まさか日本チャンピオンになるとも思ってなくて、人生って本当に何が起きるかわからないし、目標を立てていても大きくそれる事や、目標よりもかなり大きな出来事が起こる事も何度も今までにあったので、どんなことがあっても対応できるように、常に自分のベストで毎日を過ごしていきたいです。

 いつも忙しくされているようですが、休養はちゃんととれていますか?
高栄:休むのも大好きです。お風呂がすごく好きで、お風呂に入っている時に身体がリラックスできますし、睡眠もできるだけとるようにしています。さっきもお話ししましたが、偽りは出てくると思うので、お仕事もトレーニングも楽しくしていきたいと思っています。ですから、気持ちの面では普段からリラックスできています。

 みんなを楽しませる人生であり、なにより自分自身が楽しめる人生でありたいということですね。高栄選手は過去にボランティア活動をされていたとお聞きしましたが、どのような活動をされていたのですか?
高栄:中学校三年生から高校二年生の三年間、世界最貧国と言われているバングラデシュの子供たちに無料で医療サービスが受けられる病院を建てるという活動を、大人の中に一人入ってしていました。
当時、学校の行事か、有志が参加するイベントかは忘れたのですが、そこに名古屋の大学院に博士号をとりにきているバングラデシュの留学生とお話しする機会がありまして、人口は日本と同じなのに病院が7つしかないという話を聞きました。
彼は医者になって病院に勤めたいが、バングラデシュでは給料がもらえなくて、有能な人材はサウジアラビアや近隣のお金のある国へ引き抜かれていくんだというお話を聞かせてもらったんです。その時に一緒に話を聞いていた社会人の人たちと一緒になって、その活動がはじまりました。
活動2 年半ぐらいで病院を建設する資金が集まり、バングラデシュで8つ目の病院を建てることができました。
ボランティアは一般的には施設の運営もボランティアでおこなうことが多いのですが、そうしてしまうと、ずっと自立できない状況が続きます。それは本当の意味でのボランティアでは無いという考えから、経営に長けた人を日本人スタッフとして送り、運営の基礎をつくり、バングラデシュでも裕福な人はいるので、そういう人から治療費をもらって病院は今でも自立運営されています。
高校二年生のときに実際バングラデシュのその病院に視察に行き、その日の食べ物がないという現実を目のあたりにしたりなど、いろいろなことを考えるきっかけになりました。それ以来、一食一食のお食事を、本当に大切に食べるようになりました。その経験を全国高等学校弁論大会でスピーチしたのですが、全国5位という成績をいただき、またこれも、偽りのない真実を弁論したので、その気持ちが伝わったのだと思っています。

 一般的な中学生なんかだと、アイドルの話や恋の話とか、そんなことに興味があるんじゃないかと思うんですが、そんな時期にボランティア活動を熱心にされていたんですね。
高栄:そういう意味では、私の行っていた中学校がすごくかわっていて、地元のおばあさんをたくさん呼んできてわら草履の編み方をならって、そのわら草履で東海道五十三次の宿場町を歩いたり、生徒全員で脚本から裏方まで全ておこなうミュージカルをしたり、火をおこす体験や、鶏の解剖をする体験をしたりと、いろんな体験ができて、そして生徒の個性を大切にする学校でした。だからみんな個性的な人たちばかりでしたよ。

 生徒たちの可能性を引き出す環境がそこにあったんですね。
高栄:それから、平和活動にも力を入れていました。戦争や原爆の事などもたくさん勉強させてもらいました。

 今の高栄選手がいるのは、そういった環境がかなり影響してるんじゃないでしょうか?
高栄:かなり影響していると思います。

 今後はそういったボランティア活動もされるのでしょうか?
高栄:ええ、もちろんそれはすごく思っています。私がいろいろな仕事をしてきた中からマジシャンを選んだ理由の一つは、マジックは子供からお年寄りまで、しかも言葉も国境も関係なく伝えられるお仕事なので、お仕事でもボランティアでも日本だけでなく世界中の人たちに見ていただきたいです。

 最後に、読者のみなさんに一言お願いします。
高栄:私は自分らしくステージに立ち続けます。そんな私をこれからも応援してください。そして私も、みなさんの事を応援しています。
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たかえ・さきこ/芸名:浅丘珊子(あさおか・さんこ)/身長168.5cm、体重53kg /趣味:芸術鑑賞/ HP アドレス:http://www.amazing-cats.com/ /ブログアドレス(浅丘珊子のSANCO 章):http://ameblo.jp/asaoka35/過去の活動等/● TV 出演:ホットイヴニング(NHK) ロンドンハーツ( テレビ朝日) 世界最強マジシャン大集結( テレビ東京) おはよう日本(NHK) アンタッチャブルグラディエーター( 関西テレビ) タカトシタベ( 関西テレビ) 今ちゃんの実は( 朝日放送) よ~いどん( 関西テレビ)アンガールズ天然笑図鑑( 朝日放送) おはよう朝日です( 朝日放送) はなまるマーケット(TBS)/●雑誌:週間SPA、日刊現代、ギャルズパラダイス、J's Tipo、デイトナ、デイトナブロス、関西ウォーカー、週間実話/●その他:2009 鈴鹿8 時間耐久レースクイーン、2009 スーパーGT レースクイーン、2010 スーパー耐久レースクイーン、WBA ラウンドガール、HEAT ラウンドガール、第1回メキシコイメージガールコンテスト優勝、アパレルブランドサムライジーンズイメージガール/現在の活動等:サンテレビ「パチンコ楽園」レギュラー出演の他、マジックユニット「アメイジングキャッツ」としてもマジシャンのステージに出演。
[ 月刊ボディビルディング 2013年7月号 ]

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