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2013 TOKYO WEIGHT CATEGORY Winner Interview 菊地 賢

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[ 月刊ボディビルディング 2013年11月号 ]
掲載日:2017.08.21
2013東京クラス別ボディビル60kg級優勝 菊地 賢

2013東京クラス別ボディビル60kg級優勝 菊地 賢

きくち・たけし/1964年6月11 日生まれ/埼玉県出身/職業:外資系製薬会社勤務/トレーニング歴29 年/身長:165㎝/体重:59kg(オン)、72kg(オフ)/所属:ゴールジムイースト東京

インタビュー/伊藤幸也

何事も成功のイメージをもって取り組むことが大切

―― 2010年東京クラス別65kg級で優勝されていますから、これで2階級制覇。目標とする3階級制覇に大きく一歩近づきましたね。一昨年、昨年は70kg級に出場していますが、今年はなぜ階級を変更されたのですか?

菊地 昨年末、京都でビルダーの忘年会がありました。京都は私がボディビルを始め、はじめてコンテストに出場した思い出深い地で友人も多くいます。その席上、数名から「無理して70kg級に出ているよりは、絞って60kg級に出たほうが結果を残せる」と。とくに強く勧めてくれたのが、20年来の親友でライバルでもある2013年ミスター京都の丸山(貴弘)くんでした。

―― 70kg級へのこだわりはなかったですか?

菊地 どちらかというと人のアドバイスは聞かない方ですが、そのときはなぜかスーッと受け入れることができた。というのも5、6年前から仕上がりが63kgあたりで、70kg級で出ていたときは食べて飲んで水増ししていたし、重量感のちがいも感じていたこともあり、少し水抜きすればいけるのではないかと思ったからです。だから私のなかでは下げたという気持ちはなく、自然でしたね。体の負担も感じませんでした。

―― 60kg級挑戦に向けてなにか変えたことはありますか?

菊地 有酸素運動をやるように心がけました。それとオフの体重をあまり増やさないこと。いままでは77kgでしたが、72kgで止めました。

―― 調整法では何かありますか?

菊地 食事の面ではささ身の量を減らしました。メリットは解かっていますがデメリットもあると感じていたので、2日連続して食べないよう心がけました。

―― そのデメリットとは?

菊地 力が入らなくなり、気力も湧いてこないし、扱う重量が下がりはじめたから。昨年から量は少しずつ減らしてはいたのですが、今年からきちんと移行しました。ささ身、牛肉、ささ身、牛肉というパターンで、食べる量はささ身が300g、牛肉は200g。そうしたら力も入り、気力も湧くし扱う重量も最後まで変わりませんでした。

―― 普段のおもな食事内容を教えてください。

菊地 朝はフルーツ、ヨーグルト、オートミール、シリアル、豆乳。昼は肉中心の弁当で、卵焼きも。夜はパスタ、ささ身かローストビーフ、野菜など。

―― 今年の減量はいつ頃から入りましたか?

菊地 2月あたりからで、私の場合、食事制限を徐々にかけて行くタイプ。ご飯のおかわりをやめる、ビールは二杯だけ、かつ丼やケーキは半分残すなど食べたいものを食べてストレスを溜めないようにしています。

―― 前日の食事は?

菊地 検量後、家に帰ってから丸山くんからのアドバイスですいかとあんころ餅を食べました。彼は昨年実績を残しているし、初めて試みましたが浮腫まず最後までパリパリ感があるままで体が張れていました。それまではごはんかパスタを摂っていたので、急に浮腫むという感じもありました。一昨日の関東クラス別でも実践しましたが、やはり良くお陰さまで優勝できました。体質もあると思いますが私には合っていることを実感しています。ありがとう、丸山くん!
2010 年に引き続き2階級目を制覇した。目標は3階級制覇

2010 年に引き続き2階級目を制覇した。目標は3階級制覇

井上浩氏の適切アドバイス充実の決勝フリーポーズ

―― ほかに勝因を挙げるとすればなにかありますか。

菊地 決勝のフリーポーズがうまくできたことだと思います。採点表を見ると、2位の藤川選手とは大接戦で結果的には決勝の評価が順位を左右した。決勝のフリーポーズなんて関係ない、比較で順位が決まっているという声も聞きますが、私はそんなことはないと言い続けてきただけに自分で実証できたように思い、うれしかった。今回大会前に神戸出張があり、そのときゴールドジム神戸元町で井上浩さんのポージングセミナーに参加したことが大きかったですね。

―― どのようなアドバイスを受けましたか。

菊地 ジャッジは下から見上げるようにして見るから前屈みになりなさい、バックポーズのときはお腹を突き出しなさい、サイドチェストでは右手を下にするようにして持っていきそのままこらえながら引きなさいなどと具体的に教えていただきました。全面的に変えるのではなく、いまやれることという応急処置的なものだったと思いますが、自信をもって大会に臨めました。あとで写真を見たらしっかり背中が出ており、井上さんの言うとおりでした。

―― トレーニング内容を教えてください。

菊地 3分割か4分割。脚を重視して脚だけの日を設けていますが、上半身はその日の気分やマシンの空き具合によって肩と胸・三頭筋、背中と二頭筋という感じでしょうか。超回復理論の〝72時間絶対に空けなければいけない〟とは思っていませんから。オフは週5日やって2日休む。オンは週6日やりますがすべてウエイトトレーニングというわけではありません。それと今回は6、7月とうまい具合にローテーションができました。

―― 脚だけとくに分ける理由は?

菊地 私の中でとくにスクワットだけは精神的に強くないとできない、心が折れてしまいがちになりやすいから。スクワットを終えると気持ちがすごく楽になります。だから脚だけは最低3日間空けますね。
記事画像3
―― 目標とするビルダーを教えてください。

菊地 登坂(勉)さんです。あのようなカッコイイ体で年をとっていき、息の長いビルダーになりたいと思っています。あとは河野智洋さんの密度の濃い筋肉、原哲矢さんのバランスの良い体になりたいと考えていますが、まだまだ及びません。いつかこの二人に勝ちたいと思っています。

―― 菊地さんの人生にボディビルはどのような影響を与えていますか。

菊地 常に目標達成のためにいま自分がなにをすべきかを意識して行動することが大切だと思うようになりました。体づくりのために短期中期長期とそれぞれに時系列に計画を立てるのですが、仕事でも同じだと感じています。そうすると上手くいくケースが多い。もし失敗してもその原因を検証することによって活かすことができました。そしてもう一つ心がけていることは、何事も達成したとき、成功したときの喜びをイメージして取り組むこと。そうするとトレーニングも仕事も苦しいと思わなくなりました。私にとってボディビルは人生の道しるべと言えます。

―― ぜひ3階級制覇を達成してください。

菊地 ありがとうございます。
[ 月刊ボディビルディング 2013年11月号 ]

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