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JURASSIC ANSWER

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[ 月刊ボディビルディング 2013年8月号 ]
掲載日:2017.08.08
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1.トレーニングのバリエーション

Q この世にはいろいろなトレーニング法があると思いますが、基本的なバルク(体を大きくする)トレーニング法と筋肉に密度をつけるトレーニング法は違うのでしょうか?
 違うとしたらどのように違うのか 教えて下さい。
 また、初心者はどちらの方法から始めるべきなのでしょうか?
 個人の体質(太りやすいなど)でわけるべきなのでしょうか?

A 確かに雑誌などでも毎月のように新しいトレーニング方法が紹介されていますね。
重量の組み方やセット数、インターバルの時間やトレーニング頻度など様々です。参考にするのは良いですが全て試していては効果が現れるまでに次の新しい方法を試すなんて事になり、どれもこれも中途半端になってしまいそうです。ですから僕は基本をしっかりおさえた上で+αとして新しい方法などをそこへ加えて試すのが良いのではないかと思います。

 ちなみにトレーニングで絶対に守らなければいけない事はたった2つです。
「筋肉に効かす事」「強度を上げていく事」です。この2つが同時に出来ていなければどんなトレーニング方法も効果は出ずに終わってしまうでしょう。それぞれについて少し説明します。「筋肉に効かす」とは、単純に目的の筋肉に刺激が入っているかという事です。効かすと聞くと、反動を使わずにゆっくりと丁寧なフォームでトレーニングしなければいけないと思いがちですが、その必要はありません。目的の筋肉に刺激がしっかり入っていればチーティングもOKですし、ゆっくり丁寧なフォームでなくても構いません。逆にゆっくり丁寧に行っていては「強度を上げていく事」ができなくなってしまいます。2つ目の強度を上げるとは主に重量を増やしていくという事だと思って下さい。それ以外にはベンチプレスで100㎏×10回を4セット行う場合にインターバル2分で行っているのなら1分半にして行うというのも強度を上げると言えます。ただしインターバル2分で1セット目から4セットまでを10回、9回、8回、7回とできていたのなら1分半にしてもセット当たりの回数が同じだけできていなければ強度が上がった事にはなりませんので注意して下さい。インターバルを短くしても重量を落としたり、反復回数が減ってしまえば強度が上がっているとは言えません。ですから後者はかなり難しい事です。まずは重量を伸ばす事に徹するのをおススメします。

 まとめると、僕の考える最高のトレーニングとは、「しっかりと目的の筋肉に刺激のいくフォームの中で重量を伸ばす。そして更にそれをできるだけ短いインターバルで行えるようにする」です。身体作りに近道はありません。遠回りをしないようにするのは必要でしょうが、近道(楽)をしようとすれば必ず頭打ちになります。基本をしっかりと守って色々工夫をしてみるようにして下さい。楽をしたいがためだけに次から次へと紹介されるトレーニング方法に興味を示しているトレーニーも少なくありませんので。

 それから、質問にある筋量を増やすトレーニングと密度を増やすトレーニングの違いは特に無いのではと感じます。ただ、回数にあまりにも偏りがあるトレーニングは避けた方が良いと思います。例えばどの種目も5回しか行っていないというような場合は偏りがありますので、10回行う種目も入れたりと反復回数にも幅をつけて偏りのないようにしましょう。1セット50回というようなトレーニングをしなければ密度を増やせないなんて事もありません。最後に、初心者のトレーニングについては効果が出やすいので、トレーニング方法は悩む必要ないでしょう。基本の2つをしっかり守ってトレーニングして下さい。

2.減量期のトレーニング

Q 私はトレーニング歴20年以上になる40歳後半のビルダーです。最近、回復力が非常に遅いと感じています。というのも、30代で行なっていたトレーニングとほぼ同じように行なっているのですが、同じルーティーンですと次の同じ部位のトレーニングまでになぜか疲れが残っているように感じます。また、週5回、1回2時間程度の頻度で行なっていると、どうも慢性疲労のようにダルくて仕方ありません。これはやはり加齢とともに回復力が鈍ってきていると自分では判断しています。本来ならばトレーニングスケジュールを見直し、1週間の頻度を少なくしたり、1回のトレーニング時間を短くすれば良いのでしょうけれど、これから大会に向けて減量に入りますので、絞れなくなるのではと不安にも感じています。木澤さんも20代の頃と比べると回復力が鈍ってきたと感じますか?
 またトレーニング法等は変えてきたのでしょうか?
 減量中は疲れを感じても無理をしてトレーニングした方が良いの でしょうか?
 良いアドバイスをお聞かせください。

A 僕自身20代に比べてトレーニング時間は明らかに減らしています。20代から30代前半にかけては1日3時間~3時間半は行っていました。現在は2時間程です。トレーニング時間としては3分の2になっていますがそれでトレーニングを楽にしたのかと言うとそうではありません。強度を落とさずにボリュームを減らしてトレーニング時間を短縮しました。先程の質問の中にも書きましたが、トレーニングは強度が命です。ボリュームの多いトレーニングよりも強度の高いトレーニングが必要です。強度の低いトレーニングをだらだら長時間行っていても疲労するだけです。年齢的に疲労が抜けないという体感は僕の場合はまだありませんが、ダイエット中の疲労による筋量の減少やコンディデョンの低下を避ける事が主な目的でボリュームを減らすようにしました。40代後半の方に30代後半の僕が疲労の回復についてアドバイスするのは説得力がありませんが2つアドバイスさせて頂きます。1つは僕の行っている強度を落とさずにボリュームを減らす方法です。4セット行っていたのなら3セットか2セットにしてみます。そして強度を落とさないようするためには、重量はもちろんですが、1セットのなかでドロップセットやレストポーズを使って今までよりもセットあたり追い込むようにして下さい。

 もう1つは定期的に長めのオフを取り入れる方法です。週5日のサイクルで5周させたら3日~4日の連休をいれます。別に5日でも構いません。ダイエット中なら連休中は有酸素トレーニングのみ行うようにします。肉体的にも精神的にも長めの連休を取るのは非常に効果的です。僕自身も行っています。ただおススメしてもなかなか休むのが不安でオフを満喫できない皆さんがほとんどのようです。3日4日休んでも筋肉は絶対に落ちないんですけどね…。勇気を持って試してみて下さい。休み明けは精神的にもトレーニングがしたくなっているし、肉体的にも疲労がないので、とても良いトレーニングができます。また休み前の週は多少疲れていても「もうすぐ連休」だと思えば頑張れるものです。

 人間の肉体的限界は精神的限界のずっと先にあります。トレーニングに対するモチベーションが下がっていると肉体的疲労は倍にも感じる事があります。なかなか難しい事ではありますが楽しんでトレーニングできるようなる事が一番の疲労回復剤です。

 また最近では疲労回復系のサプリメントも人気があります。僕も愛用しています。とても体感できやすいサプリメントですので試してみる価値はあると思います。
[ 月刊ボディビルディング 2013年8月号 ]

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